ストレスマネージメントに関する研究

文献情報

文献番号
199700705A
報告書区分
総括
研究課題名
ストレスマネージメントに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 和広(東北大学医学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 脳科学研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ストレス反応には、脳に存在する種々の生理活性物質が関与している。本研究では、ストレス蛋白であるヘムオキシゲナーゼ-1と、血管拡張性ペプチドであるアドレノメデュリンに着目した。ヘムオキシゲナーゼ-1は、ヘムをビリベルジン、鉄と一酸化炭素に分解する酵素である。本研究では、ヘムオキシゲナーゼ-1とアドレノメデュリンについて、脳のストレス反応における生理機能を分子生物学的に解明することを目的とした。
研究方法
剖検時得たヒト脳組織と、神経系の培養細胞であるT98G・A172、HeLa子宮頚癌細胞、DLD-1大腸癌細胞を用いた。ノーザンブロット法・ウエスタンブロット法・ラジオイムノアッセイ法にて、発現を検討した。ラジオリーガンドレセプターアッセイ法にて、脳におけるアドレノメデュリン結合部位を検討した。さらにヘムオキシゲナーゼ-1遺伝子プロモーター機能解析用の融合遺伝子 を培養細胞へ導入し、レポーター遺伝子の一時的発現へのニトロプルシドやその他のNO供与体の影響を解析した。
結果と考察
ヘムオキシゲナーゼ-1は、ヒト脳に発現していた。T98G・A172・HeLa・DLD-1等の培養細胞では、ニトロプルシドなどのNO供与体によってヘムオキシゲナーゼ-1の発現が誘導された(Takahashi K. et al. J. Biochem. 121:1162-1168; 1997)。この発現誘導には、ヘムオキシゲナーゼ-1遺伝子の-4.5 kb-~-4.0 kb領域に存在するカドニウム反応エレメントとAP1が、ともに関与していたが、それより下流に存在する熱ショック反応エレメントは関与していなかった。この様に、一酸化炭素産生酵素であるヘムオキシゲナーゼ-1とNOとの関係をはじめて明らかにした。NOは、脳において神経伝達物質として働いているとともに、神経細胞死を誘導する。ヘムオキシゲナーゼ-1の発現誘導現象は、NOのストレスに対する生体防御機構のひとつとも考えられた。さらに、ヘムオキシゲナーゼ-1遺伝子のプロモーター領域には、GT反復の遺伝子多型が存在することを明らかにした(Kimpara T. et al. Hum. Genet. 100:145-147; 1997)。
血管拡張性ペプチドであるアドレノメデュリンが、ヒト脳で発現していることをはじめて明らかにした(Takahashi K. et al. Peptides 18:1051-1053; 1997)。ヒト脳には、アドレノメデュリン特異的なレセプターが存在する(Sone M. et al. Peptides 18:1125-1129; 1997)。さらに、アドレノメデュリンの発現はインターフェロンなどのサイトカインや低酸素刺激で増加することを証明した(Takahashi K. et al. Peptides 18:1117-1124; 1997, Nakayama M. et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 243:514-517; 1998, Nakayama M. et al. J. Cardiovasc. Pharmacol. 31 (Suppl 1):S534-S536; 1998)。アドレノメデュリンは、脳において低酸素などのストレス時に生体防御機構として作用する重要な因子のひとつと考えられた。
結論
ヘムオキシゲナーゼ-1とアドレノメデュリンは、脳のストレス反応において、重要な生理機能を担っていることが明らかになった。今後、ヘムオキシゲナーゼ-1とアドレノメデュリンの脳における発現の調節機構を分子生物学的に明らかにし、新たなストレスマネージメントの方法の開発を目指したい。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)