患者の視点を重視した診療ガイドラインの評価体系の確立及び普及促進に関する研究

文献情報

文献番号
200937035A
報告書区分
総括
研究課題名
患者の視点を重視した診療ガイドラインの評価体系の確立及び普及促進に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-027
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 敏彦(日本医科大学 医学部)
  • 小泉 俊三(佐賀大学 医学部)
  • 葛西 龍樹(福島県立医科大学 医学部)
  • 平尾 智広(香川大学 医学部)
  • 和田 ちひろ(いいなステーション)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、(1)日本の状況や患者の視点を考慮したAGREE評価票の改訂版の作成、実用性・有効性の検証、(2)EBMの方法論の見直しについてのレビュー、(3)各国における代表的な患者団体の組織運営の実態、診療ガイドライン作成等の医療政策形成への係わり状況、を明らかにする。
研究方法
文献調査、ヒアリング調査、診療ガイドライン評価については評価者を養成して実施した。
結果と考察
(1)AGREEを用いて2009年中に公表された33診療ガイドラインの評価を行い、先行研究の結果とあわせて経時的な検討を行った。最近開発されたものほど質の向上が認められ、特に患者等利害関係者の参加の領域で顕著であった。現在開発が進められているAGREE IIの日本語版を作成し、AGREE Iとのデータの整合性の確認、合わせて昨年度研究で開発された患者の視点を反映した評価項目の実用性の検討を行った。データの整合性は保たれていること、患者の視点を反映した項目した実用可能なことが示された。

(2)現在の医療環境はEBMが開発された時期とは大きく異なっており、単一疾患モデル、RCTへの依存、IT技術の導入を前提に見直される必要がある。欧米における医療IT化の最近の動向、医療内容の評価と標準化にもたらす影響についてレビューを実施した。特に、米国におけるEHR導入の制度化の状況、西欧におけるプライマリケアの電子化に次ぐ、次のステップなど、日本が参考になる点が多く認められた。

(3)また、英国NICEは1999年の設立以来、医療技術評価、診療ガイドラインの作成に大きな貢献をしてきた。最近の活動状況のレビューを、特に効率的なエビデンス産生、インセンティブ付与のあり方に焦点をあてて行った。
結論
本研究では、(1)患者参加についての概念整理、(2)患者の視点を考慮した診療ガイドラインの評価ツールの改訂と実証、(3)各国における患者参加の概要、(4)EBM方法論の見直しの動向、について明らかにした。患者参加を促進するための環境整備は、今後優先度の高い行政的な課題になることが想定される。本研究は、医療標準化の代表的手法である診療ガイドラインを対象にしているが、他の医療分野にもその知見、手法は応用可能であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

文献情報

文献番号
200937035B
報告書区分
総合
研究課題名
患者の視点を重視した診療ガイドラインの評価体系の確立及び普及促進に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-027
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 敏彦(日本医科大学 医学部)
  • 小泉 俊三(佐賀大学 医学部)
  • 葛西 龍樹(福島県立医科大学 医学部)
  • 平尾 智広(香川大学 医学部)
  • 和田 ちひろ(いいなステーション)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、(1)日本の状況や患者の視点を考慮したAGREE評価票の改訂版の作成、実用性・有効性の検証、(2)EBMの方法論の見直しについてのレビュー、(3)各国における代表的な患者団体の組織運営の実態、診療ガイドライン作成等の医療政策形成への係わり状況、を明らかにする。
研究方法
文献調査、ヒアリング調査、診療ガイドライン評価については評価者を養成して実施した。
結果と考察
(1)AGREEを用いて2009年中に公表された33診療ガイドラインの評価を行い、先行研究の結果とあわせて経時的な検討を行った。最近開発されたものほど質の向上が認められ、特に患者等利害関係者の参加の領域で顕著であった。現在開発が進められているAGREE IIの日本語版を作成し、AGREE Iとのデータの整合性の確認、合わせて昨年度研究で開発された患者の視点を反映した評価項目の実用性の検討を行った。データの整合性は保たれていること、患者の視点を反映した項目した実用可能なことが示された。

