医療機関での職員間情報伝達を改善するための、プレゼンス情報生成手法に関する研究

文献情報

文献番号
200937061A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関での職員間情報伝達を改善するための、プレゼンス情報生成手法に関する研究
課題番号
H21-医療・一般-019
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
山野邉 裕二(国立成育医療センター 臨床研究開発部 医療情報室)
研究分担者(所属機関)
  • 本多 正幸(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 医療情報学)
  • 相澤 志優(国立成育医療センター 臨床研究開発部 医療情報室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療事故やヒヤリハット事例の報告のなかには、発生要因として医師や看護師など医療職間の連携ミスや業務中断が挙げられていることがある。これは病院においても日頃から実感していることであるが、医療事故情報収集等事業においても報告事例中の一定の部分を占めており、この部分の改善が必要である。情報技術(IT)を用いてこの問題の解決を図り、医療安全の向上に寄与するのが当研究全体の目的である。
研究方法
まず、院内PHSを導入している病院において、実際にPHS電話による業務中断がどの程度発生しているかを検討すべく、アンケート調査を実施した。副看護部長、看護師長、副看護師長、一般看護師のべ79名に対し、2009年12月の1週間のPHSの利用についてのアンケート調査を行い調査項目ごとに集計して傾向を探った。
 次に、既存のユニファイド・コミュニケーションシステムと実際の医療機関の現状を比較しながら、医療機関でのプレゼンスのあり方、医療機関における既存システムからのプレゼンス生成手法の検討、今後予想されるプレゼンス生成手法の検討を行い、考えられる状況を列挙し考察を加えた。
結果と考察
 回答記入者は79名、内訳は副看護部長3名、看護師長5名、副看護師長3名、看護師68名であった。これらの対象者における回答に示されたPHSへの着信の延べ回数は1472件であった。そのPHS着信の全体の約6割が何らかの中断があったと答えている。病室などでのケア業務中にPHS着信があると業務中断が起き、PHS利用を制限すべきとする意見が得られた。
 プレゼンス・ソースの検討の結果、PHSや無線端末の位置情報、病院情報システムの操作記録や端末情報、システム内のオーダ予約情報等を組み合わせることなどで、医療機関向けのプレゼンス生成が可能となる。
結論
 医師や看護師など医療職間の連携ミスや業務中断による医療安全への脅威を改善するために、今後は医療機関へのユニファイド・コミュニケーションの導入を検討すべきである。その際には医療機関に適したプレゼンス生成手法を用いるものとする。
 今後は既存のプレゼンス・ソースの他に、職員が持ち歩く携帯電話等の端末の位置情報や各種ステータス情報などを加えることで、医療機関向けの適切なプレゼンス生成に繋げることができると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-