医師過剰業務解消に向けた新たな医療専門職育成のための予備的研究

文献情報

文献番号
200937023A
報告書区分
総括
研究課題名
医師過剰業務解消に向けた新たな医療専門職育成のための予備的研究
課題番号
H20-医療・一般-013
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 龍太(昭和大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 中西 淑美(山形大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
1,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
この1,2年で急速に地方の基点病院、救急病院の医師不足が顕在化してきた。この理由は質の高い安全な医療の要望、医療紛争の多発、救急患者の集中、法令遵守による規律の要望、研修医制度による医師の偏在、教育の負担等が医師に重くのしかかり、医師の業務負担、精神的負担が急激に増大し、医師の疲弊感、が強まったためであると考えられている。厚労省も医師不足対策を喫緊の課題としている。今回の研究で勤務医師の業務負担増の原因を解明し業務改善のために医療分野に新しい職種を導入し、分業による医療者負担減を提案する。
研究方法
1. 2008年度に当研究で行った日本の救急病院勤務医・看護師の業務の実態とストレスの原因調査をまとめた。
2. 米国ボストンで開催された国際学会に出席し、以前から依頼していたハーバード大学ブリガム&ウイメンズ病院(BWH)の医療職種調査に関して研究者と調査結果の報告を受けた。
3. 病院勤務医のストレス調査で医師が最も負担を感ずる業務は書類業務(診断書記載)であった。2009年度はその点に注目し、実験的に診断書記載業務に対して医師へ記載に対する報酬を一部還元した。またその結果をアンケート調査した。
4. 本研究成果の一部を神奈川県医師学報に発表した。
結果と考察
1. 医師が負担が強いと感じている業務は①診断書等の書類業務、②直接臨床業務、③会議の順であった。看護師は①会議、②書類業務、③教育であった。どちらも書類業務と会議の負担感が強かった。この結果に基づき医師が診断書を記載した場合、報酬の一部(10%)を記載者に還元する方策を実施した。その実態をアンケート調査した結果、報酬還元は賛成であり、診断書を書くのが前より嫌でなくなったという意見が50%にみられ、効果があるものと考えられた。
2. 米国ハーバード大学BW Hでは日本では考えられないほど種々の医療職が存在していた。退院後のコーディネーター、診療予約専門の秘書、会計担当者、手術スケヂューラー等の秘書・事務系の専門職種が多かった。
結論
1. 医療者が負担に感ずる業務は書類業務、会議、教育など直接臨床以外のものが多かった。
2. これに関しては医療事務やIT化、教育担当者等の対応で改善できると考えられた。
3. 一方米国と比較すると日本では医療職の種類・人員が全く貧弱であり、米国のシステムは今後の参考になると考えられた。
4. 医師の書類業務、教育業務を担当する専門職の導入が必要であると考えた。

公開日・更新日

公開日
2010-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-03-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200937023B
報告書区分
総合
研究課題名
医師過剰業務解消に向けた新たな医療専門職育成のための予備的研究
課題番号
H20-医療・一般-013
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 龍太(昭和大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 中西 淑美(山形大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
この1,2年で急速に地方の基点病院、救急病院の医師不足が顕在化してきた。この理由は質の高い安全な医療の要望、医療紛争の多発、救急患者の集中、法令遵守による規律の要望、研修医制度による医師の偏在、教育の負担等が医師に重くのしかかり、医師の業務負担、精神的負担が急激に増大し、医師の疲弊感、が強まったためであると考えられている。厚労省も医師不足対策を喫緊の課題としている。今回の研究で勤務医師の業務負担増の原因を解明し業務改善のために医療分野に新しい職種を導入し、分業による医療者負担減を提案する。
研究方法
2008年度
1. 日本の救急病院勤務医・看護師の業務の実態とストレスの原因調査をした。
2. 米国のメディエーターの現状を調査した。
3.成果を学会で発表した。
2009年度
1.ハーバード大学ブリガム&ウイメンズ病院(BWH)の医療職種調査に関して調査を行った。
2.医師が最も負担を感ずる業務は診断書作成業務であったので、実験的に診断書記載した医師へ報酬を一部還元した。またその結果をアンケート調査した。
3. 成果を論文で発表した。
結果と考察
1. 951件のアンケートが集積された。医師が負担が強いと感じている業務は①診断書等の書類業務、②直接臨床業務、③会議の順であった。看護師は①会議、②書類業務、③教育であった。
2. 望まれる医療職種は医師が①有資格メディエーター、②診断書作成士、③院内介護士、④静脈確保看護師、⑤トランスクリプターであり、看護師が①有資格メディエーター、②院内介護士、③専門ナース、④教育メンター、⑤診断書作成士であった。
3. 診断書の報酬を一部還元することに対するアンケートでは、報酬還元は賛成で、診断書を書くのが前より嫌でなくなったという意見が50%にみられた。
4. 米国ハーバード大学BW Hでは多くの医療職が存在していた。診療予約専門の秘書、手術スケヂューラー等の秘書・事務系の専門職種が多かった。
結論
1. 医療者が負担に感ずる業務は書類業務、会議、教育など直接臨床以外のものが多かった。
2. 望まれる医療職種は有資格メディエーター、診断書作成士、院内介護士、専門ナース等であった。
3. 院内介護士、専門ナースは人員の充実が望まれた。有資格メディエーターと診断書作成士は制度の改正が必要だが、実現は可能と考えられた。
4. 一方米国と比較すると日本では医療職の種類・人員が全く貧弱であり、米国のシステムは今後の参考になると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2010-05-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200937023C