新規脳内物質ニトロカテコラミンの抗ストレスおよび抗うつ効果に関する研究

文献情報

文献番号
199700694A
報告書区分
総括
研究課題名
新規脳内物質ニトロカテコラミンの抗ストレスおよび抗うつ効果に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
新谷 太(慶應義塾大学医学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 脳科学研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の主な目的は、新規生体内物質であるニトロカテコラミンの中枢神経系における作用を明らかにすることである。ニトロカテコラミンは、前シナプス神経への神経伝達物質再取り込みを阻害する作用やCOMT阻害作用があることから、ニトロカテコラミンの脳内濃度の増減がうつ病の発症機序に深く関与する可能性があり、うつ病発症の合理的説明ができると考えられる。また、ニトロカテコラミンは内因性物質であることから、内因性うつ病の発症要因としての可能性も示唆されると同時に、新しい作用機序の抗うつ薬の開発に方向性を示すことができると思われる。
研究方法
脳内神経伝達物質の濃度変化を自由行動下の動物で測定するために、脳微小透析法を用いた。雄性7週令のSprague-Dwaryラットの視床下部にマイクロダイアリシスプローブを植え込む手術を行い、プローブ内に人工髄液を潅流することで得られた透析液を採取し、その中に含まれる神経伝達物質(ノルエピネフリンおよびドパミン)とそれらの代謝物を高速液体クロマトグラフィ-電気化学電極法(HPLC-ECD)を用いて測定した。ニトロノルエピネフリンの脳内への投与は、人工髄液中に化学合成したニトロノルエピネフリンを溶解し、脳内に直接潅流投与することによって行った。
結果と考察
ニトロノルエピネフリンの投与によって、ノルエピネフリンの細胞外濃度は有意に上昇し、その代謝産物である3-methoxy-4-hydroxy-phenylglycolの細胞外濃度は有意に減少した。この結果は、ニトロノルエピネフリンのノルエピネフリンに対する代謝抑制作用によって説明可能であるが、ニトロ残基が遊離することによってノルエピネフリンが上昇した可能性もある。そこで、ドパミンとその代謝産物であるhomovanilic acidの細胞外濃度のニトロノルエピネフリンの投与による影響ついても調べた。その結果、ドパミンの細胞外濃度は有意に上昇し、その代謝産物であるhomovanilic acidの細胞外濃度は有意に減少することがわかった。このことから、ニトロノルエピネフリンによるノルエピネフリンの細胞外濃度の上昇作用は、ニトロ残基が遊離によるものではなく、ノルエピネフリンの代謝抑制による可能性が強く示唆された。
結論
ニトロノルエピネフリンはノルエピネフリンだけではなくドパミンの細胞外濃度をも上昇させることがわかった。この作用は神経伝達物質の前シナプスへの再取り込みを非特異的に抑制することがによると考えられた。これは従来の抗うつ薬と類似の作用機序を持つことを意味する。したがって、ニトロノルエピネフリンは内因性の抗うつ物質である可能性がある。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)