鍼灸を含めた内因性鎮痛法の機序の解明およびがん緩和医療における臨床的適応に関する研究

文献情報

文献番号
200937058A
報告書区分
総括
研究課題名
鍼灸を含めた内因性鎮痛法の機序の解明およびがん緩和医療における臨床的適応に関する研究
課題番号
H21-医療・一般-016
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
下山 直人(国立がんセンター中央病院 手術・緩和医療部)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 達郎(熊本大学大学院医学薬学研究部)
  • 津嘉山 洋(筑波技術大学保健科学部保健学科鍼灸専攻)
  • 田口 奈津子(千葉大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.医療者向け、鍼灸師向け、患者向けの緩和ケアにおける鍼灸のガイドライン作成、2.鍼灸を始めとした刺激鎮痛法の緩和ケアにおける役割を臨床試験で検討すること、3.基礎研究による鍼灸をはじめとした刺激鎮痛法の機序の解明、を目的としている。統合医療のがん緩和ケアに関する臨床研究、基礎研究のトランスレーショナルリサーチの推進も目的とした。
研究方法
1.ガイドライン作成:平成18年度版を、新たなエビデンスの集積に伴い改訂した。また、地域医療と鍼灸師の連携の推進、東洋医学用語の整理として、現状での教育ツールの国際化に関しての基礎作りを行った。
2.緩和ケアにおける鍼灸の有効性に関する臨床試験:乳がん患者に対するパクリタキセル惹起性の末梢神経障害、頭頚部がん患者の頸部郭清術後のひきつれ、肩痛に対する鍼灸の有効性をprospectiveに検討した。
3.内因性鎮痛機序に関する研究:鍼灸を含めた刺激鎮痛法の機序としての内因
性鎮痛物質の中でNAAGに注目し、健常成人において脳内NAAの濃度をコントロールとし、がん性疼痛患者での脳内NAA濃度との比較をおこない、がん性疼痛患者において痛みを定量化する上で、痛みの指標として役立つかどうかの可能性を検討した。
結果と考察
1.鍼灸ガイドラインの作成・発表に関しては、海外との推奨度の違いを補正した。また、東洋医学用語の整理に関しては、これまでの用語集を統合したツリー型用語データーベースを作成した。
2.難治性疼痛治療の臨床研究として、1)乳がん患者に対するパクリタキセルによる末梢神経障害惹起性の神経障害性疼痛に鍼灸を施し、その苦痛症状を有意に低下させることが示された。2)頸部郭清後の皮膚、筋肉のひきつれ感、強い肩痛は、鍼灸治療10回の施行によって、頸部の筋硬度および機能低下の改善が示唆された。
3.NAAの役割に関する研究としては、コントロールとしての健康成人におけるクレアチニン値を、3テスラのMRIを用いた磁気共鳴スペクトルを利用して計測した。
結論
医療者向け、鍼灸師向け、患者向けの緩和ケアにおける鍼灸のガイドライン作成を継続的に行った。その元となるエビデンスのために、臨床試験を計画し、実行した。また、がん緩和ケアにおける統合医療の役割に関する臨床研究、基礎研究のトランスレーショナルリサーチの推進を行った。

公開日・更新日

公開日
2010-05-23
更新日
-