医療連携モデルを基盤とした総合診療系医と領域別専門医の必要数算定法と専門医制度の検討

文献情報

文献番号
200937045A
報告書区分
総括
研究課題名
医療連携モデルを基盤とした総合診療系医と領域別専門医の必要数算定法と専門医制度の検討
課題番号
H21-医療・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 毅(公立大学法人 福島県立医科大学 医学部 腎臓高血圧・糖尿病内分泌代謝内科)
研究分担者(所属機関)
  • 大生 定義(立教大学 社会学部 診療所所長 )
  • 千田 彰一(香川大学 医学部 総合診療部)
  • 山田 信博(国立大学法人筑波大学)
  • 大鹿 哲郎(筑波大学大学院人間総合科学研究科 疾患制御医学専攻眼科学)
  • 宮崎 俊一(近畿大学 医学部 循環器内科)
  • 宮川 秀一(藤田保健衛生大学 消化器外科)
  • 田倉 智之(大阪大学 医学部 附属病院未来医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
11,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、日本で求められる理想的な医療連携モデルでの各専門医の役割に基づいた必要専門医数の算定方式を構築することを目的としており、本年度は有病率が高く、疫学データが比較的豊富で、専門医とかかりつけ医にて診療が行われる糖尿病を対象疾患として研究を行った。
研究方法
①医療連携モデルの作成にはWeb上公表済み資料を用いた。
②患者数の推定は厚労省・自治体の医療統計などを用いた。既存資料のない糖尿病急性合併症や外科手術糖尿病患者数はDPC病院調査(松田班)のデータから抽出した。
③各患者群への医師の人的資源の投入時間(人年)を推定するため、各領域別医師に対してWeb調査もしくは郵送によるアンケート調査を行った。
結果と考察
医療連携モデルの作成は、専門医が診るべき患者群とかかりつけ医が診療する患者群、 網膜症、腎症など糖尿病合併症を有する患者群、脳血管障害、心血管疾患、外科手術を併発した疾患群を要素とし、すべての糖尿病患者を専門医が診療するモデル、医療連携パスを用いて年1回程度専門医が診療するモデル、ガイドラインに推奨される状況のみ専門医が診療するモデルの3つのモデルに各合併症、併発症の診療形態を組み合わせたモデルを作成した。
各疾患群の患者数の推計は厚労省の患者調査、JDCSなどの各種疫学調査、DPC病院調査(松田班)のデータから必要な疾患群の患者数の抽出により行った。この結果、各疾患群の患者数が推定可能であった。
さらに各疾患群患者に対する、医師の人的資源の投入時間(人年)については、かかりつけ医についてはWeb調査、各専門医(糖尿病、眼科、腎臓、透析、循環器、心臓血管外科、神経内科、脳卒中、脳神経外科)については郵送によるアンケート調査を行い、各疾患群患者一人当たりの、現実と理想的な診療投入時間ならびに当該疾患の労働時間に対するエフォートを推定した。この結果、医師数ベースの計量的モデルの作成に必要なデータを得ることができた。
結論
医療連携モデル、各疾患群の患者数、各領域別の医師の人的資源から、糖尿病診療に関わる各疾患別の専門医数を算出することが可能であった。来年度は、医療連携モデルの効率や患者満足度からみた評価を行い、今回のモデル策定の方法論が他の専門領域に適応するかを他の疾患を用いて検証する。これにより、一般的な専門医制度における専門医の役割分担と必要数の算出に必要な資料について、現在、何が不足しているのかを解明できると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2010-06-01
更新日
-