医療安全推進に必須の組織文化(安全文化)の測定および簡便な有害事象把握手法の開発と活用

文献情報

文献番号
200937002A
報告書区分
総括
研究課題名
医療安全推進に必須の組織文化(安全文化)の測定および簡便な有害事象把握手法の開発と活用
課題番号
H19-医療・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
種田 憲一郎(国立保健医療科学院 政策科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 児玉 知子(国立保健医療科学院 人材育成部)
  • 平尾 智広(香川大学 医学部)
  • 長谷川 敏彦(日本医科大学 医療管理学教室 )
  • 長谷川 友紀(東邦大学医学部 社会医学講座)
  • 池田 俊也(国際医療福祉大学大学院 医療経営管理)
  • 兼児 敏浩(三重大学医学部付属病院 安全管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
これまで様々な医療安全の活動が行われており、それらの評価が求められている。その評価の方法として、医療安全活動の推進に必須である安全文化の醸成(ソフト面)の測定と、医療安全活動の最終的な目標は有害事象の予防であるが、その有害事象発生の把握(ハード面)から包括的に評価を行うことが必要である。当該研究はその手法・ツールの開発を目的とした。研究の3年目(最終年度)である今年度は、評価手法・ツールの実行可能性を最終的に検討し、さらに安全文化を醸成し得る有効な医療安全研修等の検討を行うことを目的とした。
研究方法
(1)前年度の安全文化測定結果の分析と安全文化の調査を継続して実施した。そして安全文化の測定を実施した病院を対象に、安全文化醸成の要因に関するアンケートの実施や、安全文化を高め得る医療安全研修について病院の医療安全担当者と検討した。(2)GTT(Global Trigger Tool)日本版を用いて、国内の5病院においてGTT日本版の有効性、実行可能性について評価を行った。
結果と考察
(1)前年度の安全文化測定結果を参加施設へフィードバックした。分析の結果、参加施設の臨床工学技士は安全文化の側面毎の評価が比較的高くバラツキが少ないが、薬剤師は側面によるバラツキがやや大きく、部署内でのチームワークや仕事の引き継ぎ・患者の移動に関して評価が低い傾向がみられ、職種毎のニーズの把握の重要性が示唆された。また安全文化の醸成は医療安全に資するコンピテンシーとして顕れ、参加型の研修によって学びうる可能性が示唆された。(2)簡便な有害事象把握手法としてGTT日本版はある程度の精度を持ちながらも、負担のかからない手法であることが確認され、わが国の医療施設においても使用可能であることが明らかになった。またその普及に当たって、実習を含むトレーニングを十分に行なうことが重要と考えられた。
結論
本年度は研究最終年度として、医療安全活動の評価ツール(安全文化調査およびGTT日本語版)をそれぞれ複数の医療機関で実施し、その実行性と有用性とが示された。また安全文化の醸成に資する有効な研修のあり方を検討し、医療安全の評価手法とそれを活かす研修手法を提案した。

公開日・更新日

公開日
2010-05-30
更新日
-

文献情報

文献番号
200937002B
報告書区分
総合
研究課題名
医療安全推進に必須の組織文化(安全文化)の測定および簡便な有害事象把握手法の開発と活用
課題番号
H19-医療・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
種田 憲一郎(国立保健医療科学院 政策科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 児玉 知子(国立保健医療科学院 人材育成部)
  • 平尾 智広(香川大学医学部 医療管理学)
  • 長谷川 敏彦(日本医科大学 医療管理学教室)
  • 長谷川 友紀(東邦大学医学部 社会医学講座 )
  • 池田 俊也(国際医療福祉大学大学院 医療経営管理)
  • 兼児 敏浩(三重大学医学部付属病院 安全管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
これまで様々な医療安全の活動が行われており、それらの評価が求められている。その評価の方法として、医療安全活動の推進に必須である安全文化の醸成(ソフト面)の測定と有害事象頻度の把握(ハード面)から包括的に評価を行うことが必要である。資源等が限られた医療施設が実施可能な評価ツールの開発とそれを活用した有効な医療安全研修等の検討を行う。
研究方法
(1)妥当性のある米国AHRQの質問票を基に、言語学の専門家等を含めたチームで再翻訳も含めた過程を経て、日本語版の安全文化調査尺度を作成し調査した。調査結果を各施設へフィードバックし、安全文化醸成の要因に関する調査を実施した。また安全文化の醸成に資する医療安全研修について医療安全管理者と検討した。(2)簡便な有害事象把握手法の開発は、①先行研究の見直しにより作成した手法の評価、②北米等で開発が進むGTT(Global Trigger Tool)日本版の作成と試行、国内の5病院においてその有効性、実行可能性について評価を行った。
結果と考察
(1)安全文化調査にのべ50余りの医療施設(のべ4万人余り)が参加し、比較的高い回収率を担保し、調査の有用性と実行可能性が示された。2008年度の安全文化調査結果を用いた分析では、臨床工学技士と薬剤師とでは文化が異なり、各職種や部署のニーズ把握の重要性が示唆された。3年間の研究で得られた安全文化比較データベースは各施設のベンチマーキングに有用である。また安全文化の醸成は医療安全に資するコンピテンシーとして顕れ、参加型研修によって学びうるが示唆され、具体的なコンピテンシーと研修方法を示した。(2)新しい調査基準によるカルテレビューでは、感度・特異度ともに高値を示したが、偽陽性が多く、平均レビュー時間が20分であることから、さらなる改善が必要と考えられた。GTT日本版は現場での実行可能性を重視し、ある程度の精度を持ちながらも、負担のかからない簡便な有害事象把握手法であることが確認され、わが国の医療施設においても使用可能であることが明らかになった。
結論
医療安全活動の評価ツール(安全文化調査およびGTT日本版等)を開発し、その実行性と有用性とが示された。また安全文化の醸成に資する有効な研修のあり方を検討し、医療安全の評価ツールとともにそれを活かす研修手法を提案した。

公開日・更新日

公開日
2010-05-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200937002C