検査機関の信頼性確保に関する研究

文献情報

文献番号
200939021A
報告書区分
総括
研究課題名
検査機関の信頼性確保に関する研究
課題番号
H20-食品・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
石見 佳子(独立行政法人国立健康・栄養研究所食品保健機能プログラム)
研究分担者(所属機関)
  • 永田 純一(独立行政法人国立健康・栄養研究所食品保健機能プログラム)
  • 梅垣 敬三(立行政法人国立健康・栄養研究所情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
天然物由来成分や新規食品成分を含む新開発食品が開発されているが、これら食品の分析法の妥当性ならびに精度管理に至るまでの検討はほとんど実施されていない。食品に含まれる成分の表示値の妥当性の確保は、食品の有用性や安全性を保証する上で極めて重要であり、分析法と精度管理に関する取り組みは行政上早急に対応すべき課題である。本研究は、異なる複数の施設間において、分析精度を含めた分析法の妥当性と各試験機関における試験結果の信頼性の確保を行うため、利用頻度が高く、様々な食品形態の食品を用い分析値のばらつき、分析法、精度管理などに関する検討を行い、どの施設でも精度の高い結果を得るための管理法を探ることを目的とする。
研究方法
本年度は、昨年度の室間共同試験でばらつきの大きかった、乳児用調製粉乳中のビタミンB12およびビタミンDについて標準作業書を作成して操作を統一するとともに、ビタミンB12については、昨年度に誤差の要因と考えられた微生物定量法における定量菌の状態を統一し、4登録試験機関との室間共同試験を実施した。また、乳児用調製粉乳中のナトリウム、さらに、特定保健用食品の関与成分である茶カテキン、大豆イソフラボンについても室間共同試験を実施した。分析は全て非明示で実施した。難消化性デキストリンについて、pHの調製を行わない酵素反応と市販カートリッジカラムを用いた脱塩操作を組み合わせた簡便、迅速で精度の高い分析法の確立を試みた。
結果と考察
ビタミンB12の分析値は併行再現性及び室間再現性に明らかな改善が認められた。ビタミンDについては、昨年度と同様に試験機関間でばらつきが認められたことから、公定法の見直しが必要である可能性が示唆された。茶カテキンの分析は、UV‐HPLC法2において最も良好な室間再現性が得られた。また、大豆イソフラボンに関しては、液状および粉末状の検体について良好な室間再現性が得られた。難消化性デキストリンの改良法では、操作時間の短縮と酵素反応の操作性が著しく向上した。
結論
乳児用調製粉乳の分析のうち、微生物法では標準作業書の作成と定量菌の状態を統一することで良好な室間再現性が得られることが明らかになった。ビタミンDは公定法の見直しが急務である。
茶カテキンおよび大豆イソフラボン分析は、適正な分析法の提示が可能となった。昨年度に改訂した栄養表示基準の分析方法の妥当性が確認された。

公開日・更新日

公開日
2010-05-26
更新日
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