文献情報
文献番号
200937011A
報告書区分
総括
研究課題名
日本版EHR(生涯健康医療電子記録)の実現に向けた研究
課題番号
H19-医療・一般-014
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
田中 博(東京医科歯科大学 疾患生命科学研究部)
研究分担者(所属機関)
- 木村 通男(浜松医科大学 医学部附属病院)
- 山本 隆一(東京大学 大学院情報学環・学際情報学府)
- 岡田 美保子(川崎医療福祉大学)
- 野川 裕記(東京医科歯科大学)
- 中谷 純(東京医科歯科大学)
- 宮本 正喜(兵庫医科大学)
- 原 量宏(香川大学 医学部付属病院)
- 吉田 純(独立行政法人国立病院機構東名古屋病院)
- 折井 孝男(NTT東日本関東病院)
- 辰巳 治之(札幌医科大学 医学部)
- 岡本 悦司(国立保健医療科学院)
- 信友 浩一(九州大学)
- 永田 宏(長浜バイオ大学 コンピュータバイオサイエンス学科)
- 秋山 昌範(東京大学 政策ビジョン研究センター)
- 土屋 文人(東京医科歯科大学 歯学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
我が国の医療は地域医療の崩壊や、産科、小児科、救急医療の破綻など様々な危機的状況を招きつつある。特に、慢性疾患患者が人工透析療法へと移行するケースが増加し、医療費に与える影響が大きい。これらの課題に対応するために、我が国の医療の再生を目指す新たな「医療社会システム」の創出が希求されている。本研究班では、この医療社会システムを「共通診療情報基盤(医療の公共インフラ)」として日本版EHRの検討を行ってきた。
研究方法
研究班を4つの分科会にわけ、それぞれの分科会で成果を挙げた。標準化・セキュリティ分科会では昨年に引き続き国民意識についての調査を行っている。地域医療連携分科会では、ICTを用いた地域医療連携を活発に実施している地域(北海道、千葉県、愛知県、兵庫県、香川県)で実際の情報連携について技術的検討と有用性の効果について研究を行った。医療経済分科会では、保健指導による患者への効果および医療費への効果を評価する介入研究と特定保健指導の実施の医療費に及ぼす影響に関する観察研究を行っている。評価・シミュレーション分科会では医療データの利活用について研究を行っている。
結果と考察
本年度の研究とこれまでの2年間の研究成果により、地域EHRの重要性を明らかにした。この地域医療EHRを構成する要素としては、1.地域クリティカルパスによる慢性疾患の地域完結型疾患管理、2.救急・産科・小児の医療資源を管理しデータベースを管理する地域医療情報センター、3. ミニマムEHRとしてのレセプト・ナショナルデータベースからの処方歴が挙げられる。これらにより構成される地域EHRによりより効率的な医療や疾病管理のための基盤の提供ができるものと結論づける。これらの結論をふまえると、今後の具体的な実行計画としては、2点を考えている。1点は処方歴サマリーEHRの構築である。処方情報の利活用により、大きな効果が期待できる。もう1点は糖尿病の類型の全国的推進である。本年度の研究成果からも糖尿病のパスは確立できており、地域EHRの効果についても十分な結果を得ている。このような地域連携パスが普及することにより、日本の医療のさらなる効率化が進むと考えている。
結論
本年の研究成果により、地域EHRから日本版EHRへの方向を示すことができた。また、各地域における医療情報ネットワークで技術的な検討と有用性の効果の研究を行うことにより、生涯健康記録やminimum EHRと地域EHRの結合のモデルを示すことができたと考えている。これらの成果を用い、日本版EHRの実現に向けた戦略的枠組みに対するガイドラインを発表する予定である。
公開日・更新日
公開日
2010-05-31
更新日
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