文献情報
文献番号
200936249A
報告書区分
総括
研究課題名
ソトス症候群のスクリーニング・診断システムの確立
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-難治・一般-194
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
富田 博秋(東北大学)
研究分担者(所属機関)
- 松本 直通(横浜市立大学)
- 岡本 伸彦(大阪府立母子保健総合医療センター)
- 黒澤 健司(神奈川県立こども医療センター)
- 福與 なおみ(東北大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
下記の4つのアプローチを統合し、本邦におけるソトス症候群の診断を効率化するための指針を提示するとともに、スクリーニング・診断手法の研究開発を行うこと。①臨床評価法の最適化、②染色体検査法の確立・評価と効率的変異検出法の開発、③NSD1のエピジェネティックな機能解析、④NSD1変異の影響で疾患特異的に発現変化する新規分子マーカーの探索
研究方法
①全国の小児神経専門医研修認定病院373施設と小児神経学会専門医・小児臨床遺伝学会会員1073人を対象に本症の診療状況を調査した。また、40数例の本症罹患者の長期観察に基づく発達予後、合併症の推移等の解析を行った。②全国の308例の本症疑いの末梢血リンパ球染色体標本をFISH解析した。③本症25例と正常37例の11p15.5領域のメチル化制御変化を検討した。④本症5例と正常6例の株化リンパ芽球を対象にマイクロアレイ発現解析を行った。
結果と考察
①166施設と医師574名から回答を得た。過去5年間に診療したソトス症候群は163例と推定有病数を大きく下回り、本症が日常診療で見落とされている可能性を示唆した。そのうち染色体・遺伝子検査により診断が確定した症例は54例と1/3に過ぎない実態が判明した。欧米の研究との比較から、新生児期の黄疸、筋緊張低下、哺乳不全や便秘、伝導性聴覚障害などの臨床症状に対する注意を喚起することで診断率が向上することが示唆された。また、本症の長期観察から側彎症等が臨床上問題となっていること等が示唆された。②本症疑い308例のFISH解析から87例にNSD1領域微細欠失が同定され、本邦の欠失の頻度が諸外国と比して高く診断法として有効であることが示された。また、変異症例を効率的に検出する方法を開発するためNSD1リシーケンスアレイを作成した。③本症の11p15.5領域のメチル化制御変化に顕著な異常は認められず、病態への関与の可能性は低いことを示した。④本症に特異的に発現が誘導される333の遺伝子群および発現が抑制を受けている367の遺伝子群を病態解明や簡便なスクリーニング法に有用な生化学マーカーへの開発に繋がる遺伝子として特定した。
結論
ソトス症候群の臨床評価の指針とFISHによる染色体検査の有用性を示した。更に、リシークエンスアレイの作成やNSD1変異の下流で発現変化をする分子群の特定を行い、より効率のよい新規のスクリーニング、診断法を開発に繋げた。
公開日・更新日
公開日
2010-06-26
更新日
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