慢性疾患のガイドライン診療普及法の開発・実証研究

文献情報

文献番号
200937037A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性疾患のガイドライン診療普及法の開発・実証研究
課題番号
H20-医療・一般-029
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
中島 直樹(国立大学法人九州大学)
研究分担者(所属機関)
  • 井口 登與志(九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点)
  • 小林 邦久(国立大学法人九州大学)
  • 小池 城司(福岡市健康づくり財団 健康推進課長 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、慢性疾患のガイドライン診療の疾病管理事業による普及手法の開発・実証である。
かかりつけ医による慢性疾患ガイドライン診療の実現への課題は①ガイドライン数が多く専門化し、正確な遵守が煩雑、②ガイドライン診療の患者個別性対応とその記録が困難、③カルテ記載のみでは長期の疾病の管理が困難、④通院脱落、⑤ガイドラインの検証が困難、が上げられる。疾病管理では通院管理と同時にガイドライン診療を支援する。アウトカム志向型クリティカルパスは、バリアンス解析により、診療行為、評価項目別に最終成果との関連を調べることが可能なため、ガイドラインの検証と進化に貢献する。平成21年度は、代表的4疾患で実証実験を行い、課題を抽出する。
研究方法
糖尿病地域連携パス加え、平成20年度中に開発した①高血圧症、②脂質異常症、③肥満症の地域連携パスを用いて、実証事業を行うが、引き続き研究統括を中島直樹が行った。糖尿病、脂質異常症の地域連携パス管理を小林邦久が行い、高血圧症の地域連携パス管理を小池城司が行い、データ解析は井口登與志が担当した。なお、疾病管理作業は疾病管理業者「カルナ・ヘルスサポート」へ委託した。
結果と考察
平成21年度研究では、先行研究で開発した糖尿病地域連携パスとともに、20年度本研究で開発した高血圧症、脂質異常症および肥満症の計4つの生活習慣病に対する疾病管理事業型・地域連携パスを用いて、実症例各20名(のべ80症例)を用いてパスの検証を行い、臨床現場において可用性、有用性を確認すると同時に、実現場で普及させるための課題の抽出を行った。その結果、これらの4種のパスは、疾病管理事業において有効に機能することが確認できた。同時に、疾患種によってその有用性には差があることが示唆された。また、疾病間の不整合や、ガイドラインの作りの差から項目数などの設定の方向性、肥満症パスでは用いるべき構造そのものが異なる、等の課題も抽出した。
結論
平成21年度研究では、糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満症診療において、複数の診療機関で各20名以上の対象者(重複可)に対してディジーズマネージメント手法を用いてガイドライン診療を支援し、疾病管理の業務アルゴリズムの確立と、これらのパスの可用性を検証した。これにより、主要な生活習慣病に関しては複数の疾患を有する患者のガイドライン診療支援を本疾病管理基盤上で行うことが出来ることを確認すると同時に、課題を抽出しえた。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

文献情報

文献番号
200937037B
報告書区分
総合
研究課題名
慢性疾患のガイドライン診療普及法の開発・実証研究
課題番号
H20-医療・一般-029
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
中島 直樹(国立大学法人九州大学)
研究分担者(所属機関)
  • 井口 登與志(九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点)
  • 小林 邦久(九州大学 医学研究院)
  • 小池 城司(福岡市健康づくり財団 健康推進課長)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、慢性疾患のガイドライン診療の疾病管理事業による普及手法の開発・実証である。
かかりつけ医による慢性疾患ガイドライン診療の実現への課題は①ガイドライン数が多く専門化し、現状での正確な遵守が煩雑、②ガイドライン診療に重要な患者個別性の対応とその記録が困難、③カルテ記載のみでは長期の管理状況の把握が困難、④通院脱落によるガイドライン診療の中断、⑤ガイドラインの検証が困難、が上げられる。疾病管理では通院管理により診療脱落を抑制すると同時にガイドライン診療を支援する。アウトカム志向型クリティカルパスは、バリアンス解析により、診療行為、評価項目別に最終成果との関連を調べることが可能なため、ガイドラインの検証と進化に貢献する。
研究方法
まず、糖尿病分野で疾病管理事業による診療ガイドライン普及手法を確立する。次に、この手法を他の生活習慣病疾患のである①高血圧症、②脂質異常症、③肥満症のガイドライン診療普及へ応用する。
1)糖尿病診療においては調査対象患者を20例以上へ増やすと同時に複数の診療機関において費用効果などの調査を行う。
2)他の生活習慣病への本手法の応用を行う。各疾患の最新の診療ガイドラインをアウトカム志向型クリティカルパスに展開する。
3)現在糖尿病実証実験を行っている研究事務局を用いて、協力診療機関に対して糖尿病とともに高血圧症、脂質異常症、肥満症に対しても、実証実験を施行し課題の抽出を行う。
結果と考察
平成20、21年度で、スケジュール通り、糖尿病地域連携パスの運用を疾病管理基盤で確立するとともに、高血圧症、脂質異常症、肥満症の地域連携パスを開発し、実症例各20名(のべ80症例)を用いてパスの検証実験を行い、臨床現場において可用性、有用性を確認すると同時に、実現場で普及させるための課題の抽出を行った。その結果、これらの4種のパスは、疾病管理事業において有効に機能することが確認できた。同時に、疾患種によってその有用性には差があることが示唆された。

結論
本研究において、生活習慣病の代表である糖尿病、高血圧症、脂質異常症、および肥満症の4つの疾病に対して、疾病管理基盤を用いることにより、それぞれの診療ガイドラインを展開した疾病管理事業型・地域連携パスでガイドライン支援することが可能となった。ガイドライン診療を支援する、第三者機関としての疾病管理事業の有用性と必要性が明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200937037C