小児医療、産科・周産期医療、精神科医療領域と一般救急医療との連携体制構築のための具体的方策に関する研究

文献情報

文献番号
200937053A
報告書区分
総括
研究課題名
小児医療、産科・周産期医療、精神科医療領域と一般救急医療との連携体制構築のための具体的方策に関する研究
課題番号
H21-医療・一般-011
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
宮坂 勝之(長野県立こども病院 麻酔科・小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 左合 治彦(国立成育医療研究センター 周産期診療部)
  • 杉山 直也(財団法人復康会 沼津中央病院)
  • 木村 昭夫(国立国際医療研究センター  病院 救急科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成20年厚生労働省による「救急医療の今後のあり方に関する検討会」の中間取りまとめの提言に基づき、一般の救急領域に対し、産科・小児科・精神科など、特定の診療領域とされる分野を専門とする医療機関の救急体制の位置づけや連携確保方策などについて調査研究。

研究方法
I) 全体討議:小児救急医療・集中治療、精神科救急、周産期医療域の救急をとりあげ、一般救急領域の専門家、改正消防法との関連から、総務省消防庁、厚労省医政局指導課の救急医療専門官を含めた班会議を開催。
II) 個別検討:A) 小児医療領域;1) 一般救急の中での小児救急患者の現状、2) 現在用いられている救急隊の搬送基準の問題点と改良、3)受け入れ医療機関側として整備すべき、設置基準を検討。B)精神科領域;1)精神科救急医療の概念、2) 総合病院精神科の果たす役割、3) 精神病に合併症する病態の医療の討議。C) 周産期医療域;東京地域での産科救急の実態と、一般救急と産科救急の関わりにつき検討。D) 一般救命救急医療;1) 社会的な問題の産科救急の現状の把握、2) 救急科専門医の後期研修プログラムでの、小児科や産科救急の研修のあり方を検討。
結果と考察
交通事故増加に伴う外傷患者対応を中心として救急告示病院制度が始まって以来、一般の救急領域での初期、二次、三次救急とした階層的な整備、地域格差や夜間休日診療体制の充実を含め、量的な整備は進められてきたが、特定の診療領域に踏み込んでの検討、領域間の連携体制に関しての研究は遅れていた。加えて、本研究では、特定救急医療領域とされたどの領域も、独自の救急医療基盤が十分に整備されていないことが認識された。
結論
1.一般救急医療と特定医療領域の円滑な連携体制構築には、限られた医療資源の効率的な活用を妨げる構造的問題の解決が必要。特に一般国民の救急医療に対する意識改革の啓発の必要性を認識。
2.小児救急・集中治療領域:緊急度トリアージ目的の救急隊用の搬送基準を作成。小児ICU設置基準検討では小児科医の救急医療に対する意識面で改革の必要性を認識。
4.精神科救急領域:精神科救急医療の概念、病院精神科と単科病院の役割、合併疾患を有する精神科患者の取り扱いのそれぞれで、構造的な問題の解決の必要性を認識。
5.周産期医療領域:救命を要する搬送産科患者の1割で搬送先がみつからない実態があり、一般救急の妊婦診療能力の向上と、産科と救急科が連携して母体救命にあたる文化の啓発の必要性を示唆。
6.一般救急領域:救急研修医の小児、産科救急の短期間の研修効果の検討。自殺企図患者の急性期期以降の継続医療の課題の認識。

公開日・更新日

公開日
2010-06-11
更新日
-