特定保健用食品等の有効性・安全性を確保するための科学的根拠の評価方法に関する研究

文献情報

文献番号
200939006A
報告書区分
総括
研究課題名
特定保健用食品等の有効性・安全性を確保するための科学的根拠の評価方法に関する研究
課題番号
H19-食品・一般-006
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
芝池 伸彰(独立行政法人国立健康・栄養研究所 国際産学連携センター)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 和彦(女子栄養大学栄養学部実践栄養学科)
  • 梅垣 敬三((独)国立健康・栄養研究所情報センター)
  • 笠岡(坪山) 宜代((独)国立健康・栄養研究所 国際産学連携センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
特定保健用食品(特保)の科学的根拠の評価に焦点を当て、科学的知見の集積、申請件数急増、関与成分の多様化などわが国の現状と課題に対応するため、より科学的かつ効率的な特定保健用食品等の有効性・安全性の評価方法を技術的基盤、さらにはエビデンスの構築やその評価を行う人的資源の育成・確保といった、食品保健行政上極めて重要な課題について検討することを目的とした。
研究方法
諸外国および国際機関の情報を収集し、人的制度も含めた制度の在り方を総合的に検討し、我が国の問題点をまとめ、最終的な成果として提言を行った。
結果と考察
米国では、サプリメントに関する専門家の人的資源育成を目的として、国立衛生研究所(NIH)のOffice of Dietary Supplements(ODS)が、主として指導的立場にある専門家を対象として教育訓練コースを実施していた。科学的根拠の理解を中心とした教育は、最終的には彼らを通じた消費者教育も視野に入れており、科学的評価を実施するための人的基盤を構築する上で有用であると考えられた。また、コーデックス等で議論されている国際的な考え方と日本における特定保健用食品制度の整合性に関して検討を行うため、コーデックス栄養・特殊用途食品部会における健康強調表示および栄養素等表示基準値等の議論の経緯をまとめた。栄養政策との係わり、健康強調表示の実証のプロセス、健康強調表示の実証の基準、安全性に関する事項、再評価に関する事項が特に重要であると考えられた。                   
さらに、特定保健用食品の許可を受けた製品を有する企業が、自社のトクホ製品に関する安全性や有効性の情報収集をどのように行っているかについて実態調査を行なった。特定保健用食品の許可を受けた576製品のうち、70.8%の製品では市販後の情報収集を実施していた。特に被害事例については消費者からの情報収集を行なっている製品は290件(66.4%)あり、全体的には情報収集が行われている実態が示唆された。
 以上の成果およびこれまでに収集した国際的な動向等をまとめ、最終年度の成果として提言をとりまとめた。提言は、1.審査のあり方として①リスクレベルに応じた審査、②審査体制、③再評価制度、2.保健機能表示(健康強調表示)のあり方として①表示のあり方、②過剰摂取・医薬品との相互作用、③審査結果の透明性の確保、3.消費者への適切な情報提供・発信、健康被害情報の収集 に関して具体的な事例も含めとりまとめた。
結論
本研究成果として取りまとめた提言を、今後の制度基盤に活用されることが望まれる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-28
更新日
-

文献情報

文献番号
200939006B
報告書区分
総合
研究課題名
特定保健用食品等の有効性・安全性を確保するための科学的根拠の評価方法に関する研究
課題番号
H19-食品・一般-006
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
芝池 伸彰(独立行政法人国立健康・栄養研究所 国際産学連携センター)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 和彦(女子栄養大学栄養学部実践栄養学科)
  • 梅垣 敬三(独立行政法人国立健康・栄養研究所 情報センター)
  • 吉池信男(青森県立保健大学)
  • 大森豊緑(名古屋市立大学大学院医学研究科)
  • 笠岡(坪山)宜代(独立行政法人国立健康・栄養研究所 国際産学連携センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、わが国の特定保健用食品(特保)の科学的根拠の評価に焦点を当て、健康強調表示および健康食品(サプリメント)に対する国際的な考え方との整合を図りつつ、現行の特定保健用食品の審査制度や判断の根拠となるエビデンスの評価、人的資源の育成・確保等について検討し、より科学的かつ効率的な制度の在り方について提言する事を目的とした。
研究方法
 わが国の特定保健用食品制度の現状に関する調査、諸外国および国際機関の健康強調表示に関連する取り組みに関する調査等を行い、審査制度、人的制度も含めた制度のあり方を総合的に検討し、我が国の問題点をまとめ、最終的な成果として提言を発表する。
結果と考察
 本研究により得られた成果、諸外国および国際機関の取り組みに関する情報、およびこれまでに開催した国内外の専門家によるセミナーでの議論をまとめ、今後のあり方を含めたより総合的な検討を進め、最終年度の成果として提言を取りまとめた。
提言: 我が国の特定保健用食品の審査については、摂取経験が少ない関与成分を含むもの、カプセルや錠剤など形状が医薬品に類似したもの、保健機能に関する科学的根拠が十分でないもの等についてはより厳格な審査を行うとともに、リスクレベルの低いものについては審査を簡略化するなど、リスクレベルに応じた審査制度に見直すことが適当である。また、審査体制については、2009年から、特定保健用食品の許可は厚生労働省から消費者庁に移管され、米国と比較的類似した体制となったが、審査制度の見直しや厳格化に対応した人員体制の充実を図る必要がある。さらに市販後の再評価制度も必要である。
 また、保健機能の表示(健康強調表示)についても、消費者に保健機能を正しく伝えるための工夫や、審査結果やその科学的判断に関する情報等を提供する仕組みとすることが求められる。また、消費者が適切な選択を行えるよう、NR(栄養情報担当者)などの専門家による消費者への情報提供・相談体制の充実が望まれる。
結論
本研究の成果として取りまとめた提言に基づいて、特定保健用食品の評価の充実が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200939006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
特定保健用食品(特保)の科学的根拠の評価に関して、より科学的かつ効率的な特定保健用食品等の有効性・安全性の評価方法を行う人的資源の育成・確保について、米国の取り組みを参考に、科学的根拠を理解できる指導的立場にある者への教育も含めた取り組みの重要性を明らかにした。

