未就業歯科衛生士の現状の把握とその活用に関する研究

文献情報

文献番号
200937029A
報告書区分
総括
研究課題名
未就業歯科衛生士の現状の把握とその活用に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-020
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
高木 裕三(国立大学法人 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木好幸(国立大学法人 東京医科歯科大学 歯学部)
  • 遠藤圭子(国立大学法人 東京医科歯科大学 歯学部)
  • 藤原愛子(静岡県立大学 短期大学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
歯科保健医療ニーズが多様化し拡大する中で、良質なサービスを効率的に提供するには歯科衛生士を充足し、その資質を向上させることが重要である。しかし、我国では名簿登録者の60%弱が未就業である。平成20年度研究では、名簿登録者の過半数を超える未就業歯科衛生士の現状を把握し、再就業への意欲向上に繋がる対策を模索することを目的とした。
研究方法
未就業者の現状を把握するため、島根県と静岡県、東京都にある歯科衛生士養成機関4校の同窓会の協力の下、同窓生1,206名にアンケート調査を実施した。一方、再就業への意欲向上に繋がる方策の検討資料として、歯科衛生士教育の質的・量的高度化と業務範囲の拡大が先行している欧州を訪問して得た歯科事情の情報をまとめ、分析した。
結果と考察
歯科衛生士1206名へのアンケート調査の結果、583名から回答を得た(回収率48.3%)。それらを集計・分析した結果、304名が歯科衛生士として未就業であり、その理由は「出産・育児」と「技術に自信がない」、「雇用条件が合わない」が多かった。また回答者の多くが未就業者の再就業を促すには待遇改善と生涯研修制度が必要であると考えており、歯科衛生士の業務範囲が広がれば、歯科医院の収入が増加すると考えていることが明らかになった。一方、欧州4カ国(イギリス、オランダ、デンマーク、スウェーデン)における歯科衛生士事情の分析では、歯科保健医療サービスを国民に効率的に提供するために歯科衛生士の業務範囲が大きく関わっていることが推察され、今後の我国の歯科保健医療サービスを考える上で重要な情報になると考えられた。
結論
我国の歯科衛生士名簿登録者の過半数を越える未就業者の就業意欲を高めるには、待遇改善と生涯研修制度の確立が必要であると考えられ、また歯科衛生士の業務範囲の拡大は歯科医業を活性化させ、結果として歯科衛生士の待遇改善に繋がると考えている歯科衛生士が多いことがわかった。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

文献情報

文献番号
200937029B
報告書区分
総合
研究課題名
未就業歯科衛生士の現状の把握とその活用に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-020
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
高木 裕三(国立大学法人 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木好幸(国立大学法人 東京医科歯科大学 歯学部)
  • 遠藤圭子(国立大学法人 東京医科歯科大学 歯学部)
  • 藤原愛子(静岡県立大学 短期大学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
歯科保健医療ニーズが多様化し拡大する中で、良質なサービスを効率的に提供するには歯科衛生士を充足し、その資質を向上させることが重要である。しかし、我国では名簿登録者の60%が未就業である。そこで、これら未就業者の現状を把握し、再就業への意欲向上に繋がる方策を検討し、雇用意欲を促すような歯科衛生士の資質向上にむけた対策を模索することが本研究の目的である。
研究方法
未就業者の現状を把握するため、先ず、歯科衛生士の雇用状況と就業状況の調査を実施した。前者は日本歯科医師会の協力の下、会員3,602名にアンケート調査を実施した。後者では島根県と静岡県、東京都にある歯科衛生士養成機関4校の同窓会の協力の下、同窓生1,206名にアンケート調査を実施した。また全国の未就業歯科衛生士数と再就業可能者数を各種統計資料を用いて推計した。一方、再就業への意欲向上に繋がる方策の検討資料として、歯科衛生士教育の質的・量的高度化と業務範囲の拡大が先行している欧州の歯科事情を訪問調査等によって調べ、分析した。
結果と考察
アンケート調査の結果、法に定められている歯科衛生士の業務は歯科医師に十分に認知されており、歯科衛生士に求める資質や業務については教育現場と雇用者の間に齟齬が無い事が示唆された。しかし、歯科診療施設では歯科衛生士の充足がスムースにいっていない状況が示唆された。また、歯科衛生士へのアンケート調査の結果、未就業者の再就業を促すには待遇改善と生涯研修制度が必要であり、歯科衛生士の業務範囲が広がれば歯科医院の収入が増加すると考えているなど、条件が整えば再就業の可能性は少なくないことが示唆された。一方、欧州における歯科事情の分析では、歯科保健医療サービスを国民に効率的に提供するために歯科衛生士の業務範囲が大きく関わっていることが推察され、今後の我国の歯科保健医療サービスを考える上で重要な情報になると考えられた。
結論
我国の歯科医師は法に定められた歯科衛生士の業務を十分認知しており、雇用の意思があるものの、充足がスムースにいっていない状況があることが明らかになった。一方、歯科衛生士は、未就業者の就業意欲を高めるには待遇改善と生涯研修制度の確立が必要であると考えており、歯科衛生士の業務拡大は歯科医業を活性化させ、結果として待遇改善に繋がると考えている歯科衛生士が多いことがわかった。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200937029C

成果

専門的・学術的観点からの成果
我国の歯科衛生士の就業率は国際的に見て際立って低いレベルにある。一方、医療現場では歯科医師は歯科衛生士を雇用する意思はあるものの、充足がスムースにいっていないことが明らかになった。本研究はこれらの問題の背景にある因子の抽出を可能し、解決策の検討に重要な情報を提供した。
臨床的観点からの成果
本研究によって歯科衛生士に求める資質や業務については教育現場と雇用者の間に齟齬が無い事が示唆された。一方、未就業歯科衛生士は待遇や生涯研修などの条件が整えば再就業の可能性が少なくないことも示唆され、歯科衛生士の低い就業率と求人難の問題解決のいとぐちを提供した。
ガイドライン等の開発
介護予防事業や口腔機能向上プログラムが実施されるようになり、歯科衛生士がその業務に就くことが増えつつある。本研究の結果、未就業歯科衛生士も就業者と同程度にこの事業を理解しており、講習の受講希望や事業への参加希望も多いことがわかった。これらの結果は、この事業への新規参加者のためのガイドライン開発の必要性を示した。
その他行政的観点からの成果
欧州4カ国(イギリス、オランダ、デンマーク、スウェーデン)における歯科衛生士事情の分析から、歯科保健医療サービスを国民に効率的に提供するのに歯科衛生士の業務範囲が大きく関わっていることが示唆され、今後の我国の歯科保健医療行政の参照となる可能性を提供した。
その他のインパクト
未就業歯科衛生士が定期的な勤務を中断した理由の大半は結婚や出産であり、引き続き再就業していない理由の第1位も出産・育児である。一方、未就業歯科衛生士は待遇や生涯研修などの条件が整えば再就業の可能性が少なくないことも示唆された。これらの結果は就業しながら結婚・出産・育児が可能になるような柔軟な制度や勤務形態の構築が多くの女性専門職の就労現場で強く求められることを示した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-