医療依存度の高い在宅療養者に対する医療的ケアの実態調査および安全性確保に向けた支援関係職種間の効果的な連携の推進に関する検討

文献情報

文献番号
200937030A
報告書区分
総括
研究課題名
医療依存度の高い在宅療養者に対する医療的ケアの実態調査および安全性確保に向けた支援関係職種間の効果的な連携の推進に関する検討
課題番号
H20-医療・一般-021
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
川村 佐和子(聖隷クリストファー大学大学院 看護学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 小倉 朗子(東京都神経科学総合研究所)
  • 本田 彰子(東京医科歯科大学大学院)
  • 中山 優季(東京都神経科学総合研究所)
  • 佐藤 美穂子(日本訪問看護振興財団)
  • 上野 桂子(全国訪問看護事業協会)
  • 三上 裕司(日本医師会)
  • 平林 勝政(國學院大學法科大学院)
  • 齋藤 訓子(日本看護協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
在宅における「たんの吸引」の提供について、国は行政通知を発出し一定の条件下で、家族以外の者による実施を容認した。本研究は、吸引提供に関して、支援関係職種の効果的な連携を推進し、医療依存度の高い在宅者の療養の安全性の向上に資することである。
研究方法
A)昨年度作成した「訪問看護師の関係職種連携ツール(素案)」の一つである「連携パス(素案)」の各連携項目(84項目)の重要度・内容妥当性・実施可能性の評価として、訪問看護師に対する質問紙調査(対象20名)・面接調査(対象15名)を実施し、結果に基づき「連携フロー」を作成した。B)関係職種との連携項目(40項目)の実施状況について、訪問看護師3956名を対象に全国実態調査(回収調査票420件)を実施した。C)現行法制度及びA・Bの結果を検討して「訪問看護師の関係職種連携ツール2009年度版」を作成した。
結果と考察
A)各連携項目に関する4段階評価(1?4点;高得点ほど肯定的)の結果、全調査項目の重要度の平均点は3.88点、内容妥当性は3.81点、実現可能性は3.54点であった。重要度が高い項目は、「家族以外の者に対する指導」「(指導内容の)習得状況の確認」「医療処置実施に関する取り決め」などであった。面接調査の結果、家族以外の者に対する教育に関する課題(時間確保困難・報酬がない等)や「訪問看護師の責任が明確でない」等の意見があった。連携ツールの構成は、項目を集約化して、大項目(11項目)を連携フロー、下位項目(40項目)を連携チェックリストとして作成した。B)連携の実施率が低い項目は、「吸引実施体制に関するカンファレンスの実施(32.9%)」「訪問介護職員による吸引状況の定期的な確認(40.0%)」、「(指導内容の)習得状況の評価(66.4%)」等であった。全連携項目を実施していた者は、27名(6.4%)であった。C)「連携ツール2009年度版」として、活用の手引き・連携体制図・連携フロー・連携チェックリスト・同意書を作成した。
結論
吸引は、本来、医療職の実施が前提である。 医療職のみによる吸引の対応にやむを得ない状況がある場合の在宅療養者の安全確保のための確実な連携には、本連携ツールなどの活用による連携強化に加え、関係職員の責任範囲の明確化や連携を保証する条件整備の必要性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2010-06-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200937030B
報告書区分
総合
研究課題名
医療依存度の高い在宅療養者に対する医療的ケアの実態調査および安全性確保に向けた支援関係職種間の効果的な連携の推進に関する検討
課題番号
H20-医療・一般-021
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
川村 佐和子(聖隷クリストファー大学大学院 看護学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 小倉 朗子(東京都神経科学総合研究所)
  • 本田 彰子(東京医科歯科大学大学院)
  • 中山 優季(東京都神経科学総合研究所)
  • 佐藤 美穂子(日本訪問看護振興財団)
  • 上野 桂子(全国訪問看護事業協会)
  • 三上 裕司(日本医師会)
  • 平林 勝政(國學院大學法科大学院)
  • 齋藤 訓子(日本看護協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
在宅における支援関係職種間の効果的な連携を推進し、医療処置を有する療養者の療養の安全性の向上に資することを目的とする。
研究方法
初年度は、A) 在宅療養者の医療処置実施状況と療養環境に関する実態調査として郵送質問紙法による全国調査(介護支援専門員対象)と地区調査(地区医師会員対象)、B)在宅療養者におけるリスクマネージメントに関する質的検討(吸引・経管栄養・人工肛門処置に関する訪問介護職・訪問看護職対象の面接調査からの抽出問題事例及び在宅で起こりうる院内問題事例のリスク分析・予防策の検討)、C)医療処置の実施に関わる安全性確保に向けた連携ツール(素案)の検討を実施した。最終年度は、D)訪問看護師による連携パス(素案)の評価を行い、連携フローを作成し、連携フローの内容に関して、E)関係職種との連携状況を明らかにする実態調査(訪問看護師対象)を行った。D)E)の結果により、F)吸引提供における訪問看護師の関係職種連携ツールを作成した。
結果と考察
全国調査は、回収率11.4%で、1877名(利用者合計のうち医療処置実施者14.7%)の在宅療養者の概況を把握した。在宅医療処置は、経管栄養、吸引の順に多く、訪問看護利用者は68.0%、訪問介護利用者は51.7%であった。吸引、経管栄養、人工肛門に関する計1,066事象のリスク要因分析により、健康問題の危険性・主要因・予防策が明かになった。健康問題の回避に看護職の果たす役割が大きいことが示唆された。これを受け、法律学的検討の上、訪問看護師の関係職種との連携ツール(素案)を作成し、訪問看護師による妥当性評価を経て、活用の手引き・連携体制図・連携フロー・連携チェックリスト・同意書により構成する連携ツールを作成した。訪問看護師の実施状況調査では、「吸引実施体制に関するカンファレンスの実施」「訪問介護職員による吸引状況の定期的な確認」、「(指導内容の)習得状況の評価」の実施率が低く、全連携項目を実施していた者は、27名(6.4%)であった。実施上の課題として、関係職員の責任範囲や保証に関する課題が明らかになった。
結論
以上より、吸引ニーズへの医療職のみによる対応にやむを得ない状況がある場合の在宅療養者の安全確保のための確実な連携には、本連携ツールなどの活用による連携強化に加え、関係職員の責任範囲の明確化や連携を保証する条件整備の必要性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2010-06-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200937030C