検査機関の信頼性確保に関する研究

文献情報

文献番号
200939022A
報告書区分
総括
研究課題名
検査機関の信頼性確保に関する研究
課題番号
H20-食品・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
小島 幸一(財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 尾花 裕孝(大阪府立公衆衛生研究所)
  • 斉藤 貢一(星薬科大学)
  • 村山 三徳(社団法人日本食品衛生協会 食品衛生研究所)
  • 大島 赴夫(財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
38,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品の安全性確保のために精度管理システムの整備ならびに精度管理のための適正試料の作製を検討し、食品衛生検査機関から提出される検査成績の信頼性確保を充実化させることを目的とした。
研究方法
食品中の微量農薬分析法では、パンケーキに10種類の農薬を添加して調査試料を作製し、9機関で外部精度管理を行い、Xbar-R管理図、Zスコアで評価した。残留有害物質では、シクロピアゾン酸(CPA)のLC-UV・PDAによる分析法を検討し、食品にCPA産生菌を接種、培養して検出を試みた。農薬標準品については、各種保存温度での長期安定性についてGC法により測定した。適正試料の作製は、理化学では、鶏、豚肉中のサルファ剤の変動、微生物ではセレウス菌並びに腸炎ビブリオの安定性、均一性の検討を試みた。また、アレルギー検査では卵による精度管理の実施、組換えDNA食品では定量PCR法による未承認トウモロコシDNAの検出を試みた。
結果と考察
食品中の微量農薬分析では、全てが適正範囲に入ったのは3機関、適正範囲から外れる機関が6機関であった。各機関でパンケーキを破砕し測定すると、適正範囲に入っているのは5機関であった。これはGC測定をLC-MS/MS測定で行った結果と考えられた。CPAは、検出器として定性用にPDA、定量用にUVを用いることで検量線の直線性が高まり、回収率は酢酸エチル抽出が最も優れていた。農薬標準品は、保存期間、温度に依存し、60℃、6ヶ月で47農薬が10%以上の減少を認めた。適正試料作製は、理化学では、スルファジミジンを鶏むね肉に添加することで良好な結果を得、各種豚肉では10種サルファ剤添加の回収率が全て70%以上を示した。微生物では、セレウス菌の長期安定性が15%食塩添加コメで確保されたが、陰性対照菌で不安定な結果を示した。腸炎ビブリオは、保存条件によりMarine agar 及び broth で長期安定性が確認された。卵の外部精度管理は、概ね良好な結果であった。組換えDNA検査は、ホットスタート酵素の未使用による結果の間違えが判明した。
結論
概ね良好な試験で進行しているが、適正試料の作製では詳細な検討が必要であり、食品中の微量農薬分析法においても加工食品を対象に検査をする場合、加工食品を構成する原材料種等によって難易度が異なることが考えられた。

公開日・更新日

公開日
2010-05-26
更新日
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