文献情報
文献番号
200937016A
報告書区分
総括
研究課題名
医療の発展と患者の保護をめぐる倫理・法の現代的課題に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
岩田 太(上智大学 法学部国際関係法学科)
研究分担者(所属機関)
- 樋口 範雄(東京大学大学院 法学政治学研究科)
- 佐藤 恵子(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻遺伝カウンセラー・コーディネーターユニット)
- 我妻 学(首都大学東京 法科大学院)
- 木戸浩一郎(帝京大学 産婦人科)
- 児玉 安司(三宅坂総合法律事務所・東京大学医学部)
- 佐藤雄一郎(神戸学院大学 法学部)
- 畑中 綾子(東京大学大学院 公共政策連携研究部)
- 土屋 裕子(東京大学大学院 法学政治学研究科)
- 水野 謙(学習院大学 法学部)
- 石川 優佳(大阪学院大学 法学部)
- 小山田朋子(明治大学 政治経済学部)
- 秋元奈穂子(ビンガム・マカッチェン・ムラセ外国法事務弁護士事務所 坂井・三村・相澤法律事務所)
- 藤澤 由和(静岡県立大学 経営情報学部公共政策系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究においては,医療技術が急速に発展する中,患者の保護をめぐって新たな状況が起こっているとの認識から,医療専門家に求められる倫理とそれに対応する法の役割の批判的検討を行い,将来の患者保護法制のあるべき姿を考察した.
研究方法
そのため,単なる理論的な検討だけでなく,常に現実の諸問題や政策策定上の問題点を意識しつつ,以下の3つの柱をたてつつ,月1回のペースで研究会を開催し平成21年度末までに20回を越える研究会開催した.1.国内外の医療倫理と法を巡る議論に関する現代の理論状況の調査,2.医療倫理と法を巡る国内外の専門家との連携の強化,海外調査および,研究会の開催,3.現代の日本における医療倫理をめぐる医療者および国民や患者の意識を探る研究.
結果と考察
ジョージ・アナス『患者の権利―患者本位で安全な医療の実現のために』などを素材としつつ,各メンバーが独自の論点を発展させ検討を重ね,平成21年度末までに20回を越える研究会開催した.その過程では,日本については,現状の倫理をめぐる状況把握のために,生命倫理の中心論点である移植医療をめぐる様々な論点や,生命倫理の重要な課題である医療事故をめぐる諸論点や謝罪の機能についても検討を行った.同時にRobart B Leflar教授(U.Arkansas)やDr. Jillann Farmer(Queensland Health)など海外からのゲストも招き海外の最新事情の聴取および意見交換を行った.特に法が医療専門家による自律をどのように推進し,または,阻害してきたかを批判的に分析し,法の介入のあり方の再検討を行ってきた.
結論
患者の権利,医療と法をめぐる諸論点について,従来の法解釈学を中心とする狭い意味での法学的な検討だけではなく,そのような手法が実際の医療に与える影響を考慮に入れながら,法的な介入の妥当性を再検討した.もちろんこのような再検討は一朝一夕に実現できるものではなく,本研究ではその端緒がついたに過ぎないが,重要な一歩であると自負するところである.今後ともこのような視点を研究することが重要であるが,本研究班では分担者だけではなく,協力者にも比較的若手の研究者が多く関与しており,その意味では将来に向け種を蒔く機能は担えたのではないかと考える.これらの研究は近い将来(2010年度中)に出版に向け鋭意努力を続けていく予定である.
公開日・更新日
公開日
2010-06-03
更新日
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