医療放射線の安全確保に関する研究

文献情報

文献番号
200937003A
報告書区分
総括
研究課題名
医療放射線の安全確保に関する研究
課題番号
H19-医療・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
細野 眞(近畿大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 岡野 友宏(昭和大学 歯学部)
  • 成田 浩人(東京慈恵会医科大学 附属病院)
  • 山口 一郎(国立保健医療科学院 生活環境部)
  • 赤羽 正章(東京大学 医学部)
  • 大場 久照(弘前大学大学院 保健学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療分野の放射線の安全利用においては、国際放射線防護委員会(ICRP)2007年新基本勧告やPublication 105「医学における放射線防護」に示されているように、放射線被ばくを伴う医療行為を実施する場合、被ばくよって得られる患者の利益とリスクを考慮した正当化の判断がなされ、医療の目的に合った最適化が確実に行われることを原則としている。このような正当化と最適化の過程を通じて、安全かつ有効な医療が実現できると考えられる。特に2007年勧告においては、最適化の具体的な施策として診断参考レベル、医療機器の保守点検と品質保証、放射線安全に係る職員研修、などの要件を満たすことを強調している。一方、国内においては、「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律」により、医療機関の管理者に医療安全に係る指針の整備、職員研修の実施等に関する安全管理体制の整備を義務づけ、また、医療機器の保守点検の実施を求めている。本研究課題は、わが国の医療機関に適用可能な、国際的に整合する医療放射線の安全確保に資する具体的な指針(案)を作成し、医療の安全確保に寄与することを目的とする。
研究方法
基礎的・技術的検討、実態調査、既存の報告の解析、国際動向の考察などの手法を用いて、診断参考レベル、医療機器の保守点検・品質保証、放射線安全に係る職員研修などの課題について分担して研究を実施した。
結果と考察
我が国における具体的な診断参考レベルについては、歯科領域は岡野分担研究者、医科領域は成田分担研究者が中心となって検討し、具体的な値の案を提示し、これは今後国内で診断参考レベルを設定して行くうえで極めて重要な基礎資料となると考えられた。各医療機関で線量測定が必要になるので細野主任研究者の分担課題では、エックス線装置の線量測定の簡易な方法として、個人被ばく線量測定用のガラスバッチと半導体測定器を用いる方法を提唱した。またとりわけ医療被ばくの中で大きな部分を占めるCTについては、赤羽分担研究者が診断能確保と線量低減に関する検討を行った。放射線機器の品質保証・保守管理、放射線安全に係る職員研修、患者との良好なコミュニケーションも重要な項目であり、岡野分担研究者、成田分担研究者、山口分担研究者、大場分担研究者が実態を調査し、考察・指針を提示した。
結論
本研究で示した診断参考レベル、医療機器の保守点検・品質保証、職員研修などの要素は安全で有効な放射線医療を確立するうえで不可欠なものであり、医療機関で確実に実施されるように行政、関連団体が連携し環境整備を進めていくことが必要であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-03-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200937003B
報告書区分
総合
研究課題名
医療放射線の安全確保に関する研究
課題番号
H19-医療・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
細野 眞(近畿大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 岡野 友宏(昭和大学 歯学部)
  • 成田 浩人(東京慈恵会医科大学 附属病院)
  • 山口 一郎(国立保健医療科学院 生活環境部)
  • 赤羽 正章(東京大学 医学部)
  • 大場 久照(弘前大学大学院 保健学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療放射線分野の装置・機器、手技の進歩は著しく、診断と治療において放射線の利用は不可欠のものとなっている。高度化した医療放射線を安全に、かつ適切な線量等に基づいて実施するために、制度の整備、指針の提示、医療従事者への啓発などを通じて正当化と最適化の原則を確実に推進することが重要である。本研究(平成19年度-21年度)は、主要なテーマのひとつとして診断参考レベルに取り組んできた。診断参考レベルは、医療機器の保守点検・品質保証、放射線安全に係る職員研修などの医療放射線安全の要素と密接な繋がりがあり、診断参考レベルを確立することは医療放射線安全の実現に向けて大きな前進となる。そこで、国内放射線診療の実態、国内外の既存の報告、国際動向を調査検討し、国内における歯科領域・医科領域の具体的な診断参考レベルを提案することを目的とした。
研究方法
我が国における診断参考レベルの導入に向けて、診断参考レベルの基本的な概念、設定の方法論について考察し、国内放射線診療の調査を実施し、それに基づいて、歯科領域、医科領域それぞれにおいて具体的な診断参考レベルの値を提案し、具体的な運用方法についても考察した。また医療機器の保守点検・品質保証、放射線安全に係る職員研修などの要件についても考察した。
結果と考察
放射線診断の中でエックス線撮影・CTの診断参考レベルについて、既存の報告に基づいて計測すべき線量・計測方法を考察し、エックス線撮影については入射表面線量(mGy)等、CTについてはCTDIvol(mGy)等を用いるのが妥当と考えた。代表的な撮影部位等について、既存の報告や本研究での調査結果に基づいて、診断参考レベルの推奨値を提案し、その設定根拠を明示した。また診断能確保と線量低減を両立するための撮影条件の最適化についても考察した。撮影線量の測定や診断参考レベルとの適合の検証には、保守点検・品質保証、職員研修が不可欠であることが示された。さらに放射線診療・診断参考レベルと関連したリスクコミュニケーションのあり方も検討した。
結論
今回提案した診断参考レベルの値は、国内への診断参考レベル導入の布石になる。診断参考レベルを確立し運用することは、保守点検・品質保証、職員研修を通じて、診断領域の放射線利用の安全性と有効性を包括的に確立することであり、さらに医療内容自体の安全性と有効性を実現することにつながると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200937003C