食品用器具・容器包装、乳幼児用玩具及び洗浄剤の安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
200939017A
報告書区分
総括
研究課題名
食品用器具・容器包装、乳幼児用玩具及び洗浄剤の安全性確保に関する研究
課題番号
H19-食品・一般-018
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
河村 葉子(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 六鹿 元雄(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部 )
  • 中里 光男(東京都健康安全研究センター 食品添加物研究科)
  • 津田 博(社)日本玩具協会)
  • 石井 茂雄(日本石鹸洗剤工業会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品用器具・容器包装、玩具並びに洗浄剤は、食品衛生法の規格基準によりその安全性が担保されているが、制定されてから長い年月が経過し様々な課題が生じている。そこで、これらの規格基準見直しと改正原案作成のため各種検討を行う。
研究方法
5つの分担班ごとに、GC/MS、LC/MS/MS、ICP、AA等による試験法の改良・開発、製品等の分析、蒸発残留物試験、オリーブ油移行量試験、ウェブサイト、現地機関との接触などによる情報収集等を行った。
結果と考察
1) 合成樹脂製器具・容器包装の規格基準見直しのため、追加の溶出試験を行い蒸発残留物試験の油脂及び脂肪性食品の代替溶媒として現行のヘプタンからイソオクタン(一部95%メタノール)とし、使用温度区分は2区分から70℃以下、70~110℃、110℃超の3区分とする改正原案をまとめた。またオリーブ油試験の改良法を開発した。2) ゴム製器具・容器包装の規格基準見直しのため、各種ゴム製品のオリーブ油と擬似溶媒による総移行量試験を実施し、現行の蒸発残留物の試験条件の見直しを行った。油性食品の擬似溶媒はエタノール・イソオクタン(1:1)(シリコーンゴムは95%エタノール)、また器具は使用する食品に対応した擬似溶媒を用いる改正原案をまとめた。 3) 器具・容器包装の残存化学物質では、合成樹脂製器具の蒸発残留物試験とその浸出用液の選択法、ポリウレタン製品中のアミン類の分析法と製品調査、ラップフィルム中のノニルフェノールの調査、2-メルカプトイミダゾリン試験法の改良を行った。 4) 乳幼児用玩具規格基準の見直しでは、欧州連合の改正玩具安全指令、なかでも化学物質の大幅な規制強化について、その根拠等も含めて調査を行った。また米国の玩具規制の動向も調査した。5) 食品用洗浄剤の規格基準の見直しのため、洗浄剤の使用後の残存量を調査し、各種界面活性剤のリスク評価を行い、鉛、ヒ素、メタノールの試験法を改良した。これまでの研究をもとに洗浄剤規格基準の改正原案を作成するとともに、この規格が適用外となる洗浄剤について業界による自主基準を検討した。
結論
洗浄剤については規格基準全体の改正原案を作成し、合成樹脂及びゴム製器具・容器包装は蒸発残留物試験の試験条件案をまとめた。また、残存物質や玩具においても今後の規格基準改正に資する成果を得ることができた。

公開日・更新日

公開日
2010-05-27
更新日
-

文献情報

文献番号
200939017B
報告書区分
総合
研究課題名
食品用器具・容器包装、乳幼児用玩具及び洗浄剤の安全性確保に関する研究
課題番号
H19-食品・一般-018
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
河村 葉子(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 六鹿 元雄(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
  • 中里 光男(東京都健康安全研究センター 食品添加物研究科)
  • 津田 博(社)日本玩具協会)
  • 神田 豊輝(日本石鹸洗剤工業会)
  • 石井 茂雄(日本石鹸洗剤工業会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品用器具・容器包装、玩具並びに洗浄剤は、食品衛生法の規格基準により安全性が担保されているが、制定されてから長い年月が経過し様々な課題が生じている。そこで、これらの見直しと改正原案の作成を行う。また、規格基準が設定されていない化学物質についても調査を行う。
研究方法
5つの分担班ごとに、HPLC、GC/MS、LC/MS/MS、ICP、AA等による製品等の分析、蒸発残留物試験、オリーブ油移行量試験、製品調査、海外の規格基準、ウェブサイト、現地機関との接触などによる情報収集等を行った。
結果と考察
1) 合成樹脂製器具・容器包装の規格基準見直しのため、それらの使用実態調査、各種試験条件のオリーブ油移行試験と蒸発残留物試験の比較等を行い、使用温度区分を3段階とし、油性食品の代替溶媒をイソオクタンと95%エタノールとする改正原案をまとめた。また、オリーブ油試験を改良し「平衡法」を確立した。2) ゴム製器具・容器包装の規格基準見直しのため、海外の規制調査、ゴム製品の使用実態調査、N-ニトロソアミン類等の分析、ラテックスアレルギーの調査などを行い、また使用温度区分の見直しやオリーブ油移行試験との比較により蒸発残留物試験の試験条件案をまとめた。3) 器具・容器包装の材質中に残存する化学物質では、ポリメタクリル酸メチル中の揮発性化合物、ポリウレタン中のイソシアネートやアミン類、ラップフィルム中のノニルフェノール、ポリ乳酸、合成樹脂製器具の蒸発残留物、2-メルカプトイミダゾリンについて分析法の検討や製品の分析等を行った。4) 乳幼児用玩具規格基準の見直しのため、玩具塗膜中のカドミウム及び鉛試験法の検証、フタル酸エステル規制、EU玩具安全指令を調査した。5) 食品用洗浄剤規格基準の見直しのため、規格基準の背景、海外規制、市販洗浄剤の種類や成分、それらの安全性、使用時の残存量などを調査し、ヒ素、鉛、メタノール試験法を改良し、洗浄剤規格基準の改正原案をまとめた。
結論
食品用器具・容器包装、玩具並びに洗浄剤の規格基準の根拠や問題点、海外規制、市場品の実態調査や各種試験、試験法改良などを行い、洗浄剤は規格基準全体の改正原案を作成し、合成樹脂及びゴム製器具・容器包装は蒸発残留物の試験条件案を作成するなど多くの研究成果を得ることができた。これらが安全性確保に大きく貢献することを期待する。

