医師のキャリアパスを踏まえた地域偏在等の動態分析および医師需給の適正化に関する研究

文献情報

文献番号
200937025A
報告書区分
総括
研究課題名
医師のキャリアパスを踏まえた地域偏在等の動態分析および医師需給の適正化に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-016
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 健康政策医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 小池 創一(東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
  • 児玉 知子(国立保健医療科学院 人材育成部 国際保健人材室)
  • 井出 博生(東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
  • 康永 秀生(東京大学大学院医学系研究科・医療経営政策学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
H20.6「安心と希望の医療確保ビジョン」によれば、医師数については、将来の需要を見通しつつ、医師定員の拡大と医師供給数の十分な確保を実現するとともに、地域的な偏在や専門分野間の格差の解消を推進することが重要であるとされている。特に産科や小児科、救急医療については医師の需給アンバランスが局地的に顕在化しているが、その全体像及び細部の把握は不十分であり、有効な解消策を講じる基礎資料にすら欠く状況である。本研究はこれら諸問題に対する政策立案に資するより詳細な分析資料を提供する。
研究方法
診療科別の医師の転科・離職の状況、勤務医師から開業医師への移動、女性医師の離職・復職の状況等、重要テーマごとに分析を実施。特に新卒医師のいわゆる「医局離れ」についての実証的分析,臨床研修必修化以後の医師の動向把握,大学病院医師の流動化,地域病院から大学病院への医師の引き揚げの実態などについて,医師調査データに基づき可能な限り推計実施。また診療科別医師の卒後動向調査も実施。医師の移動・異動の原因となった動機や具体的や理由の解明のために,医師を対象とした独自の質問票調査を実施。
結果と考察
1)勤務の種別、診療科に着目した医師のキャリアパスと将来推計に関する研究:医療施設の種別(病院・診療所・大学病院)に着目した医師のキャリアについての分析を行うとともに、医療施設別、地域別の将来推計、女性医師の増加に伴う医師数・診療科の分布の変化について分析
2)女性医師のキャリアパス分析:女性医師の診療科レベルでの転科、休職、復職の状況について分析
3)外科系医師のキャリアパスに関する分析:1972-2006年の医師調査の縦断データを用いて,外科系医師の動態について分析実施。開業医への転向および現役引退のどちらも,女性の方が早い傾向が認められ,一般外科に比べて整形外科・脳外科・泌尿器科の方が遅い傾向が認められた。
結論
本研究結果は、近年における医師の地域間・診療科間偏在や需給アンバランスに関わる現状把握と政策立案に資する資料を提供するものである。すなわち、診療科の偏重現象、医師の偏在の現状が一定程度明らかになり、病院の配置医師数等の医療資源配分を最適化に資する基礎資料と利用可能である。また、医師のキャリアパスに影響を与える種々の因子が一定程度明らかとなり、より精緻な将来推計及び適正配置のあり方についての検討に資する資料となる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-21
更新日
-

文献情報

文献番号
200937025B
報告書区分
総合
研究課題名
医師のキャリアパスを踏まえた地域偏在等の動態分析および医師需給の適正化に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-016
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 健康政策医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 小池 創一(東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
  • 児玉 知子(国立保健医療科学院 人材育成部 国際保健人材室)
  • 井出 博生(東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
  • 康永 秀生(東京大学大学院医学系研究科・医療経営政策学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医師調査のデータを個人レベルで継時的に縦断化し、医師のコホート集団における診療科・業務内容・地域などの移動を分析することで、特定診療科の医師数の動向、勤務医から開業医への異動、女性医師の就労状況とそれらに関わる要因等々を分析し、現下の諸問題に関わる現状把握と政策立案に資する資料を提供することを目的とする。
研究方法
1. 多相生命表の原理を用いて、医師の診療科間移動の側面を考慮した医師の将来予測を行った。
2. 1972-2004年における外科系医師の動態を分析した。医療施設調査から、1981-2005年における3年ごとの手術件数の集計値を引用し、手術件数の変化に影響を与える要因を分析した。1981年以降に登録された医師の卒後20年までの届出及び就労状況も集計した。
3. 診療科別の転科・離職状況,勤務医師から開業医師への移動について分析を実施した。診療科別の調査については、産婦人科・小児科に加えて、近年の「外科離れ」の状況を解明すべく、外科系医師のキャリアパスについても分析を行った。
4. 医師を対象とした独自の質問票調査を実施した。医師個人の異動・転科の経験、現職・前職の仕事内容や所得の概要、異動・転科の理由・動機、今後の異動・転科の意志などについて質問した。
結果と考察
1. 現状が今後も続くと想定し、診療所勤務医師がさらに増加すること、診療科別では産婦人科、外科とも現状を下回る水準が続く推計結果を得た。女性割合が多いと、小児科、産婦人科では、医師数は増加し、外科では減少するという推計結果を得た。
2.女性医師復職に向け、医師全体の就労動態をモニターしつつ、継続的な就労および復職への支援を検討する必要がある。
3. 医師調査・医療施設調査・人口統計などの集計データを用いて、全身麻酔手術件数と全外科系医師数・手術施設数・65歳以上人口・国内総生産との関連を検討した。
4. 1972-2006年の医師調査の縦断データを用いて、外科系医師の動態について分析を行った。開業医への転向および現役引退のどちらも、女性の方が有意に早い傾向が認められ、一般外科に比べて整形外科・脳外科・泌尿器科の方が遅い傾向が認められた。
結論
診療科の偏重現象、医師の偏在の現状が一定程度明らかになり、病院の配置医師数等の医療資源配分を最適化に資する基礎資料を提供する。医師の人材活用のためには、個人のキャリアパスに対応できる柔軟な雇用形態、及び人材のきめ細かな動態把握が必要であり、そのための基礎資料を提供する。

公開日・更新日

公開日
2010-05-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200937025C