疾患特異的iPS細胞を用いた難治性疾患の画期的診断・治療法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200936271A
報告書区分
総括
研究課題名
疾患特異的iPS細胞を用いた難治性疾患の画期的診断・治療法の開発に関する研究
課題番号
H21-難治・一般-216
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
中畑 龍俊(京都大学 物質・細胞統合システム拠点 iPS細胞研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 斎藤 潤(京都大学物質・細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター )
  • 高橋 政代(理化学研究所発生再生科学総合研究センター)
  • 高橋 淳(京都大学再生医科学研究所)
  • 戸口田 淳也(京都大学再生医科学研究所)
  • 高橋 良輔(京都大学医学研究科)
  • 井上 治久(京都大学物質・細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター )
  • 長船 健二(京都大学物質・細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター )
  • 平家 俊男(京都大学大学院発達小児科学)
  • 中西 淳(武田薬品工業医薬研究本部開拓研究所)
  • 高橋 和利(京都大学物質・細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター )
  • 浅香 勲(京都大学物質・細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
462,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難治性疾患克服研究事業の対象となっている疾患はいずれも患者数が少なく研究が進みにくいことから、新たな画期的な診断、治療法の開発が求められている。
2007年に研究分担者の高橋和利、山中伸弥によって、ヒト体細胞から多能性幹細胞(iPS細胞)を誘導できることが示され、世界中に大きな衝撃を与えた(Takahashi K. Cell, 2007,131;861)。iPS細胞は患者を含む特定の個人由来の多能性幹細胞として樹立できる点で画期的であり、患者から樹立されたiPS細胞(疾患特異的iPS細胞)を用いた難治性疾患の病態解析、創薬、治療法開発が期待される。本研究目的は、疾患特異的iPS細胞、遺伝子改変ES/iPS細胞を用いて難治性疾患の病因、病態の解明、新たな治療の開発を目指すと共にこれら細胞のバンクを整備し、我が国における研究基盤を確立することである。
研究方法
難治性疾患克服研究事業の対象疾患患者から書面で同意を得た後皮膚などの組織を採取し、疾患特異的iPS細胞を樹立する。樹立手法はレトロウイルスベクター法を用いるが、適時樹立方法を改善する。
分担研究者らにより、種々の細胞への分化系は確立されているが、さらに効率及び安全性を向上させる。
疾患特異的iPS細胞の供与や薬剤ライブラリの共用などについて、製薬会社と連携して創薬へのiPS細胞の応用を進める。
結果と考察
本年度は、分担研究者がそれぞれ課題に取り組み、10種程度の疾患から数十以上のiPSクローンを作成した。これらの細胞についてはそれぞれ適切な性能を備えたiPS細胞であるかの検討が必要であり、未分化マーカの出現、形態、導入遺伝子のサイレンシング、分化能など様々な検討が各分担研究者によって行われている。
 一方で、疾患関連iPS細胞研究においてはiPS細胞株以外の様々な要因が研究の成否を左右する。
樹立に適した状態で繊維芽細胞を維持すること、性質のよいiPS細胞を維持する方法、解析に適した再現性のよい分化系の構築などは、疾患iPS細胞株を得ることと同様に極めて重要である。これらについても分担研究者によって、洗練化されており、今後の解析への応用が期待できる。
結論
 本年度は約半年という短い期間であったが、疾患関連iPS細胞を用いた病態解析・病因究明という大きな目標に向けて、順調に研究を開始することができた。作成したiPS細胞を用いた病態再現・病態解析も進捗しており、引き続き来年度も研究に邁進し、病気に苦しむ患者さんの診断・治療に貢献できる成果を求めてゆきたい。

公開日・更新日

公開日
2010-05-13
更新日
-