文献情報
文献番号
200936238A
報告書区分
総括
研究課題名
Mowat-Wilson症候群の臨床診断基準の確立と疾患発症頻度の調査
課題番号
H21-難治・一般-183
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
若松 延昭(愛知県心身障害者コロニー発達障害者研究所)
研究分担者(所属機関)
- 水野 誠司(愛知県心身障害者コロニー中央病院)
- 斎藤加代子(東京女子医科大学附属遺伝子医療センター)
- 黒澤 健司(神奈川県立こども医療センター)
- 小崎 里華(国立成育医療センター)
- 岡本 伸彦(大阪府立母子保健総合医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
Mowat-Wilson 症候群は、重度精神運動発達遅滞、特徴的な顔貌、小頭症を3主徴とする症候群である。MowatとWilsonらは、6症例を誌上発表(J Med Genet, 1998)したが、愛知県心身障害者コロニー中央病院の医師らは、第15回日本小児遺伝医学会(1992)において、同一の「精神遅滞、てんかん、特異な顔貌を呈する4症例」を発表している。その後、本研究班の代表者らが本症候群の病因遺伝子、ZFHX1B(ZEB2とも呼ばれる)を同定し(2001)、その後、国内外の多くの本症候群の症例からZFHX1Bの機能喪失型突然変異が同定されている。本研究班では、Mowat-Wilson症候群の診断基準を確立するとともに、疫学調査により本症候群の有病率を明らかする。
研究方法
本年度、新たにZFHX1Bの変異を同定した5症例と各班員が以前経験した合計16症例の臨床所見をまとめ、過去の報告例と比較した。変異が同定できない類似の2症例はアレイCGHによる解析を行った。さらに、愛知県下の主たる20の療育施設および小児神経疾患対応施設を対象にアンケート調査を行い、本症候群の有病率を算定した。
結果と考察
全16症例に、1) 重度精神運動発達遅滞と2) 特徴的な顔貌が見られた。さらに、3)小頭症12/16、てんかん9/16、心奇形9/16、側彎症5/12、脳梁形成異常(欠損、低形成)4/12、ヒルシュスプルング病3/16、が見られた。以上より、1)、2)、3) の3主徴(3M)、あるいは、1)、2)の2Mと3つ以上の合併症状(3m)があれば、本症候群の確定診断とした。さらに、類似の2症例からは、ZFHX1Bの欠失や重複が検出されず、ZFHX1Bの機能喪失型突然変異が同定できれば、確診とした。アンケート調査の結果、本症候群の有病率は 約10万人に1.3人の頻度で全国に約1500人の患者がいると推計された。また、本調査で、小児科および遺伝科以外の医師における認知度が低く、本症候群の患者家族と小児の療育や遺伝外来に携わる医師を対象に本症候群のホームページを作成した。
結論
Mowat-Wilson症候群の診断基準を確立するとともに、疫学調査により本症候群の有病率が10万人に1.3人の頻度で全国に約1500人の患者がいると推計した。アンケート調査で本症候群の認知度が低く、本症候群のホームページを作成した。
公開日・更新日
公開日
2010-05-26
更新日
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