疾患を中心とした医療連携フローの可視化と医療資源の配置に関する研究

文献情報

文献番号
200937043A
報告書区分
総括
研究課題名
疾患を中心とした医療連携フローの可視化と医療資源の配置に関する研究
課題番号
H21-医療・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
小笠原 克彦(北海道大学 保健科学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山 昌範(東京大学 政策ビジョン研究センター)
  • 大場 久照(北海道情報大学 経営情報学部)
  • 谷川 琢海(放射線医学総合研究所 重粒子医科学センター病院)
  • 寺下 貴美(北海道大学 大学院保健科学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、患者および政策の観点から疾患毎の患者動態および医療機関配置を可視化し、地域毎の効率的な医療連携と医療資源の配置を検討するための基礎資料と分析手法を提案することを目的とする。特に平成21年は地図情報システム(GIS)を構築し、北海道の医療資源偏在の現状と患者フローからみた二次医療圏の妥当性に絞って研究を行った。
研究方法
(1) GISによる医療機関と人口情報の重ね合わせによる医療資源偏在の可視化
 北海道全域の医療機関の住所を緯度・軽度に変換し、医療機関の診療科・病床数や男女別・年齢別人口を組み込んだ医療GISを構築し、小児・産科・脳神経・循環器を担当する医療機関と点表示した人口密度を重ね合わせて表示した。
(2) 患者受診行動シミュレーションのための患者の医療要求度分布の推定
 北海道全域の二次医療圏を対象に、患者移動数、医療資源規模から重力モデルを式変形し、患者の医療要求度を表す式と、患者の医療要求度分布を得た。
(3) GISを用いた北海道における二次医療圏の圏域検証
受療動向調査をもとに、GISにより流出率、移動選好指数および患者の医療機関に通院する平均移動距離を指標として受療動向を二次医療圏および市町村単位で検証し、市町村合併の影響を分析した。
結果と考察
GISによる医療機関と人口情報の重ね合わせを行ったところ、小児は北海道全域で70%程度が20km円に含まれていたが、産科の20km円では都市部しかカバーされていない。
 患者受診行動を模擬するための医療要求度分布の推定した結果、適合するモデルと分布式が推定された。札幌圏に住む患者は距離を負担とせず高度な医療を受けられることが証明された。
 GISを用いた北海道における二次医療圏の圏域検証したところ、7二次医療圏で見直しが必要とされた。また、二次医療圏の変更に伴う医療自給率は、入院・外来ともに7圏域で上昇した。
結論
本年度は、医療GISを構築するとともに、脳卒中・急性心筋梗塞を想定した医療資源の偏在の可視化、および患者動態モデルの構築と二次医療圏の再評価を試みた。これらは、医療提供体制や地域医療に関する医療政策の貴重な資料となることが予想される。

公開日・更新日

公開日
2010-06-18
更新日
-