メンタルヘルス不調者の効果的な職場復帰に関する調査研究

文献情報

文献番号
200938014A
報告書区分
総括
研究課題名
メンタルヘルス不調者の効果的な職場復帰に関する調査研究
課題番号
H21-労働・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
廣 尚典(産業医科大学産業生態科学研究所精神保健学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 島 悟(京都文教大学臨床心理学部臨床心理学科)
  • 黒木 宣夫(東邦大学佐倉病院精神医学)
  • 田中 克俊(北里大学産業精神保健学)
  • 數川 悟(富山県心の健康センター)
  • 北條 稔(北條医院)
  • 井上 幸紀(大阪市立大学神経精神医学)
  • 三柴 丈典(近畿大学法学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
メンタルヘルス不調により休業した労働者の円滑な職場復帰を実現するための職域・地域連携の包括的社会システムの構築の一助となる資料の作成、ツールの開発を行うことを目的として、以下の6つの研究を実施した。①職場においてメンタルヘルス不調者の職場復帰およびその後の職場再適応を支援する際に活用できるチェックリスト(職場再適応チェックリスト)の開発②病院を対象とした職員の精神疾患による休職状況およびその職場復帰支援プログラムの実態調査③教職員の職場復帰支援事業の実態調査④地方都市におけるメンタルヘルス不調者の職場復帰支援体制構築のために利用できる事業場外資源の現状に関する調査⑤大学病院における復職支援デイケアの利用者の分析⑥メンタルヘルス不調者の職場復帰の際に遭遇しやすい問題に関連する法制度、法理論の検討。
研究方法
①産業医、精神科医、EAP担当者による討議および当該労働者への聴き取り調査を実施②協力の得られた関東の病院111箇所の回答を分析③大阪市教育委員会が実施している職場復帰支援事業の実態を検討④一般住民が入手しうる広報資料を用い、一部聞き取りによる確認を実施⑤2年間にわたる某大学病院での復職支援デイケアの活動および利用者の特性を分析⑥問題を2009年に示された復職支援手引きに沿って抽出し検討。
結果と考察
①労働者用、上司用の2種類のチェックリストを開発。使用上の留意点もまとめた。②多くの病院において、メンタルヘルス不調により休業した職員の職場復帰支援は、試行錯誤の段階であることが明らかになった。③短期的な有効性は確認され、効果的な長期的介入の開発が今後の課題といえる。④メンタルヘルス対策支援センターを中心とした連携のさらなる充実などが今後の課題として整理された。⑤利用期間の短縮化とともに、複数回の休職を経験している利用者群への対応が課題として指摘された。⑥休業原因、職種限定の有無等に関する留意点が整理されるとともに、試し出勤についての類型分類がなされた。






結論
労働者の職場復帰支援に関して、1種類のツールを開発した。病院職員、教職員という特殊性の高い職種(職場)の支援のあり方、医療機関における復職支援活動の課題に関する基礎資料を得た。中小規模事業場の多い地方都市における事業場外資源の連携に関する課題が明らかになった。職場復帰支援における法的側面からみた留意点が整理された。

公開日・更新日

公開日
2010-06-15
更新日
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