本邦における反復胞状奇胎症例の実態把握と確定診断法の開発

文献情報

文献番号
200936232A
報告書区分
総括
研究課題名
本邦における反復胞状奇胎症例の実態把握と確定診断法の開発
課題番号
H21-難治・一般-177
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
秦 健一郎(国立成育医療研究センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 齋藤 滋(富山大学大学院医学薬学研究部産科婦人科学)
  • 和氣 徳夫(九州大学大学院生殖病態生理学)
  • 諸隈 誠一(九州大学病院産科婦人科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
最近の遺伝学的研究から、反復胞状奇胎(反復胞状奇胎)は、通常の全胞状奇胎(全胞状奇胎)と極めて異なる病因を有することが明らかとなった。2006年にMurdochらは、家族性の反復胞状奇胎を解析し、母親のNALP7遺伝子変異が密接に関連している事を示したが、更に最新の報告では、孤発症例であっても、2回以上の奇胎を繰り返す症例では、ほとんどの症例にNALP7遺伝子の変異が見出された。すなわち反復胞状奇胎には、従来の形態学的診断に加え、遺伝子解析による確定診断が重要であると考えられる。しかし本邦の反復胞状奇胎症例は、疫学的報告は散見されるが、病因病態から管理法までを系統的に検討解析した研究は見当たらない。本研究は、本邦の反復胞状奇胎症例に最適な確定診断法の開発と、臨床的特徴を抽出する事を目的とする。
研究方法
1)全国規模で反復胞状奇胎症例を照会し、2)候補症例検体および臨床情報を収集する。また、3)母NALP7遺伝子の変異解析を行い、併せて、4)反復胞状奇胎の発症起源を分子遺伝学的に確定する。これら1)から4)の解析結果を統合し、本邦の反復胞状奇胎症例に最適な確定診断法の開発と、臨床的特徴を抽出する事を目的とし、研究体制の構築と解析を進めている。
結果と考察
本年度の研究期間は実質3カ月程度と短かったが、その間に行った習慣流産症例の解析では、複数の関連遺伝子多型が得られている。同多型の病的意義の有無を判断するには、今後さらに多数症例の解析が必要であるが、少なくとも我々が本研究で新たに見出した多型は、本邦症例の診断法確立に必須の知見である。
結論
本研究の進捗により、発症起源に遡って胞状奇胎を正確に分類・確定診断することが可能となり、絨毛性疾患のより適正な管理法の決定に貢献できる。また、現在改正作業が行われている「絨毛性疾患取り扱い規約」にも、重要な提言を成すことができる。その他、NALP7遺伝子変異は習慣流産との関連が示唆されており、他の難治性異常妊娠の病態解明への展開も期待される。

公開日・更新日

公開日
2010-06-03
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200936232C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本邦症例に最適化したNALP7遺伝子変異診断を確立する為に、試験的に正常絨毛および習慣流産絨毛を用いて同遺伝子の配列解析を行った。少なくとも3箇所に、海外症例では見出されておらず、国際的な遺伝子多型データベースにも登録されていない多型が見出された。これらは、日本人集団以外では頻度の低い多型であると推測され、本邦の反復奇胎症例のNALP7遺伝子診断確立に必須の知見である。
臨床的観点からの成果
現在までに、疑い症例を4例補足した。 これらの臨床症状等の経過を、後方視的に詳しく解析する。
ガイドライン等の開発
検討中である。
その他行政的観点からの成果
ガイドライン等を作成後、検討する。
その他のインパクト
研究成果、ガイドライン等は公表予定である。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-