冷凍食品の安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
200939012A
報告書区分
総括
研究課題名
冷凍食品の安全性確保に関する研究
課題番号
H19-食品・一般-013
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
春日 文子(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究分担者(所属機関)
  • 小沼 博隆(東海大学 海洋学部)
  • 岡田 由美子(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
冷凍食品の安全性確保のためにその規格基準のあり方を再検討し、冷凍食品および同様の温度帯で流通する食品に関する科学的な規格基準設定の理論構築を目的とし、1.微生物汚染実態調査、2.低温帯での食品保存試験、3.諸外国の微生物規格基準の背景調査、4.微生物規格設定のための統計学的手法の開発を行った。
研究方法
1.主にチルド食品を対象として、一般生菌数、presumptive Escherichia coli(推定大腸菌)、Enterobacteriaceae(腸内細菌科)、Staphylococcus aureus、SalmonellaおよびVibrio parahaemolyticusの汚染状況を調査した。2.市販のチルドギョーザにStaphylococcus aureus、Esherichia coli、Salmonella TyphimuriumおよびListeria monocytogenesを接種後、低温で保存し、菌数を経時的に測定した。3.アメリカの民生品目記述票(CID)について、冷凍食品微生物規格設定の背景を調査した。4.乳幼児用粉ミルクのコーデックス規格の根拠となった、FAO/WHO専門調査会の報告書を分析した。
結果と考察
1.魚介類と揚げ物類における腸内細菌科と揚げ物類における推定大腸菌の分離率が、チルド食品で冷凍食品よりも有意に高かった。一方、病原体の分離率は低く、有意差は見られなかった。2.接種した菌の多くが10℃以上で増殖し、5℃でも増殖する菌がみられた。冷凍温度帯での菌数の減少は少なく、特にグラム陽性菌で生残性が高かった。3.アメリカでは、冷凍食品の主要な組成について連邦法が規定している品目の規格に当てはめ、そこからCID規格を設定していた。4.Cronobacter sakazakiiに対するサンプリングプラン適用による相対リスク低減などについて整理し、微生物汚染の確率分布を前提とした規格基準設定理論構築の準備とした。
結論
三年間の研究成果から、現在の「冷凍食品」のみに、食材の内容を問わず、汚染指標菌を対象とした微生物規格が設定される論理的必然性は小さいと考えられた。一方、コーデックス委員会では、新たな食品規格基準設定にあたってFSO, PO等の数的指標を基盤とすることを合意した。わが国でもこれら国際動向を見据えて微生物規格を設定する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200939012B
報告書区分
総合
研究課題名
冷凍食品の安全性確保に関する研究
課題番号
H19-食品・一般-013
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
春日 文子(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究分担者(所属機関)
  • 小沼 博隆(東海大学 海洋学部)
  • 岡田 由美子(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
冷凍食品の安全性確保のためにその規格基準のあり方を再検討し、冷凍食品および同様の温度帯で流通する食品に関する科学的な規格基準設定の理論を構築することを目的とし、1.当該食品の流通実態調査、2.微生物汚染実態調査、3.低温帯での食品保存試験、4.諸外国の微生物規格基準の調査、5.微生物規格設定のための基礎資料の整理を行った。
研究方法
1.統計調査ならびに聴取り調査を行った。2.凍結品やチルド食品を対象として、汚染指標菌としての一般生菌数、presumptive Escherichia coli(推定大腸菌)、Enterobacteriaceae(腸内細菌科)、および各種病原菌の汚染状況を調査した。3.食品にStaphylococcus aureus、Esherichia coli、Salmonella TyphimuriumおよびListeria monocytogenesを接種後、低温で保存し、菌数を経時的に測定した。4.諸外国における冷凍食品および関連食品の微生物規格の調査を行った。5.ICMSFの書籍ならびにFAO/WHO専門調査会の報告書を分析した。
結果と考察
1.多様かつ多くの食品が、製造後流通開始時に冷凍され、販売までの様々な段階で保存温度条件を変更されて、冷凍流通食品として流通されている実情が把握された。2.汚染指標菌の分離率が、凍結食品やチルド食品では冷凍食品よりも有意に高かった。3.接種した菌の多くが10℃以上で増殖し、5℃でも増殖する菌がみられた。冷凍温度帯での菌数の減少は少なく、特にグラム陽性菌で生残性が高かった。4.多くの国、地域において、食品群別に微生物規格が設定され、規格の適用箇所も規定されていた。冷凍食品に特化した規格を持つ国は限られていた。5.各種文献の整理により、冷凍食品を例として、微生物汚染の確率分布を前提とした規格基準設定理論を構築するための準備とした。
結論
三年間の研究成果から、現在の「冷凍食品」のみに、食材の内容を問わず、汚染指標菌を対象とした微生物規格が設定される論理的必然性は小さいと考えられた。一方、コーデックス委員会では、新たな食品規格基準設定にあたってFSO, PO等の数的指標を基盤とすることを合意した。わが国でもこれら国際動向を見据えて微生物規格を設定する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200939012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
製造後流通開始時に冷凍されている冷凍流通食品の多くは、販売までの間に保存温度条件を変更され、冷凍食品以外の食品として流通している実情が把握された。一方、汚染指標菌の分離率は、凍結食品やチルド食品で冷凍食品よりも有意に高かった。諸外国では食品群別に微生物規格が設定され、冷凍食品に特化した規格は限られていた。わが国では冷凍食品以外の冷凍流通食品には規格基準が設定されていないことから、コーデックス委員会等の国際動向も見据え、食品の微生物規格基準を適切に再検討することの必要性を指摘した。
臨床的観点からの成果
該当せず
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
3件
春日文子 国際的な微生物規格基準設定の考え方 食品微生物学会雑誌、25(1)、13-17、2008 春日文子 微生物規格基準設定の考え方の国際動向 獣医公衆衛生研究、5-8、11(2)、2009
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
10件
岡田、小沼、五十君、関、澤田、森、坂口、田中、宇田川、小澤、三輪、増田、原田、春日  冷凍食品及び凍結食品の微生物汚染実態調査  第146回日本獣医学会 宮崎 2008年9月 ほか
学会発表(国際学会等)
1件
F. Kasuga: Risk Assessment & Risk Management Activities in Japan. 2008, New Delhi
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-