文献情報
文献番号
200936250A
報告書区分
総括
研究課題名
NEMO異常症等難治性炎症性腸疾患の実態調査と治療ガイドライン作成
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-難治・一般-195
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
小野寺 雅史(国立成育医療センター 研究所 成育遺伝研究部)
研究分担者(所属機関)
- 布井 博幸(宮崎大学 医学部 生殖発達医学講座小児科学分野)
- 有賀 正(北海道大学 大学院医学研究科 小児科学分野)
- 蓮井 正史(関西医科大学 小児科)
- 平島 光臣(香川大学 医学部 免疫病理学)
- 小林 正夫(広島大学 大学院医歯薬総合研究科 小児科学)
- 西小森 隆太(京都大学 大学院医学研究科 小児科学)
- 藤本 純一郎(国立成育医療センター 研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
外胚葉形成不全免疫不全症は、NF-κBシグナルを伝える細胞内分子異常により発症する難治性疾患で、X連鎖遺伝形式をとるNEMO異常症がその主体をなす。症状として、歯芽、毛髪等の外胚葉異常、易感染性、炎症性腸炎が上げられるが、その実態は不明である。本研究では、全国の医療機関に詳細な患者実態調査を依頼することで我が国のNEMO異常症の実態を明らかにし、同時に、同様の自然免疫異常により発症する慢性肉芽腫症(CGD)腸炎を調査することで、これら疾患に対する有効な治療法を確立し、治療ガイドラインを作成する。
研究方法
本研究では、各医療機関における症例報告、全国医療機関へのハガキによる一次調査と症例の掘り起こし、そして、これら結果を基とした詳細な患者実態調査を行った。同時に、小児クローン病(CD)や潰瘍性大腸炎(UC)の実態調査やNEMO異常症の病態解明のためのNEMO欠損ラット由来線維芽細胞株を用いた患者NEMO遺伝子の機能解析ならびに硫酸デキストラン等を用いた薬剤誘発性腸炎の病態解析を行った。
結果と考察
1. 歯芽欠損以外の外胚葉異常を認めなかったNEMO症例やステロイド等に抵抗性を示し、最終的には抗TNFα抗体(インフリマキシブ)が著効したNEMO腸炎例、造血幹細胞移植により移植前に併発していた重度の炎症性腸炎が軽快したCGD例が報告された。
2. 小児CD、UCでは男女差や家族内発症を認めず、抗TNFα抗体やCyA使用によっても長期にわたる治療効果が得られないことが報告された。
3. ハガキによる一次アンケート調査と症例の掘り起こしにて、我が国には17例のNEMO異常症、40?50例のCGD腸炎が存在することがわかった。
4. NEMO欠損ラット由来線維芽細胞株を用いた解析にて、患者NEMO遺伝子は正常遺伝子の3?11%機能が低下していることがわかった。
5. 2%硫酸デキストラン水の飲水にて炎症性腸炎を発症するモデルマウスを作製し、CGDマウスでは炎症性腸炎の病態が正常マウスより悪化していることがわかった。
2. 小児CD、UCでは男女差や家族内発症を認めず、抗TNFα抗体やCyA使用によっても長期にわたる治療効果が得られないことが報告された。
3. ハガキによる一次アンケート調査と症例の掘り起こしにて、我が国には17例のNEMO異常症、40?50例のCGD腸炎が存在することがわかった。
4. NEMO欠損ラット由来線維芽細胞株を用いた解析にて、患者NEMO遺伝子は正常遺伝子の3?11%機能が低下していることがわかった。
5. 2%硫酸デキストラン水の飲水にて炎症性腸炎を発症するモデルマウスを作製し、CGDマウスでは炎症性腸炎の病態が正常マウスより悪化していることがわかった。
結論
本研究では、症例報告や患者実態調査を通して我が国のNEMO異常症やCGD腸炎の実態を明らかにし、また、基礎研究を通して自然免疫異常による炎症性腸炎の発症機序を解明し、これらを統合することでNEMO異常症等の炎症性腸炎に対する有効な治療法を確立できると考えている。
公開日・更新日
公開日
2010-05-31
更新日
-