健康な高齢労働者を有効に活用するためのエンプロィアビリティー評価手法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200938016A
報告書区分
総括
研究課題名
健康な高齢労働者を有効に活用するためのエンプロィアビリティー評価手法の確立に関する研究
課題番号
H21-労働・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
神代 雅晴(産業医科大学産業生態科学研究所 健康支援部門人間工学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 永田 頌史(産業医科大学産業生態科学研究所 健康支援部門精神保健学研究室)
  • 堀江 正知(産業医科大学産業生態科学研究所 健康支援部門産業保健管理学研究室)
  • 大和 浩(産業医科大学産業生態科学研究所 健康支援部門健康開発科学研究室)
  • 泉 博之(産業医科大学産業生態科学研究所 健康支援部門人間工学研究室)
  • 戸上 英憲(産業医科大学産業医学研究支援施設生体情報研究センター)
  • 川波 祥子(産業医科大学産業生態科学研究所 健康支援部門産業保健管理学研究室)
  • Coleman Jemma (コールマン ジェマ)(産業医科大学産業生態科学研究所 健康支援部門人間工学研究室)
  • 佐藤 望(近畿大学理工学部機械工学科)
  • 榎原 毅(名古屋市立大学大学院医学研究科労働・環境保健学分野)
  • 舟橋 敦(マツダ健康推進センター)
  • 金 一成(トヨタ自動車㈱上郷診療所)
  • 赤津 順一(中部電力㈱浜岡原子力総合事務所浜岡診療所)
  • 杉村 久理(㈱アイ・ティ・フロンティア)
  • 三廻部 肇(日産自動車健康保険組合テクニカルセンター地区診療所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は産業医学的な視点から、70歳現役を想定した日本独自のエンプロィアビリティー評価ツール(Dr.EAT)の開発を目的とした3年間研究の中の初年度研究である。
研究方法
1.産業医学の視点から捉えた企業の高齢労働対策の現況把握
1-1 企業が現在既に行っている、もしくは現在実行もしくは計画中の高齢労働対策の状況を産業保健の視点から探るために大手企業9社の専属産業医を対象としてアンケート/インタビュー調査を実施した。
1-2 株式会社ダイヤモンド社のデータベースに登録されている全国の企業のうち、労働者数が1,000人以上である1,482社のリストを抽出し、郵送方式で依頼し、510社からの有効回答を得た。
2.労働適応能力、職場環境が精神および身体の健康状態に及ぼす影響
大手企業6社を対象として郵送方式で質問紙調査を行い、3,078名から有効回答を得た。主な内容は(1)ワークアビリティ・インデックス(WAI)(2)仕事への態度、意欲(3)仕事への適応性(4)運動習慣(5)60歳以降の就労意欲、生活資金等である。
結果と考察
1)高齢労働者に対する重量物の取り扱い、高所作業、生活習慣病等に対する配慮はなされているが、その他の産業保健対策に関しては配慮されていなかった。
2)継続雇用希望者の採用可否を判断する際、当該労働者の健康状態が一つの評価基準にされていることが明らかとなった。
3)WAIによって評価されたExcellent(優秀)群は他の評価群に比べて、就労意欲、退職希望年齢が高かった。また1週間当たりの運動量も多く、体力、気力の増大に積極的に取り組んでいることが窺われた。60歳を超えるとWAIによって評価されるPoor(不十分?労働適応能力の不足)群が増大するが、逆にExcellent群も増大し、サバイバルイフェクトが顕著に表れることが示唆された。
4)メタボリックシンドローム予防改善を中心とした運動内容と、労働力保持増進のために推奨される運動内容とを分けて考える必要が示唆された。
5)“重要な人材としての評価”“認知機能の低下の自覚”“コミュニケーション”“ストレスへの対応”“職務効力感”の5つの要因が高年齢労働者に対する就業配慮・支援を検討する上で重要である可能性が示唆された。
結論
高齢者の継続雇用に企業は高齢労働者の健康状態を重要視している。さらに、体力・気力増大への積極的な取り組みが、高い労働適応能力維持と関連していた。また、高齢労働者就労には“注意の集中維持機能等に代表される認知機能の変動”や“メンタルストレスへの対応能力”が重要であることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2010-06-15
更新日
-