文献情報
文献番号
200936247A
報告書区分
総括
研究課題名
日本人長鎖脂肪酸代謝異常症の患者数把握と、治療指針作成および長期フォローアップ体制確立のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-難治・一般-192
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
大竹 明(埼玉医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 遠藤 文夫(熊本大学 医学部)
- 奥山 虎之(国立成育医療センター 臨床検査部)
- 高柳 正樹(千葉県こども病院 代謝科、小児救急診療科)
- 長谷川 有紀(島根大学 医学部)
- 但馬 剛(広島大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究においては長鎖脂肪酸代謝異常症の(1) 患者数と病状の現状把握、(2) 新規の診断基準の作成、(3) 病態に合わせた治療指針の作成、(4) 今後の長期フォローアップ・支援体制の確立を目的とする。
研究方法
以下の3つの集団を対象として、タンデムマス法を用いて候補症例をピックアップ後、班員が協力して酵素診断・遺伝子診断を行い診断を確定する。3つの集団とは、1)タンデムマス法を用いた新生児マス・スクリーニング(NBS)で疑われた症例、2)乳児突然死症候群やライ症候群、インフルエンザ脳症などとして急性発症した症例、3) 幼児期以降に筋肉痛、脱力、肝機能障害のエピソードなど骨格筋症状で発症した症例である。同時にアンケート調査を実施し、我が国における長鎖脂肪酸代謝異常症の発生状況を調査し、患者数と病状の現状把握を行う。さらにNBSの拡大傾向の強い米国の現状を調査し、どのような倫理的配慮や社会的要請から行われたかも考察する。これらを総合して本疾患のスクリーニングから確定診断に至る診断支援体制を構築する。
結果と考察
奥山は脂肪酸代謝異常症をNBSに取り入れる場合の倫理面を考察した。遠藤は日齢2に心室細動で発症した極長鎖アシル-CoA脱水素酵素(VLCAD)欠損症最重症型新生児例を迅速に確定診断した。高柳は9例のカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼI(CPT I)欠損症を確定診断した。長谷川はタンデムマス分析で、1)群から7例(17%)、2)群から8例(20%)、3)群から2例(100%)の合計17例を脂肪酸代謝異常症疑いと診断した。但馬は4例のVLCAD疑い症例を解析して2例を確定診断した。大竹はアンケート調査により日本ではCPT II 欠損症とVLCAD欠損症で長鎖脂肪酸代謝異常症の2/3以上を占めることを明らかにすると共に、突然死症例より2例の脂肪酸代謝異常症を診断した。以上よりタンデムマスを用いたNBSの必要性は明らかである。
結論
長鎖脂肪酸代謝異常症は、早期に診断し簡単な生活指導を行うことにより、その多くで脳症や突然死を避けることが可能である。タンデムマスを用いたNBSとその後の確定診断システム構築の必要性を確認した。
公開日・更新日
公開日
2010-06-01
更新日
-