文献情報
文献番号
200936219A
報告書区分
総括
研究課題名
Cryopyrin-associated periodic syndrome(CAPS)に対する細胞分子生物学的手法を用いた診療基盤技術の開発
課題番号
H21-難治・一般-164
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
中畑 龍俊(京都大学 物質・細胞統合システム拠点 iPS細胞研究センター 医療応用技術開発部門 疾患解析学分野)
研究分担者(所属機関)
- 原 寿郎(九州大学大学院成育発達医学)
- 横田 俊平(横浜市立大学医学研究科)
- 平家 俊男(京都大学大学院発達小児科学)
- 齋藤 昭彦(国立成育医療センター)
- 西小森 隆太(京都大学大学院発達小児科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
Cryopyrin-associated periodic syndrome (CAPS)は、NLRP3遺伝子異常によりIL-1βが過剰産生される事が病態の中心とされる疾患である。重症例では発達遅延、関節拘縮、難聴、腎不全を来たし患者QOLを損ない、早期の診断適切な治療が必要である。また病因論において、NLRP3体細胞モザイクが最重症のCINCA症候群にみられる事を我々は証明した。加えてCAPSの関節病変は抗IL-1療法に不応で、IL-1β以外の病態解明が必要とされている。以上の現状をふまえ、1)CAPSの実態把握、2)NLRP3体細胞モザイクの海外における調査、3)IL-1β以外のCAPSの病態解明のための基盤技術開発、を目的とし研究班を組織した。
研究方法
(CAPSの全国調査)全国の小児科及び内科を対象とし、難病の患者数と臨床疫学像把握のための全国疫学調査マニュアルに沿って質問紙法により一次調査を行い、回答のあった施設に2次アンケート調査を行った。
(NLRP3体細胞モザイクの全世界調査)アメリカ、フランス、スペイン、オランダよりNLRP3変異陰性CINCA症候群21症例を集積し、サブクローニング法により体細胞モザイクの有無を決定した。
(NLRP3変異陽性iPS 細胞樹立)NLRP3体細胞モザイクCINCA症候群患者2例より線維芽細胞株を樹立、続いて4因子(cmyc, klf4, oxt3/4, sox2)を導入、iPS細胞を樹立した。さらにマクロファージ分化系の確立を試みた。
(NLRP3体細胞モザイクの全世界調査)アメリカ、フランス、スペイン、オランダよりNLRP3変異陰性CINCA症候群21症例を集積し、サブクローニング法により体細胞モザイクの有無を決定した。
(NLRP3変異陽性iPS 細胞樹立)NLRP3体細胞モザイクCINCA症候群患者2例より線維芽細胞株を樹立、続いて4因子(cmyc, klf4, oxt3/4, sox2)を導入、iPS細胞を樹立した。さらにマクロファージ分化系の確立を試みた。
結果と考察
CAPS全国アンケートにて、歩行障害29%、難聴76%、発達遅滞35%を認め、重篤な臓器障害が高頻度に存在する事が判明した。抗IL-1療法であるアナキンラは全例で著効し、抗IL-1製剤の本邦への早期導入が必要と考えられた。国際共同研究によるNLRP3変異陰性CINCA症候群症例の解析で、本邦で観察されたNLRP3体細胞モザイクは普遍的な現象である事が明らかになった。NLRP3遺伝子変異体細胞モザイク症例2例よりiPS細胞を樹立し、マクロファージへの分化系を確立した。
結論
本邦におけるCAPSの現状把握を行い、アナキンラの有効性を明らかにした。またNLRP3体細胞モザイクのCINCA症候群病因論における重要性を証明した。そしてCAPSの難治病態解明の基盤として患者iPS細胞樹立、分化系の確立に成功した。
公開日・更新日
公開日
2010-05-24
更新日
-