文献情報
文献番号
200936265A
報告書区分
総括
研究課題名
未熟児網膜症の原因と治療に関する調査研究
課題番号
H21-難治・一般-210
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
萩原 正敏(東京医科歯科大学 大学院疾患生命科学研究部)
研究分担者(所属機関)
- 石田 晋(北海道大学医学部医学研究科 眼科学)
- 吉田 和彦(北海道大学医学部医学研究科 眼科学)
- 片岡 直行(東京医科歯科大学 難治疾患研究所 MTTプログラム)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
未熟児網膜症の病態において、VEGF-Aによる血管新生は大きな役割を果たすが、VEGF-Aは選択的スプライシングにより、血管新生を抑制するアイソフォームを産生することが最近判明した(Harper and Bates, 2008)。我々の開発したSRPK選択的阻害剤SRPIN340は、VEGF-Aの選択的スプライシングパターンを制御してドミナントネガティブフォームに誘導し、血管新生を抑制できる。本研究の目的は未熟児網膜症の病態おいて重要な役割を果たす血管新生因子VEGF-Aとその制御因子HIF3αのmRNAの低酸素応答性選択的スプライシング制御機構を解明し、未熟児網膜症の新規治療薬開発の可能性を調査研究することである。
研究方法
1)未熟児網膜症モデル動物実験系の確立:血管新生因子VEGF-Aとその制御因子HIF3αmRNAの網膜における低酸素応答性選択的スプライシング制御機構を解明し、SRPKの選択的阻害剤SRPIN340およびその合成展開化合物の未熟児網膜症に対する治療効果を検討するために、未熟児網膜症モデル動物実験系およびレーザー誘発脈絡膜血管新生モデル動物実験系をマウスで樹立することを検討した。
2)SRPKの選択的阻害剤の検索と未熟児網膜症の新規治療法の検討:SRPK結晶構造解析データをもとに10万化合物ライブラリーをin silico検索を進め1万化合物に絞り込んだ後、SRPK に対する阻害活性を実測するとともに、その血中安定性を検討した。
2)SRPKの選択的阻害剤の検索と未熟児網膜症の新規治療法の検討:SRPK結晶構造解析データをもとに10万化合物ライブラリーをin silico検索を進め1万化合物に絞り込んだ後、SRPK に対する阻害活性を実測するとともに、その血中安定性を検討した。
結果と考察
「レーザー誘発脈絡膜血管新生マウス」では全ての動物で脈絡膜血管新生が観察されるようになった。この結果を受けて、次年はこのマウスモデルにおいてSRPK選択的阻害剤SRPIN340を投与し、その血管新生抑制効果を検討する予定である。また細胞内で蛍光観察できるレポーター系ができたため、今後は各種マウス培養細胞でHIF3α型とIPAS型mRNAの比を比較し、最適な細胞を選択する。
結論
安定したレーザー誘発脈絡膜血管新生モデルの作製法および脈絡膜血管新生の評価手技の確立は達成された。またスプライシングレポータープラスミドが作成できたため、細胞株や初代培養細胞を用いてスプライシング機構を解析する系が構築できた。 また強力なSRPK阻害剤を化合物ライブラリーより見出し、これは未熟児網膜症の新規治療薬として有望である。
公開日・更新日
公開日
2010-05-28
更新日
-