臨床的観点からの成果
応用研究であるため、該当せず。
ガイドライン等の開発
特定保健用食品の有効性・安全性に関する評価のあり方について提言をとりまとめた。1.審査のあり方として①リスクレベルに応じた審査、②審査体制、③再評価制度、2.保健機能表示(健康強調表示)のあり方として①表示のあり方、②過剰摂取・医薬品との相互作用、③審査結果の透明性の確保、3.消費者への適切な情報提供・発信、健康被害情報の収集 に関して具体的な事例も含めとりまとめた。
その他行政的観点からの成果
 特定保健用食品の有効性・安全性に関する評価における審査体制、再評価制度、保健機能の表示といった、食品保健行政上極めて重要な課題についても今後の在り方をまとめた。摂取経験が少ない関与成分を含むもの、カプセルや錠剤など形状が医薬品に類似したもの、科学的根拠が十分でないもの等についてはより厳格な審査を行うとともに、リスクレベルの低いものについては審査を簡略化するなど、リスクレベルに応じた審査制度に見直すことが適当である。本研究で取りまとめた提言を、今後の制度づくりに活用されることが望まれる。
その他のインパクト
サプリメント等に関するアドバイザリースタッフは米国には存在しないが、我が国では複数種類存在し消費者の適切な選択を現場レベルで支援している。今後、栄養情報担当者(NR)などの専門家の更なる資質向上と、消費者への情報提供・相談体制の充実が望まれる。これらの制度・基盤整備により、保健機能食品の本来の目的である国民の健康保持・増進に寄与できるものと考える。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
6件
その他論文(和文)
6件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
11件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計1件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Yamada K, Sato-Mito N, Nagata J, et al.
Health claim evidence requirements in Japan.
J. Nutr. , 138 , 1192-1999  (2008)
原著論文2
Nagata J, Yamada K
Foods with Health Claims in Japan.
Food Sci. Technol. Res. , 14 (6) , 519-524  (2008)
原著論文3
Umegaki K,Taki Y,Endoh K, et al.
Bilobalide in Ginkgo biloba extract is a major substance inducing hepatic CYPs.
J Pharm Pharmacol. , 59 (6) , 871-877  (2007)
原著論文4
Takebayashi J,Yagi Y,Ishii R, et al.
Antioxidant properties of 2-O-beta-D-glucopyranosyl-L-ascorbic acid.
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry , 72 (6) , 1558-1563  (2008)
原著論文5
Takebayashi J,Nagata J,Yamada K
Improved Analytical Precision of 1,4-Dihydroxy-2-naphthoic Acid by High Performance Liquid Chromatography Using Dithiothreitol as Mobile Phase Additive
Food Science and Technology Research , 14 (5) , 509-512  (2008)
原著論文6
Sato Y, Yamagishi A, Hashimoto Y, et al.
Use of dietary supplements among preschool children in Japan.
J Nutr Sci Vitaminol , 55 (4) , 317-325  (2009)
原著論文7
清水雅之、進士三明、松本圭司、他
健康食品と医薬品の併用における有害事象の因果関係判定のための評価分類基準の検討
臨床薬理 , 39 (5) , 169-172  (2008)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-