若手総合医育成による医師不足対策について

文献情報

文献番号
200937066A
報告書区分
総括
研究課題名
若手総合医育成による医師不足対策について
課題番号
H21-医療・指定-005
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
濱口 杉大(江別市立病院医務局総合内科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
1,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
北海道の医師不足の最大の問題は病院勤務医の不足であり、2004年の初期研修必修化に伴い、大学の各医局に入局する医師の数が激減し、それまで大学の各医局からの派遣に頼っていた地方病院からの医師の引き上げが生じた結果、広大な面積を有する北海道ではその影響はより深刻化した。これらの問題を解決するためのシステムの構築には、総合内科医を目指して若手医師が全国から集まる魅力ある教育研修システムを作ることがその端緒であると考え、本研究を行ったものである。
研究方法
教育環境づくりとして、1)内部の教育環境の整備、2)教育専任外部講師の招聘、3)医学教育専門医の定期招聘による研修フィードバック、4)病院ホームページのリニューアルや医学雑誌に連載記事を掲載し外部にアピールする、の4点を実施し、これらの教育環境を作ったことにより22年度の研修応募者や病院見学者の増加に関して考察する。
結果と考察
1)としてカンファレンスの機会の増加、2)として外国を含む医師の招聘、3)として専門医を3ヶ月に1度招聘、4)として病院HPに研修医向けのページを増設する等を行った結果、平成21年度に初期研修医はマッチング2名枠のところ1名であったのが、22年度マッチングでは2名のフルマッチとなった。後期研修医の応募は平成21年度北海道プライマリケアネットワーク後期研修プログラム「ニポポ」からの2名であったが、22年度は北海道家庭医療学センターから1名、長崎大学熱帯医学研究所臨床部門から1名、横須賀海軍病院から1名の計3名の応募があり勤務が決定した。学生実習に関しては札幌医科大学や北海道大学の授業の一環としての学生実習ではなくマッチングを見据えた見学が、平成21年度に3名であったのが、22年度には8名の見学があり、うち2名は北海道外からであった。見学者はさらに増える見込みである。この結果から、総合内科医を養成する環境を作るにあたって、内部の指導体制の強化に加えて外部講師による教育を加え、さらに研修やシステムの評価やフィードバックをおこなうことで若手医師の集まる魅力ある研修環境の基礎が作られたと考える。
結論
研修教育環境の充実、特に指導と評価を強化することにより明らかな研修希望者の増加をもたらすことができた。総合内科医を希望する若手医師が増えることにより、将来の総合内科医循環システムの基礎ができ、北海道の医師不足の緩和に重要な役割を果たすと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2010-06-08
更新日
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