化学物質の国際調和分類基準(GHS)に対応した感作性化学物質リスト作りとその応用による化学物質の安全使用

文献情報

文献番号
200938011A
報告書区分
総括
研究課題名
化学物質の国際調和分類基準(GHS)に対応した感作性化学物質リスト作りとその応用による化学物質の安全使用
課題番号
H20-労働・一般-009
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
日下 幸則(福井大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 青山公治(鹿児島大学 医学部)
  • 上田 厚(熊本大学 医学部)
  • 原田幸一(熊本大学 医学部)
  • 大槻剛巳(川崎医科大学 医学部)
  • 柴田英治(愛知医科大学 医学部)
  • 竹下達也(和歌山県立医科大学 医学部)
  • 山下邦彦(ダイセル化学工業 コーポレート研究所)
  • 土橋邦生(群馬大学 医学部)
  • 佐藤一博(福井大学 医学部)
  • 皆本景子(熊本大学 医学部)
  • 梅村朋弘(福井大学 医学部)
  • 田村太朗(福井大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
6,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我国の感作性物質の分類基準では、その根拠としてヒトの報告(症例、疫学、検査)のみを採用しており、動物実験の結果を根拠として採用しておらず検討が必要である。ヨーロッパ共同体(EU)では、2007年より化学物質の登録、評価、認可及び制限(REACH)が導入され、EUで年間1トン以上生産または持ち込まれる化学物質はヒトに対する健康影響と環境影響を調べなければならなくなった。REACHは、in vitroやコンピューターを用いた代替法を推奨している。しかし現在感作性に関しては、確立したin vitro検査はなくコンピューターを持ちいた定量的構造活性相関(QSAR)ソフトしかない。我国の感作性分類も動物実験の結果を取り入れた基準を作るとともに、化学物質の2次3次元構造から定量的構造活性相関QSAR(quantitative structure-activity relationships)により毒性を立体構造式より知る(予測)分野が急速に注目を集めており、我国初の皮膚感作性及び世界的にも稀有な呼吸器感作性物質のQSARソフトを作成することとした。
研究方法
2009年度版国際調和分類基準(GHS)の感作性の分類基準、ドイツ学術振興協会(DFG)のMAK(許容濃度委員会)の分類基準、ヨーロッパ共同体(EU)のECBの基準、ドイツの皮膚科医等による基準、アメリカACGIH(米国産業衛生専門官会議)によるそれぞれ感作性の分類基準を考察し、班会議により、我国に適応した感作性の分類基準を作成し、感作性物質リストの物質も再分類することにした。
皮膚感作性物質は、ドイツMAKの感作性物質リストのSahとShの190物質、呼吸器感作性物質はヨーロッパ共同体(EC)の欧州化学庁(ECB)にあるR42とR42/43の116物質でコントロールは製品評価技術基盤機構(NITE)のホームページにあるGHS省庁連絡会議が行なった皮膚感作性物質でないとの報告がある'not classified’の218物質である。以上の2-D,3-D構造からADMEWORKS/ModelBuilderによりQSARモデルを作成した。
結果と考察
我国の感作性分類も動物実験の結果を取り入れた基準ができた。新しい分類基準で再分類した感作性物質リストとともに、来年度公表する(産衛誌52(5), 2010予定)。皮膚QSARモデル、気道QSARモデルとも実用可能なソフトが開発された。
結論
感作性物質リストはドイツMAKやEUのECBのようにリストの拡大も必要と思われる。感作性QSARソフトは更に精度アップのため開発が必要と思われる。

公開日・更新日

公開日
2010-06-15
更新日
-