林業従事者における蜂刺され症例の研究

文献情報

文献番号
200938019A
報告書区分
総括
研究課題名
林業従事者における蜂刺され症例の研究
課題番号
H21-労働・若手-007
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
平田 博国(獨協医科大学 内科学(呼吸器・アレルギー))
研究分担者(所属機関)
  • 福島 康次(獨協医科大学 内科学(呼吸器・アレルギー) )
  • 杉山 公美弥(獨協医科大学 内科学(呼吸器・アレルギー) )
  • 林ゆめ子(獨協医科大学 内科学(呼吸器・アレルギー) )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国ではハチ刺傷による死亡者数は毎年20-30名と報告されている。死因の多くは、ハチ特異的IgE抗体を介したアナフィラキシーショックである。一般的にハチ刺傷後20%の人が特異的IgE抗体を産生し、再刺傷によりアレルギー反応を起こす確率が非常に高い。血清トリプターゼ高値の場合、重症全身症状を呈する。本調査では林野事業職員にハチ刺傷における実態調査を行い、アレルギー体質者を選出することで今後のアドレナリン自己注射製剤適応における前向き研究として遂行する。この様な大規模な疫学的調査は国内外問わず報告がなく学術、経済、社会的メリットも獲得できることから独創的である。
研究方法
2009年7月から4カ月間で、栃木県とその近隣県の森林組合および電力会社に事前に本研究調査内容について承諾して頂き、本研究者が分担して各事業所に伺った。そして、各従事者全員から同意を得て、アンケート調査および採血を施行した。本研究調査に協力して頂いた1718名を対象にアンケート調査内容の解析と血清ハチ(スズメバチおよびアシナガバチ)特異的IgE抗体の測定を委託業者SRL社に、総IgE抗体とトリプターゼを三菱メディエンス株式会社に依頼した。アンケート調査および血清ハチ特異的IgE抗体および総IgE抗体およびトリプターゼ測定から得られた患者情報は独立したコンピューターに保存し(情報管理の徹底)、詳細に解析した。
結果と考察
1,718名を調査した結果、ハチ刺傷経験者は1,504名(87.5%)で、300名(17.5%)に何らかの全身症状{皮膚症状184名 (10.7%)、消化器症状25名(1.5%)、呼吸器症状24名(1.4%)}が認められた。また、ショック症状を呈した者は61名(3.6%)存在した。更に、2008年以前にアドレナリン自己注射製剤を配布されたことのある者は176名(10.2%)で、その使用経験者は7名だったハチ特異的IgE抗体陽性者はスズメバチで587名(34.2%)、アシナガバチで5 92名(34.4%)だった。また、スズメバチIgE抗体陽性者の多くはアシナガバチ刺傷歴の有無にかかわらずアシナガバチIgE抗体が陽性であり、抗原交叉性があるものと考えられた。
結論
これらの結果より、野外活動する約1/3の者は、ハチ刺傷により全身アナフィラキシー反応を起こす危険性が非常に高く、アドレナリン自己注射製剤の配布について、更に徹底する必要性があると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2010-06-15
更新日
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研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-03-24
更新日
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