放射線照射食品の検知技術に関する研究

文献情報

文献番号
200939023A
報告書区分
総括
研究課題名
放射線照射食品の検知技術に関する研究
課題番号
H20-食品・一般-005
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
宮原 誠(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 増水章季(崇城大学 薬学部)
  • 堤 智昭(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 松田りえ子(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
28,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究はESR法(対象は骨、糖、セルロース)、TL通知法の評価、TL通知法とEN法の比較、CB法(GC法の一つ)、ESR法による照射食品の線量管理の5項目に関するものである。これらの方法を精査し、実用に耐える試験法を作成することが目的である。
研究方法
ESR法はAOACのコラボ試験を簡略した試験(未照射を含む3水準の線量、1水準あたり3回の繰り返し、2から3の食品)を実施し、その判別能力を調べた。
TL通知法の評価については会議をおこない、意見を集めた。TL通知法とEN法の比較研究においては現行通知法で実施された検疫所のデータをEN法の基準を当てはめて、結果を再判断し、検疫所の結果と比べた。CB法についてはEN法の性能評価を行った。
ESR法による線量管理法の研究では、アラニン線量計を用いて、ジャガイモの入ったかご表面の線量分布を測定した。
結果と考察
ESR法による検知法の検討結果、、2kGy照射骨付き鶏肉並びに殻付きハマグリ、糖を検出する照射マンゴーと照射パイン(それぞれ7,4kGyと1,0.1kGy)並びにセルロースを含む7, 4kGy照射フェネグリークおよびピスタチオについては、それぞれ試料と各非照射試料を100%判別できた。
イチゴについては、3, 1.5kGy照射試料はそれぞれ100%,83%の判別率であったが、非照射試料は100%の判別率であった。
TL通知法の評価については、様々に意見があった。TL通知法とEN法の比較研究においては、MDL値を採用しない現行通知法の結果に、MDL値に基づいて照射判定を行うEN法の基準を用いる本研究方法に難があるものの、通知法と比べEN法は発光曲線の積分範囲が狭い事から、そのTL比が小さくなり、照射試料と確定できない場合が多くなることが分かった。
CB法は0.5kGy以上(?)照射された鶏、豚、牛、鮭について、それぞれの非照射試料と100%判別可能であった。しかし、大きなマトリックス効果があることや、保存試験における標準CBの日々の感度変化が大きいことから、さらに検討が必要と思われた。 
線量管理法の研究の結果、その最大線量域はかごの中央付近にあることが分かり、実用性もあった。
結論
ESR検知法は非照射食品と照射食品との判別に優れた能力を持つことから、この方法を用いてこれらの照射食品の判別が可能である。TL法の評価結果、通知の曖昧な点や未定の部分の改訂を行う方向が示された。CB法はその検知性能は確認できたが、GC感度変化に対する対策が必要である。アラニン線量計―ESR測定方法を用いて放射線の線量管理を行う事ができる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
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