検査におけるサンプリング計画並びに手順のハーモナイゼーションに関する研究

文献情報

文献番号
200939025A
報告書区分
総括
研究課題名
検査におけるサンプリング計画並びに手順のハーモナイゼーションに関する研究
課題番号
H20-食品・一般-007
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 敬浩(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 塚越芳樹(独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 品質情報解析ユニット)
  • 松田りえ子(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
22,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
サンプリングは、サンプリング計画とその前提を満たすためのサンプリング手順に分けられる。本研究では、分析値に適切な科学的根拠を与えるサンプリング計画及び手順の確立と標準化及び、サンプリングを考慮した分析値運用法の検討を目的として、4課題の研究を実施した。
研究方法
分析値の運用指標の検討に関し、その実行可能性を判断するため、サンプリングに関する現状把握を目的としたアンケート調査を実施した。採取した生鮮野菜中の硝酸塩濃度とその変動からロット中の濃度の分布を仮定し、サンプリングに起因する不確かさの推定方法を検討した。サンプリング計画及び手順の現状を把握しその妥当性を検証するため、 諸外国及び我が国で示されている計画を整理し比較した。分布が不均一な状態におけるロット平均値の推定精度についてモンテカルロ法により検討した。
結果と考察
アンケート調査には92の回答が得られ、その集計により、サンプリングに関する認識及び理解度に大きな開きがあることが示唆された。硝酸塩濃度の実測値に基づき推定されたサンプリングの不確かさは、現実的なサンプル数により母集団中の濃度の平均を推定することが可能と考え得る大きさであった。EC指令等、また我が国の植物防疫法等に示された計画を種々の食品について整理し、AQLが6.5に設定される場合が多いことを見いだした。分布が不均一なロットからサンプリングを行った時のシミュレーションの結果、サンプル平均値は多数のピークを持つ複雑な分布を示した。
結論
サンプリングという行為及びその目的に関する理解を促進、共通させるような教育的措置が正しい計画手順の作案とその実行に不可欠である。また、実行が制限されたサンプリングに起因する不確かさの整理が必要と考えられた。サンプリングの不確かさが、対象物質の濃度や分布により大きな影響を受けることを実測値により初めて示した。サンプリング計画は、国際的な文書間でも複雑に細分化され相違点が数多くあり、引き続き整理していく必要がある。実測値に基づく検証が困難な場合にも、サンプリング計画の性能評価にシミュレーションの手法が有効であることが示された。特に、複数分布が共存するロットにおいて、得られた検査の結果の誤判定率がサンプリング個数増加に伴い増加する現象は、分析値の運用においても重要な知見と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
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