(2)現在の医療環境はEBMが開発された時期とは大きく異なっており、単一疾患モデル、RCTへの依存、IT技術の導入を前提に見直される必要がある。欧米における医療IT化の最近の動向、医療内容の評価と標準化にもたらす影響についてレビューを実施した。特に、米国におけるEHR導入の制度化の状況、西欧におけるプライマリケアの電子化に次ぐ、次のステップなど、日本が参考になる点が多く認められた。

(3)また、英国NICEは1999年の設立以来、医療技術評価、診療ガイドラインの作成に大きな貢献をしてきた。最近の活動状況のレビューを、特に効率的なエビデンス産生、インセンティブ付与のあり方に焦点をあてて行った。
結論
本研究では、(1)患者参加についての概念整理、(2)患者の視点を考慮した診療ガイドラインの評価ツールの改訂と実証、(3)各国における患者参加の概要、(4)EBM方法論の見直しの動向、について明らかにした。患者参加を促進するための環境整備は、今後優先度の高い行政的な課題になることが想定される。本研究は、医療標準化の代表的手法である診療ガイドラインを対象にしているが、他の医療分野にもその知見、手法は応用可能であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200937035C

成果

専門的・学術的観点からの成果
医療の質の向上、患者参加の方法論の確立は大きな政策、学問的な課題となっている。本研究では、診療ガイドラインの代表的な評価ツールであるAGREE日本語版を用いて日本で開発された診療ガイドラインの系統的評価を実施した。また患者参加の概念を整理し、患者の視点を反映した診療ガイドラインの評価項目を開発し、その実用性を検証した。
臨床的観点からの成果
診療ガイドライン等により、標準的な診療内容を期待される結果とともに明らかにすることは、学会の重要な活動となっている。最近では年間20-30の診療ガイドラインが学会などにより作成されている。本研究により、望ましい診療ガイドラインの要件を明らかにしたことは、良質の診療ガイドラインを効率的に作成する上で重要な貢献を果たしている。また、患者参加型の診療ガイドライン作成も一部試みられているが、その概念整理、患者の視点を明らかにしたことで、この分野でも貢献することが期待される。
ガイドライン等の開発
日本で学会等により開発される診療ガイドラインの、ほぼすべては本研究班の成果であるAGREE日本語版を参考にしながら開発が進められている。また、診療ガイドラインの経時的な分析を行うことで、改善の余地がどこにあるかを明らかにした。最近作成された診療ガイドラインほど完成度が高く、特に、利害関係者の参加、編集の独立性の領域で改善が顕著である。また患者用診療ガイドラインでは医療者用とは異なった編集方針がうかがわれる。
その他行政的観点からの成果
診療ガイドラインの導入、その遵守を図る仕組みを確立することは、日本医療機能評価機構などの行う病院の第三者評価に取り入れられている。また、DPCにおいても新機能係数の候補として中央社会保険医療協議会において検討がなされた。臨床指標を用いた医療評価においても、その指標の多くは診療ガイドラインから得られている。
その他のインパクト
AGREE評価票、診療ガイドラインのデータベースは東邦大学医学部メディアセンターにて一般に公開されている。診療ガイドライン、およびそれから派生する臨床指標は病院の評価の代表的な手法である。昨今、種々のメディアで取り上げられる病院ランキングなどでは、何らかの形でこれらの手法を利用している。

発表件数

原著論文(和文)
11件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
30件
学会発表(国際学会等)
5件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
3件
中医協での新機能係数、病院機能評価、臨床指標によるベンチマーキング
その他成果(普及・啓発活動)
2件
東邦大学医学部メディアセンター、日本医療機能評価機構

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-05-25
更新日
-