EBMに基づいた健康診査の評価とガイドライン作成に関する研究

文献情報

文献番号
200937013A
報告書区分
総括
研究課題名
EBMに基づいた健康診査の評価とガイドライン作成に関する研究
課題番号
H19-医療・一般-016
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
新保 卓郎(国立国際医療センター研究所 国際臨床研究センター・医療情報解析研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 福井次矢(聖路加国際病院)
  • 松井邦彦(熊本大学)
  • 徳田安春(水戸協同病院(筑波大学大学院))
  • 高橋理(聖路加国際病院)
  • 福岡敏雄(倉敷中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 国内外のエビデンスを系統的に評価し、BMI、メタボリックシンドローム(MS)、心電図を対象としたスクリーニングについて考察することを目的とした。また健診・保健指導実施体制からの新たなエビデンスを創出できる体制を構築することを目指した。
研究方法
エビデンスの評価としては、UKPDSの方法に準じた。即ちエビデンスを系統的に検索評価し、重要な論文に関して構造化抄録を作成した。ランダム化比較試験は存在しておらず、このためanalytic frameworkに基づいたエビデンスの連鎖を考慮した。このanalytic frameworkでは特に、有病率、検査の特性(費用や有害事象も含む)、発見された状態を治療する時の効果や有害事象、スクリーニング全体での費用対効果などを考慮した。作成された草案に関して研究分担者も含め討議を行い、推奨レベルについても考察した。
 また、健診実施体制からのエビデンスの創出体制構築のために、研究分担者の施設の予防医療センターから、1.5万人規模の健常人の健診受診者について継時的に結果を入手し、解析を可能とする体制を構築した。
結果と考察
特にMSを発見しその後に生活習慣改善指導を行うことについては、そのような保健指導の効果が問題となるが、内外から多数の報告があり一定の効果が予想された。しかし、医療対応が必要となりむしろ高血圧や糖尿病として把握されるべきMS以外のMSと合併症との関連を検討した疫学研究、診断基準、スクリーニングの費用対効果、喫煙など他の危険因子予防対策との優先順位、等の点が問題になる可能性が考えられた。 国内では近年、肥満者や糖尿病の増加が顕著である。エビデンスを得ることは容易ではなく、エビデンスがでるまで待つべきではないという議論もありうる。しかし特にMSについては急速に新たなエビデンスが増加している時期であり、評価のためにはさらにエビデンスが必要と考えられた。
 また高血圧に関しては脂質異常症と同様に、短期の個人内変動を考慮すると、健診間隔として3年間を設定できる可能性が考慮された。糖の健診に関しては、HbA1c 5.5?5.9%であれば、その後3年間に糖尿病を発症する可能性は1.0%であり、健診間隔として3年を設定できる可能性が示唆された
結論
特にMSについては、評価のためにはさらにエビデンスが必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2010-05-26
更新日
-

文献情報

文献番号
200937013B
報告書区分
総合
研究課題名
EBMに基づいた健康診査の評価とガイドライン作成に関する研究
課題番号
H19-医療・一般-016
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
新保 卓郎(国立国際医療センター研究所 国際臨床研究センター・医療情報解析研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 福井次矢(聖路加国際病院)
  • 松井邦彦(熊本大学医学部)
  • 徳田安春(水戸協同病院(筑波大学大学院))
  • 高橋理(聖路加国際病院)
  • 福岡敏雄(倉敷中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では6項目の課題を設定した。これは、1)健康診査の新たなエビデンスの探索と評価、2)ガイドライン作成時の合意形成手法の開発、3)健診・保健指導実施体制からの新たなエビデンス創出手法の開発、4)海外のガイドライン作成体制の調査、5)情報提供の在り方に関わる検討、6)ガイドライン改訂版作成、であった。
研究方法
研究期間中、1)4)に関しては、UKPDSの方法などに準じてBMI、肥満、うつ病、メタボリックシンドローム(MS)、血液一般検査、心電図に関して評価を行った。MSについては費用効果分析を実施した。3)については、1.5万人規模の健診受診者について継時的に結果を入手し、解析を可能とする体制を構築した。5)についてはMINDSとの共同作業を実施した。これらを通じ6)を目指した。
結果と考察
1)4)は、特にMSの健診と保健指導は、内外から多数の報告があり一定の効果が予想された。問題点として、医療対応が必要となる場合以外のMSと合併症との関連を検討した疫学研究、診断基準、スクリーニングの費用対効果、喫煙など他の危険因子予防対策との優先順位、等が考えられた。費用効果分析では、保健指導による糖尿病罹患の予防効果40%と大きめの見積もり下で、男性443万円/QALY、女性874万円/QALYと計算された。感度分析では糖尿病予防の効果の影響が大きく、さらに詳細な検討が必要と考えられた。3)は、検査データの短期的個人内変動を考慮し、脂質異常症に関しては3年に1回程度の健診間隔も考慮された。またHbA1c 5.5?5.9%であれば、3年間に糖尿病を発症する可能性は1.0%であり、3年の健診間隔を設定できる可能性が示唆された。5)は、研究期間中にMINDS医療情報サービスに「健康診査の健診項目」を掲載し、また一般向けの疾患解説、ガイドライン解説をMINDSと共同で作成した。6)は、研究期間中に複数の健診項目の系統的な評価まで終了した。しかし特にMSについては急速に新たなエビデンスが増加している時期であり、評価のためにはさらにエビデンスが必要と考えられた。
結論
複数の健診項目に関して費用効果分析を含む評価を行った。また大規模で継時的な健診結果を利用することにより、効率的な健診体制構築に資するエビデンスを造れることが示された。MSを対象とした健診ではさらにエビデンスの蓄積が必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2010-05-26
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200937013C