非正規雇用の一典型としての外国人労働者における労災・職業病リスクの解明と参加型手法による予防対策の確立

文献情報

文献番号
200938017A
報告書区分
総括
研究課題名
非正規雇用の一典型としての外国人労働者における労災・職業病リスクの解明と参加型手法による予防対策の確立
課題番号
H21-労働・一般-005
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
毛利 一平(財団法人 労働科学研究所 研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 酒井 一博(財団法人 労働科学研究所 研究部)
  • 吉川 徹(財団法人 労働科学研究所 研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,870,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、非正規労働者の一典型としての外国人労働者(あるいは日本人非正規労働者)に焦点を当て、(1)労働の場における外国人労働者の疾病と傷害発生の実態とそのメカニズムを明らかにすること、(2)良好事例の収集と分析により、現場で役立つ労働改善のための手法を確立すること、(3)その手法を生かした教育プログラムの開発とその効果を検証し、(4)これらを生かすことのできる政策を提言することである。
研究方法
初年度には、(1)外国人労働者を支援するNPO・労働組合に対するヒアリング調査、(2)労災申請された外国人労働者の個別ケースの詳細な検討、(3)1988年以降、外国人労働者を支援するNPOが刊行する機関紙に掲載された、外国人および日本人非正規労働者の労災・職業病事例の収集と分析により、労災・職業病発生のメカニズムを分析しその予防に必要なエビデンスを収集する。2年目以降、主に経営者や外国人労働者を対象とした包括的な安全衛生トレーニングパッケージを開発し、その有効性を検証する。
結果と考察
日本における外国人労働者の雇用は日系人であれば派遣労働、他の労働者については研修・実習生の形態をとることが多い。こうした現状では外国人労働者の集団自体が非常に流動的で、まとまった集団として把握することは困難である。このため、初年度では外国人の労災補償事例の収集と、その詳細な解析を中心に行った。これらのデータから、外国人労働者においても労働災害に関しては比較的情報が豊富である一方で、職業病の把握は極めて困難であること、特に雇入れ時の安全教育が不十分なこと、その結果少なくない事例が働き始めてわずか数時間から数日で重大な事故に遭遇していること、そもそも基本的な職場の安全対策が不十分であること、労災が発生した場合には解決まで膨大な時間を要し、その社会的費用も大きいことなどが明らかとなってきた。
結論
多く事例で、外国人であるかどうかにかかわらず災害発生の要因となる基本的な安全対策の不備があり、言葉の違いなどによるコミュニケーションの困難や安全教育の不足などが、労働災害発生リスクをさらに高いものとしていると考えられた。このことから、開発すべきツールやプログラムの内容としては、職場の幅広いリスク要因についての改善支援や、外国人の母語による安全教育の充実を含む必要がある。

公開日・更新日

公開日
2010-06-15
更新日
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