肝細胞増殖因子による筋萎縮性側策硬化症に対する新規治療法の開発

文献情報

文献番号
200936273A
報告書区分
総括
研究課題名
肝細胞増殖因子による筋萎縮性側策硬化症に対する新規治療法の開発
課題番号
H21-難治・一般-218
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
青木 正志(東北大学)
研究分担者(所属機関)
  • 糸山 泰人(東北大学)
  • 岡野 栄之(慶応義塾大学)
  • 船越 洋(大阪大学)
  • 中村 雅也(慶応義塾大学医学部)
  • 安達 喜一(クリングルファーマ株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
500,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝細胞増殖因子(HGF)が筋萎縮性側索硬化症(ALS)のモデルマウス・ラットの両者で運動ニューロン保護、生存延長効果をもつことは既に報告している。多くの神経栄養因子のなかでもこの様に変異SOD1トランスジェニック動物によるALSモデルに対して明確な治療効果を示したものは少なく、この有効性をALS患者に臨床応用する意義と必要性がある。本研究では上記の安全性および薬物動態試験の結果を基にALS患者に対する臨床試験としてリコンビナントHGF蛋白の髄腔内持続投与を行う。
研究方法
臨床試験のために霊長類であるマーモセットを用いてHGFの髄腔内投与による副作用を検証すると共に臨床用量の設定を行った。同時に非臨床試験に使用するHGF原薬をGMP基準で製造し、すべての規格に適合したヒトリコンビナントHGF蛋白の原薬を製造を行う。このGMP基準の原薬を用いGLP基準でカニクイザルに髄腔内持続投与を行い、安全性(毒性)および薬物動態を確認した。
結果と考察
HGF原薬の製造をGMP基準で行い、この原薬を用いてGLP基準による安全性試験を行っている。この試験においては①髄腔内持続投与の安全性試験と同時に②髄腔内投与時の薬物動態の確認(HGFの髄腔内分布・排泄経路の確認、全身への移行性など)の確認をしており、本試験に向けての予備試験まで終了した。ヒトリコンビナントHGF蛋白によるALS治療は医薬品機構との安全性相談が終了し、現在の安全性試験計画をクリアできればフェーズ1の治験に進めることを確認している。そのためのプロトコール開発に着手し、さらには治験として安全性や倫理的妥当性を薬事法およびGCPに従って確保するために、モニタリング・監査・データマネジメントの整備も進めている。脊髄のq-space imaging(QSI)撮像による評価法の検討も開始した。さらには効率的な投与法の開発に向けてのALSモデルトランスジェニック動物も用いた基礎研究も継続している。
結論
本年度の研究によりGLP基準を満たしたヒトリコンビナントHGF蛋白のカニクイザルに対する髄腔内投与による安全性試験は順調に進行しており、これが終了次第、平成22年度中の治験届けの提出を目指している。

公開日・更新日

公開日
2010-05-27
更新日
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