公開日・更新日

公開日
2010-05-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200939017C

成果

専門的・学術的観点からの成果
合成樹脂及びゴム製器具・容器包装の蒸発残留物試験をオリーブ油移行試験と対比して試験することにより、現行法の問題点を明らかにするとともに科学的根拠に基づいた試験条件案を提示した。また、これまで報告がほとんどなかったポリウレタン製品中のイソシアネートやアミン、ポリメタクリル酸メチル製品中の揮発性化合物、最近のラップフィルム中のノニルフェノール、ポリ乳酸製品などの実態を明らかにし、一般的な装置で測定できる新しいニトロソアミン類分析法などを開発した。
臨床的観点からの成果
 
ガイドライン等の開発
  
その他行政的観点からの成果
 玩具の鉛及びカドミウム塗膜試験の検討結果は、平成20年3月のおもちゃの規格基準改正においてISO規格試験法を採用する根拠となった。また、フタル酸エステルについての報告は薬事・食品衛生審議会器具・容器包装部会で参考資料として使用された。また、洗浄剤の規格基準改正原案、合成樹脂及びゴム製器具・容器包装の蒸発残留物における使用温度区分及び試験条件の改正原案は、今後厚生労働省において検討予定である。
その他のインパクト
 

発表件数

原著論文(和文)
7件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
11件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計1件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
六鹿元雄,河村葉子,棚元憲一
瓶詰食品キャップシーリング中のセミカルバジドの分析
日本食品化学学会誌 , 15 (1) , 23-27  (2008)
原著論文2
六鹿元雄,山口未来,河村葉子 他
瓶詰食品中のセミカルバジドの分析
日本食品化学学会誌 , 15 (2) , 67-72  (2009)
原著論文3
河村葉子,六鹿元雄,山内朋子 他
玩具塗膜からのカドミウムおよび鉛溶出試験
食品衛生学雑誌 , 50 (2) , 93-96  (2009)
原著論文4
Ohmori, K., Kawamura, Y.
Cell trans formation activities of abietic acid and dehydroabietic acid: safety assessment of possible contaminants in paper and paperboard for food contact use
Food Additives and Contaminants Part A , 26 , 568-573  (2009)
原著論文5
大野浩之,鈴木昌子,六鹿元雄 他
合成樹脂製器具・容器包装および玩具における過マンガン酸カリウム消費量および全有機炭素の検討
食品衛生学雑誌 , 50 (5) , 230-236  (2009)
原著論文6
六鹿元雄,李演揆,河村葉子 他
紙製品中の芳香族第一級アミン類の分析
食品衛生学雑誌 , 50 (4) , 160-166  (2009)
原著論文7
Ohno, H., Kawamura, Y.
Residual analysis of acrylonitrile, 1,3-butadiene and related compounds in acrylonitrile butadiene styrene copolymers for kitchen utensils and children’s toys by headspace gas chromatography/mass spectrometry
J. AOAC International(投稿中)  (2010)
原著論文8
尾崎麻子,大嶋智子,大垣寿美子 他
ポリ乳酸製器具・容器包装の規格試験及びその他溶出物質の検討
食品衛生学雑誌(投稿中)  (2010)
原著論文9
六鹿元雄,山口未来,大野浩之 他
ナイロン製品からのモノマーおよび芳香族第一級アミン類の溶出
食品衛生学雑誌(投稿中)  (2010)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-