原発性リンパ浮腫の患者動向と診療の実態把握のための研究

文献情報

文献番号
200936261A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性リンパ浮腫の患者動向と診療の実態把握のための研究
課題番号
H21-難治・一般-206
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
笹嶋 唯博(旭川医科大学 医学部外科学講座 循環・呼吸・腫瘍病態外科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 齊藤 幸裕(旭川医科大学 医学部)
  • 中西 秀樹(徳島大学 医学部)
  • 橋本 一郎(徳島大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
原発性リンパ浮腫に関する疫学調査は世界的にも報告が無く、本邦における現状は不明である。本研究では原発性リンパ浮腫の本邦における現状を明らかにする。
研究方法
1次調査アンケート;日本脈管学会等関連学会より提供された名簿より該当の医師へ原発性リンパ浮腫患者人数について調査した。2次調査アンケート;一次調査で現在患者を有している医師へ患者個別の詳細について調査した。
結果と考察
1次調査;対象数1,760施設、総回答数1,275施設(72.48%)、有効回答数1,149施設(65.28%)であった。回答より現在通院患者1,158名、過去受診患者1,729名、合計2,887名が抽出された。2次調査;現在通院患者1,158名のうち713名(61.52%)の回答を得た。概略は以下のようになった。1.患者の平均年齢は50.97±20.92歳であった。2.発症年齢は10代、20代で多く先天性9%、早発性42%、遅発性49%であった。3.発症部位は下肢が88%と圧倒的に多く、左右では上肢、下肢共に左側がやや多かった。4.重症度分類では軽度(46.98%)、ISL分類では2期(59.47%)が最も多かった。5.検査では超音波検査が51%で施行され最多であった。6.治療では弾性ストッキング、マッサージ等の理学療法が主体であったがほぼ半数が効果不十分であった。7.現在患者のおよそ70%が治療継続通院中である。
結論
原発性リンパ浮腫の本邦での実態が明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2010-06-18
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200936261C

成果

専門的・学術的観点からの成果
全くエビデンスが無かった原発性リンパ浮腫診療に明確なエビデンスを与えることは学術的に意義が深い。本研究報告書を広く知らせることで、医療者、患者双方に有益な情報がもたらされる。さらに本研究を発展させ診断基準と治療指針を示し利用されれば、各医師に委ねられた本疾患治療がより適正かつ公正な医療となる。患者状態に対しては症状の悪化から不可逆的変化により治療不可能な状態へ陥ることを予防できる。
臨床的観点からの成果
原発性リンパ浮腫は慢性進行性に悪化し、高度腫脹に伴う活動制限や繰り返す蜂窩織炎による入退院は社会復帰を困難にする。そのため患者は元より家族の負担が大きく、どのような治療を受けたら良いのかわからずに苦悩する現実がある。これら患者に対しエビデンスを持った情報を提供することは、一定の安心を与え精神的な支えとなることが予測される。また本研究に参加した施設を公表することでこれまで拾い上げられなかった患者が救済される可能性が広がる。
ガイドライン等の開発
本研究内容を基礎として、平成22~23年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業として「原発性リンパ浮腫全国調査を基礎とした治療指針の作成研究」が採択された。この事業により原発性リンパ浮腫のガイドライン作成を目指す。
その他行政的観点からの成果
現時点で行政施策に反映された成果はないが、今後原発性リンパ浮腫診療に対する提言を示したい。
その他のインパクト
本事業成果を日本血管外科学会、日本脈管学会、静脈学会、日本リンパ学会、日本形成外科学会にて順次報告していく。また患者を対象とした講演会の開催を企画したい。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-