文献情報
文献番号
200936208A
報告書区分
総括
研究課題名
日本人における新生児糖尿病発症原因遺伝子異常の実態把握および遺伝子変異部位による薬効変化に関する検討
課題番号
H21-難治・一般-153
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
稲垣 暢也(京都大学医学研究科 糖尿病・栄養内科学)
研究分担者(所属機関)
- 依藤 亨(京都大学医学研究科)
- 長嶋 一昭(京都大学医学研究科)
- 佐々木 真弓(京都大学医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
新生児糖尿病は発症原因および頻度が詳細不明な希少疾患である。本研究は、本邦における新生児糖尿病の疫学的調査、症例の集積、発症原因遺伝子のスクリーニング、遺伝子変異部位に応じたin vitroでの薬効評価および治療薬選択論拠の集積を目的とする。
研究方法
(1)病床数300床以上で小児科を有する全国主要病院を中心に、過去3年間の新生児糖尿病患者の加療経験に関するアンケート調査を実施した。総務省住民基本台帳統計による総出生数を用いて、本邦の新生児糖尿病発症頻度を算出した。
(2)新生児糖尿病の主な発症原因遺伝子として報告のあるKir6.2遺伝子、SUR1遺伝子およびインスリン遺伝子に関して、当院自験症例および他施設から解析委託された日本人新生児糖尿病患者検体に関して遺伝子シークエンスを行い各遺伝子変異の有無を検討した。
(3)同定されたKir6.2遺伝子およびSUR1遺伝子上の変異に関して、経口血糖降下薬スルホニル尿素(SU)薬の薬効変化等に関するin vitro解析を行った。
(4)in vitro解析による遺伝子変異部位に起因するSU薬反応性変化を評価し、遺伝子変異部位に応じたテーラーメードの処方選択論拠を集積した。
(2)新生児糖尿病の主な発症原因遺伝子として報告のあるKir6.2遺伝子、SUR1遺伝子およびインスリン遺伝子に関して、当院自験症例および他施設から解析委託された日本人新生児糖尿病患者検体に関して遺伝子シークエンスを行い各遺伝子変異の有無を検討した。
(3)同定されたKir6.2遺伝子およびSUR1遺伝子上の変異に関して、経口血糖降下薬スルホニル尿素(SU)薬の薬効変化等に関するin vitro解析を行った。
(4)in vitro解析による遺伝子変異部位に起因するSU薬反応性変化を評価し、遺伝子変異部位に応じたテーラーメードの処方選択論拠を集積した。
結果と考察
全国956施設中、760施設から返答を得、37施設で1症例以上の治療経験を有するとの結果を得た。現時点までの解析結果では、本邦における新生児糖尿病は、これまでの推定頻度である30-40万人出生に1人程度以上に高頻度に発症している可能性が示唆された。
新生児糖尿病18症例について、Kir6.2遺伝子に関する解析を終え、12症例(10種類)のrare variantが認めた。既知の変異は8症例(7種類)、新規の変異を4症例(3種類)認めた。2症例でSUR1遺伝子のrare variantを認めた。日本人新生児糖尿病において、KATPチャネル構成遺伝子、なかでもKir6.2遺伝子異常の頻度が最も高いことが示唆された。in vitro機能解析により、変異部位によりSU薬の薬効変化程度に差が生じること、SU薬間でも薬効変化程度に差が生じ得ることを明らかにした。
新生児糖尿病18症例について、Kir6.2遺伝子に関する解析を終え、12症例(10種類)のrare variantが認めた。既知の変異は8症例(7種類)、新規の変異を4症例(3種類)認めた。2症例でSUR1遺伝子のrare variantを認めた。日本人新生児糖尿病において、KATPチャネル構成遺伝子、なかでもKir6.2遺伝子異常の頻度が最も高いことが示唆された。in vitro機能解析により、変異部位によりSU薬の薬効変化程度に差が生じること、SU薬間でも薬効変化程度に差が生じ得ることを明らかにした。
結論
本邦の新生児糖尿病は従来推定より高頻度に存在する可能性が示唆された。in vitro機能解析を用いた遺伝子変異部位による治療薬薬効評価の可能性が示された。
公開日・更新日
公開日
2010-05-28
更新日
-