文献情報
文献番号
200936241A
報告書区分
総括
研究課題名
四肢短縮型小人症の新規遺伝子診断基準作成研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-難治・一般-186
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 高誠(岡山大学病院 小児科)
研究分担者(所属機関)
- 今井 剛(国立長寿医療センター 老化制御研究部)
- 山本 健(九州大学 生体防御医学研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
日本における四肢短縮型低身長症の疾患頻度調査及び新規四肢短縮型低身長症の原因遺伝子の探索とその病態に基づいた治療の開発
研究方法
・日本小児内分泌学会評議委員在籍施設と岡山大学病院小児科関連病院での四肢短縮型低身長症の診療実態と遺伝子診断の施行状況についてアンケート調査を行った。また成長科学協会成長ホルモン治療適応判定データベース調査も行った。
・エストロゲン受容体αを脂肪特異的に過剰発現させたトランスジェニックマウスが四肢短縮を呈したことから、このマウスを解析し、四肢短縮に関わる遺伝子群を同定する。
・ 四肢短縮型低身長症の新規原因遺伝子の同定へ向け、常染色体優性様式をとる5世代にわたる家族性腫瘍家系をモデルとして高密度SNPアレイを用いた高検出力連鎖解析を用いて行い、方法の検証を行った。
・エストロゲン受容体αを脂肪特異的に過剰発現させたトランスジェニックマウスが四肢短縮を呈したことから、このマウスを解析し、四肢短縮に関わる遺伝子群を同定する。
・ 四肢短縮型低身長症の新規原因遺伝子の同定へ向け、常染色体優性様式をとる5世代にわたる家族性腫瘍家系をモデルとして高密度SNPアレイを用いた高検出力連鎖解析を用いて行い、方法の検証を行った。
結果と考察
・193名の四肢短縮型低身長症が全国の小児科を受診しており、軟骨無形成症(109名)、軟骨低形成症 (47名)が多く、分類不能の者は6名であった。軟骨低形成症のうち34名は遺伝子診断が行われておらず原因不明であった。軟骨無形成症の発症頻度(約1万人に1人)から概算をすると、毎年約30人前後の軟骨無形成、低形成症以外の四肢短縮型低身長症の患児が出生していると想定された。また成長科学協会のデータベース調査においては、判定保留が45名で、これらが軟骨異栄養症以外の疾患であると考えられた。
・今回作成したモデルマウスは成長軟骨が短縮することで四肢短縮を呈し、この表現型はマウスのバックグラウンドに影響されないことがわかった。このことから脂肪特異的なエストロゲンシグナルの下流に位置する遺伝子が新規の四肢短縮型低身長症の原因遺伝子であると想定された。
・家族性腫瘍家系の原因遺伝子を高密度SNPアレイにより10番染色体の0.65Mbの領域に存在する4遺伝子に原因を絞り込むことができたことから四肢短縮型低身長症の新規責任遺伝子の同定に有用な方法であると考えられた。
以上より原因の判明していない四肢短縮型低身長症患者は数多く存在することが判明した。脂肪特異的エストロゲンシグナルに位置する遺伝子の検索と患者家系の情報を集めた上で高密度SNPアレイを用い、新規原因遺伝子をみいだし、その原因に応じた治療法の解明につなげたい。
・今回作成したモデルマウスは成長軟骨が短縮することで四肢短縮を呈し、この表現型はマウスのバックグラウンドに影響されないことがわかった。このことから脂肪特異的なエストロゲンシグナルの下流に位置する遺伝子が新規の四肢短縮型低身長症の原因遺伝子であると想定された。
・家族性腫瘍家系の原因遺伝子を高密度SNPアレイにより10番染色体の0.65Mbの領域に存在する4遺伝子に原因を絞り込むことができたことから四肢短縮型低身長症の新規責任遺伝子の同定に有用な方法であると考えられた。
以上より原因の判明していない四肢短縮型低身長症患者は数多く存在することが判明した。脂肪特異的エストロゲンシグナルに位置する遺伝子の検索と患者家系の情報を集めた上で高密度SNPアレイを用い、新規原因遺伝子をみいだし、その原因に応じた治療法の解明につなげたい。
結論
四肢短縮型低身長症のうち原因の明らかとなっていない者が多く存在し、新規原因遺伝子による四肢短縮型低身長症の存在の可能性が示唆された。
公開日・更新日
公開日
2010-05-31
更新日
-