コレステリルエステル転送蛋白欠損症の病態把握のための疫学研究

文献情報

文献番号
200936220A
報告書区分
総括
研究課題名
コレステリルエステル転送蛋白欠損症の病態把握のための疫学研究
課題番号
H21-難治・一般-165
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
平野 賢一(大阪大学 大学院医学系研究科 内科学講座 循環器内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 磯 博康(大阪大学大学院医学系研究科 社会環境医学講座公衆衛生学)
  • 岡村 智教(国立循環器病センター 予防検診部)
  • 高田 耕基(中国労災病院 勤労者予防医療センター)
  • 戸田 達史(神戸大学大学院医学系研究科 神経内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
コレステリルエステル転送蛋白 (Cholesteryl ester transfer protein, CETP)欠損症は、常染色体性優性遺伝形式をとる我が国固有のリポ蛋白代謝異常症であり、血清HDL-コレステロールの著明な上昇(高HDL血症)を来す。本症病態については、長寿症候群説、全く逆に動脈硬化惹起性とする説などあり明らかでない。一方、最近、欧米においてCETP阻害剤による治験が失敗したことも記憶に新しい。そこで、本研究は、CETP欠損症の病態を明らかにすることを目的とした。
研究方法
本症に関して異なる意見を持つ研究者、異なる職域の研究者により全国規模の研究組織を構築し、高HDL血症の登録システムを作成した。分担研究者の担当地区において、高HDL血症の追跡予後調査、断面調査、コホート研究を行い、HDL値と心疾患、脳卒中などとの関連について検討した。
結果と考察
CETP欠損症集積地域を含む秋田県大仙市を対象とした調査では、CETP欠損に起因する高HDL血症例において、CETP欠損に起因しない高HDL血症例より、心疾患、脳卒中の有病率が高いと考えられた。一方、中国地方における検討においては、心血管病を発症しているCETP欠損症ホモ接合体は、存在しなかった。CETP欠損症が比較的少ない地域におけるコホート研究では、血清HDL-コレステロール値と心血管疾患の発症に逆相関関係を認めたが、著明な高HDL血症は症例数が少なく統計的解析が困難であった。
結論
以上より、CETP欠損症の病態は多様であるが、著明な高HDL血症を見た場合は、心血管病の存在を念頭入れ、診療に当たる必要はあると思われる。CETP欠損症の病態を解明、結論を導くためには、さらに多数の症例を登録して観察する前向き研究が必要であろうと考える。

公開日・更新日

公開日
2010-05-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200936220C

成果

専門的・学術的観点からの成果
コレステリルエステル転送蛋白 (CETP) 欠損症は、我が国、固有の脂質代謝異常症であり、著明な高HDL血症をきたす。本症の病態については、長寿症候群説、全く逆に、動脈硬化惹起説
などあり、明らかでない。今回の検討でも、心血管病や脳卒中を発症している症例、全く認めない症例が存在し、その病態は多様であると考えられた。以上より、結論を導くためには、より多くの症例を登録して観察する前向き研究が必要であると思われる。
臨床的観点からの成果
今回、CETP欠損症の集積する地域を含む秋田県大仙市において、高HDL検診を実施した。この地域においては、CETP欠損に起因する高HDL血症では、CETP欠損に起因しない高HDL血症に比し、心疾患、脳卒中の有病率が高いと考えられた。少なくとも本地域においては、著明な高HDL血症を見た場合には、心疾患や脳卒中など動脈硬化性疾患の存在を念頭において、診療にあたる必要があると思われる。
ガイドライン等の開発
とくになし。
その他行政的観点からの成果
とくになし
その他のインパクト
とくになし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
2016-06-20