文献情報
文献番号
200936235A
報告書区分
総括
研究課題名
小眼球による視覚障害の原因を特定するための疫学調査と診断・治療基準の創成
課題番号
H21-難治・一般-180
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
仁科 幸子(国立成育医療研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 黒坂 大次郎(岩手医科大学眼科学教室)
- 西田 保裕(滋賀医科大学眼科学講座)
- 近藤 寛之(産業医科大学眼科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
小眼球(症)は小児期より生涯にわたり重篤な視力障害を起こす先天性疾患で、全身疾患に伴う例のみならず、単独の眼疾患であっても生活面で長期に支障をきたす。多くは原因が不明であり、臨床に即した診断・治療基準、治療法は確立していない。本研究の目的は、小眼球(症)患者の疫学、臨床像、視覚障害の実態を把握し臨床上の問題点を抽出するための全国疫学調査、小眼球・合併異常の早期診断法、画像評価法、治療法の研究を実施し、臨床上有用な診断・治療基準作成の礎とすることである。
研究方法
1)小眼球に関する全国疫学調査:日本眼科学会専門医制度研修施設他1151病院に対し過去2年間(2008.1?2009.12)に診療した小眼球患者の実態を書面にて調査し、その結果を集計・分析した。2)小眼球の原因遺伝子の同定のためマイクロサテライトマーカーを用いた連鎖解析を行い、スクリーニング法としての有用性を評価した。 3)小眼球症例の画像評価のためにMRI撮像とCT撮影の最適条件を検討した。4)小眼球症の白内障手術の頻度、眼合併症、術式、手術の問題点などを調べた。
結果と考察
1)全国調査の結果、総数851症例1254眼の調査結果を得て、本邦における小眼球症の疫学、遺伝、眼所見、併発症、手術治療、全身所見、視力、眼鏡・補助具・義眼の使用状況に至るまで詳細な実態把握ができた。早期診断と有効な治療・ロービジョンケアの導入によって保有視機能を十分活用できる例が比較的多い。視機能を保持するために併発症の治療基準、管理プロトコールを作成する必要がある。2)小眼球の原因究明・早期診断のアプローチとして、マイクロサテライトマーカーを用いたスクリーングは有用な方法である。3)MRI,CT機器の進歩により薄切スライスでかつ良好な解像度の断層像が得られ、小眼球症例の眼球・眼窩組織の観察と計測に充分応用できる。4)小眼球症に高頻度に併発する白内障の手術治療における問題点(閉塞隅角緑内障、チン小帯脆弱等の合併)が明らかとなり、より安全な手術法の開発が必要である。
結論
全国調査によって小眼球症の実態把握と臨床における問題点の抽出ができた。本症の原因究明、早期診断、画像評価、治療法の開発と診療ガイドライン作成に役立つ基盤的なデータが収集できた。
公開日・更新日
公開日
2010-05-13
更新日
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