文献情報
文献番号
200936201A
報告書区分
総括
研究課題名
チトクロームP450オキシドレダクターゼ異常症の実態把握と治療指針作成
課題番号
H21-難治・一般-146
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
深見 真紀(国立成育医療センター研究所 周産期病態研究部)
研究分担者(所属機関)
- 長谷川 奉延(慶應義塾大学 医学部)
- 宮崎 治(国立成育医療センター 放射線科)
- 藤枝 憲二(旭川医科大学 小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、本邦におけるチトクロームP450オキシドレダクターゼ(POR)異常症の発症率と臨床像の解明である。
研究方法
日本小児内分泌学会、日本小児泌尿器科学会、日本小児内分泌学会性分化委員会と連携し、POR異常症患者が受診する可能性が高い専門医を対象とした全国調査を行なった。また、厚生労働省難治性疾患克服研究事業副腎ホルモン産生異常に関する調査研究班と連携し、同班の調査で把握された本症患者の追跡調査を行なった。さらに、遺伝子診断された患者のデータを集積し、日本人患者の臨床像の解明と現行治療の評価を行った。
結果と考察
POR異常症が先天性副腎酵素欠損症の中でおそらく2番目に頻度の高い病態であること、さらに、POR残存活性が、骨症状の重症度に密接に関与し、副腎機能と男性性分化異常にある程度関与するが、女性性分化異常には影響しないことが見出された。とくに重要な点として、日本人患者では女性性分化異常がほぼ必発であること、機能喪失変異患者で致死的副腎不全の発症率が高いことが明らかとなった。
血液・尿検査による内分泌学的診断法を確立した。また、分子遺伝学的診断法として、本邦ではR457H変異同定によるスクリーニングが有効であること、POR遺伝子変異陰性例が存在することを明確とした。
グルココルチコイド投与が無機能型変異患者の副腎不全発症予防およびQOLの改善に有効であること、また、女性ホルモン投与が卵巣嚢腫縮小に有効であることを明らかとした。一方、今後の課題として、集学的治療チームの構築と長期治療戦略の確立が必要であることが見出された。さらに本邦では、四肢骨変形に対する外科的治療を要する症例は少数であり、一方、外性器形成術を要する症例が多く存在することが明らかとなった。また、外性器形成術において、熟練した医師による治療の重要性が示唆された。
血液・尿検査による内分泌学的診断法を確立した。また、分子遺伝学的診断法として、本邦ではR457H変異同定によるスクリーニングが有効であること、POR遺伝子変異陰性例が存在することを明確とした。
グルココルチコイド投与が無機能型変異患者の副腎不全発症予防およびQOLの改善に有効であること、また、女性ホルモン投与が卵巣嚢腫縮小に有効であることを明らかとした。一方、今後の課題として、集学的治療チームの構築と長期治療戦略の確立が必要であることが見出された。さらに本邦では、四肢骨変形に対する外科的治療を要する症例は少数であり、一方、外性器形成術を要する症例が多く存在することが明らかとなった。また、外性器形成術において、熟練した医師による治療の重要性が示唆された。
結論
日本人POR異常症患者の分子伝学的および臨床的特徴が明らかとなった。この知見に基づき、診断の手引きと治療指針確立のための基盤となる案を作成した。研究成果は、研究班ホームページ、英文論文、国内外の学会において発表した。
公開日・更新日
公開日
2010-05-18
更新日
-