文献情報
文献番号
200936257A
報告書区分
総括
研究課題名
高VEGF血症を特徴とするRS3PE症候群関連新疾患概念の確立と普及
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-難治・一般-202
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
折口 智樹(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科保健学専攻)
研究分担者(所属機関)
- 宮崎 泰司(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 附属原爆後障害医療研究施設 分子医療部門分子治療研究分野)
- 江口勝美(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 医療科学専攻展開医療科学講座リウマチ免疫病態制御学)
- 川上純(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 医療科学専攻展開医療科学講座リウマチ免疫病態制御学)
- 中尾一彦(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 医療科学専攻展開医療科学講座消化器病態制御学 )
- 有馬和彦(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 附属原爆後障害医療研究施設 分子医療部門分子設計応用研究分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema (RS3PE)症候群はMcCartyらが1985年に提唱した、高率に悪性腫瘍を伴うために、患者生命予後を脅かす難治性疾患である。関節炎と著明な四肢の浮腫を特徴とするが、その病態機序は原因不明であった。我々はRS3PE症候群患者の血清中において、関節リウマチをはじめとする他の関節炎疾患群と比較して容易に鑑別診断が可能なほど、VEGF濃度が極めて高い値を示すことを世界で初めて明らかにした。また、その病態にVEGFが関与し、古典的RS3PE症候群の全てか少なくとも一部に、高VEGF血症を特徴とする新症候群が存在すると提唱した。
今回我々は本研究期間内に「健常者に比較して遥かに強く、血小板からVEGFを強制的に放出させる因子」や「健常者に比較して遥かに強く、VEGFを放出する血小板」の存在を検証し、特徴的な高VEGF血症の病態原因が患者血小板成分によるものか、血小板成分以外の血漿成分によるものかを明らかにすることを目的とした。
今回我々は本研究期間内に「健常者に比較して遥かに強く、血小板からVEGFを強制的に放出させる因子」や「健常者に比較して遥かに強く、VEGFを放出する血小板」の存在を検証し、特徴的な高VEGF血症の病態原因が患者血小板成分によるものか、血小板成分以外の血漿成分によるものかを明らかにすることを目的とした。
研究方法
1. 高VEGF血症の成因に関する研究(江口)
2. RS3PE症候群患者数算定に関する研究(折口)
3. RS3PE症候群患者に伴う高VEGF血症の推移に関する研究(川上)
4. VEGFアイソタイプに関する研究(中尾)
5. VEGFを対象とする血液学的検査の基礎検討に関する研究(宮崎)
6. VEGF以外の血小板由来マーカーサイトカインに関する研究(有馬)
本研究は個人情報保護の精神を尊び、長崎大学ヒトゲノム・遺伝子解析研究計画の承認を受けている。(長崎大学ヒトゲノム・遺伝子解析研究委員会許可番号:第091224171号、平成21年12月24日承認)
2. RS3PE症候群患者数算定に関する研究(折口)
3. RS3PE症候群患者に伴う高VEGF血症の推移に関する研究(川上)
4. VEGFアイソタイプに関する研究(中尾)
5. VEGFを対象とする血液学的検査の基礎検討に関する研究(宮崎)
6. VEGF以外の血小板由来マーカーサイトカインに関する研究(有馬)
本研究は個人情報保護の精神を尊び、長崎大学ヒトゲノム・遺伝子解析研究計画の承認を受けている。(長崎大学ヒトゲノム・遺伝子解析研究委員会許可番号:第091224171号、平成21年12月24日承認)
結果と考察
高VEGF血症を特徴とするRS3PE症候群関連新疾患の症例において世界で初めて「健常者に比較してはるかに強く、VEGFを放出する血小板」が存在することが明らかとなった。
暫定診断基準(案)を作成した
診断と治療効果判定に関して血清学的検査と画像的検査は有用であると考えられた。
VEGFのアイソタイプを独立的に定量することが可能となった。
血液検体の抗凝固剤選択が肝要であった。
「VEGF以外の血小板から活性化により放出されるマーカーサイトカイン」が見つかった。
暫定診断基準(案)を作成した
診断と治療効果判定に関して血清学的検査と画像的検査は有用であると考えられた。
VEGFのアイソタイプを独立的に定量することが可能となった。
血液検体の抗凝固剤選択が肝要であった。
「VEGF以外の血小板から活性化により放出されるマーカーサイトカイン」が見つかった。
結論
西九州地域内での高VEGF血症を特徴とする新疾患概念は一歩一歩ではあるが着実に確立され、普及をしている。今後全国的なRS3PE症候群の実態調査を通じて新疾患概念の確立と普及が必要である。
公開日・更新日
公開日
2010-05-31
更新日
-