実践能力向上に資する看護師国家試験等の改善に関する研究

文献情報

文献番号
200937032A
報告書区分
総括
研究課題名
実践能力向上に資する看護師国家試験等の改善に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-024
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
川本 利恵子(九州大学大学院医学研究院 保健学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 村嶋幸代(東京大学大学院医学系研究科)
  • 金山正子(福岡大学医学部看護学科)
  • 畑尾正彦(日本赤十字秋田看護大学)
  • 杉浦美佐子(日本赤十字豊田看護大学)
  • 中尾久子(九州大学大学院医学研究院 保健学部門 )
  • 金岡麻希(九州大学大学院医学研究院 保健学部門 )
  • 宮園真美(九州大学大学院医学研究院 保健学部門 )
  • 木下由美子(九州大学大学院医学研究院 保健学部門 )
  • 中尾富士子(九州大学大学院医学研究院 保健学部門 )
  • 樗木晶子(九州大学大学院医学研究院 保健学部門 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本年度の研究目的は実践能力を意識するために看護師等国家試験の出題内容や出題形式を検討すること、実践能力向上型とスキルスアナリシス型の問題内容や作成方法を開発し、その模擬問題を試験的に実施し、データを得ることである
研究方法
1.看護師国家試験班は修正イーベル法を活用した第98回看護師国家試験の分析と全国の看護大学の進路指導担当者および教育担当者に国家試験に対する意識と看護実践力を評価する問題に関する調査を行う。2.保健師国家試験班は模擬問題として応募された問題をタクソノミーなどをもとに分析を行い、出題内容と形式の検討を行う。第95回保健師国家試験問題を修正イーベル法を用いて分析し、スキルスアナリシスを目指した問題を検討するために検討を行う。3.九州大学医系地区部局研究倫理審査委員会の審査によって許可された。(許可番号21-60)

結果と考察
1.第98回看護師国家試験問題総数のRDIは0.673、必修問題は0.8以上を維持。第98回看護師国家試験は適切な難易度であった。身体の構造機能に関する基礎的な知識を問う問題のRDIが低く、学生は人体の構造や機能、疾病に関連した問題、なじみのない専門用語、検査に関する問題、図を題材にした問題を苦手としていた。2.調査結果、「Web応募システム」への参加意思は低く、国家試験出題基準の教育活動への活用は低かった。看護実践力は看護の現象で出題すべきであり、現象は体系化すべきであり、看護実践力を評価するときは状況設定に基づく出題形式が有効であると認識していた。3.保健師国家試験模擬問題の出題領域は地域看護学Ⅱが多く、対象別の個別指導が多く、個別・集団の接近技法や直接的支援方法に関する出題が少なかった。タキソノミーレベルは知識を問うレベル(Ⅰ)が多く、判断を問う問題が少なかった。4.第95回保健師国家試験問題のRDIが高いと判断した設問(RDI>=0.65)を抽出して分析したが、簡単な問題が多かった。



結論
1.看護師国家試験のRDIの分析結果、医学の基礎的知識が不足しており、この傾向が判断能力を低下させていると推察した。教員の国家試験に対する関心は低いが、看護実践力には状況判断能力の評価が有効ととらえていることが分かった。2.保健師国家試験模擬問題として応募された問題の検討、および第95回保健師国家試験問題の分析においても、保健師に必要な技能である地域における健康問題を把握あるいは予測するための判断力を問うスキルスアナリシス型の問題が少なかった。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200937032B
報告書区分
総合
研究課題名
実践能力向上に資する看護師国家試験等の改善に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-024
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
川本 利恵子(九州大学大学院医学研究院 保健学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 村嶋幸代(東京大学大学院医学系研究科)
  • 金山正子(福岡大学医学部看護学科)
  • 畑尾正彦(日本赤十字秋田看護大学)
  • 杉浦美佐子(日本赤十字豊田看護大学)
  • 中尾久子(九州大学大学院医学研究院 保健学部門 )
  • 金岡麻希(九州大学大学院医学研究院 保健学部門 )
  • 宮園真美(九州大学大学院医学研究院 保健学部門 )
  • 木下由美子(九州大学大学院医学研究院 保健学部門 )
  • 中尾富士子(九州大学大学院医学研究院 保健学部門 )
  • 樗木晶子(九州大学大学院医学研究院 保健学部門 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は看護師国家試験では公募制の促進をすること、事後評価(修正イーベル法)に基づいた出題内容と出題形式を検討すること、調査によって実践能力向上型問題を検討すること、保健師国家試験では問題作成の啓蒙により公募制を促進すること、保健師に必要な技能である地域における健康問題を把握あるいは予測しうる判断力を問うスキルスアナリシスを目指した問題作成を検討することが目的である。
研究方法
1.看護師班:第97・98回看護師国家試験問題に示された問題の難易度と必要度(修正イーベル法)から、問題の適切性を検討する。さらに、出題内容と出題形式の検討、国家試験後に求められる看護実践能力,出題基準の技術項目到達度に関する調査を行う。さらに、検討開発した教育プログラムの実施し、半構成的面接法で評価を行う。2.保健師班:第95回保健師国家試験問題を修正イーベル法を用いて検討、分析する。スキルスアナリシスを目指した模擬問題を15問作成し、協力校で施行し、問題評価のためにアンケート調査を行う。3.国家試験後の修正イーベル法と調査は九州大学医系地区部局研究倫理審査委員会の審査によって許可された。(許可番号21-60)
結果と考察
1.看護師班:第97・98回とも看護師国家試験は適切な難易度であった。しかし、学生は人体の構造や機能、疾病に関連した問題、なじみのない専門用語、検査に関する問題、図を題材にした問題は難しい、新しく導入された五肢択二問題に対しても難易度が高いと受け止めていた。教員への調査結果より、看護実践力は看護の現象で出題すべきであり、看護実践力を評価するときは状況設定に基づく出題形式が有効であると認識していた。開発した教育プログラムの評価は概ね好評であった。2.保健師班:第95回保健師国家試験問題の修正イーベル法による分析の結果、保健師としての資格を問う問題としては簡単な問題がかなりあった。スキルスアナリシスを目指した作成した模擬問題は保健師としての専門性を問う問題開発につながる手がかりを得ることができた。
結論
1.看護師国家試験は看護の現象をとらえて出題するべきである。評価すべき重要な能力は技術行為ではなく、「状況判断能力」であり、構造機能学、病態学などを基盤にしながら、状況を判断していく力を評価する出題が重要であり、状況設定問題が有効であり、そのためには組織的な問題開発が必要である。2.保健師国家試験は保健師としての専門性を問う出題が必要であり、保健師として地域の健康水準を向上させるために必要な能力を問う問題の開発が必要であることが示された。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200937032C