本邦における筋チャネル病の実態に関する研究

文献情報

文献番号
200936187A
報告書区分
総括
研究課題名
本邦における筋チャネル病の実態に関する研究
課題番号
H21-難治・一般-132
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 正紀(大阪大学大学院 医学系研究科 神経内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 荒木 敏之(国立精神・神経センター 神経研究所)
  • 松村 剛(国立病院機構 刀根山病院 神経内科)
  • 木村 卓(兵庫医科大学 内科(神経・脳卒中科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦における骨格筋チャネル病の実態を把握し診断・治療上の問題点を明らかにすること、病態解明・治療法開発のための共同研究体制を整備すること、および今後の治療研究に向けた臨床データベースを構築することを目的とした。
研究方法
一次性筋チャネル病については、周期性四肢麻痺と非ジストロフィー性ミオトニー症候群の2種の全国アンケート調査を神経内科および小児神経科専門医全員に対し行った。また、遺伝子診断確定例について臨床データを抽出し検討した。
二次性筋チャネル病である筋強直性ジストロフィーについては、合併症診療の機会が多い診療科(循環器・糖尿病・眼科・産婦人科)の大阪府下の専門医に対しアンケート調査を行った。国際化に対応できる形式で臨床関連情報のデータベース構築を行った。
病態解明のため、神経系培養細胞を用いた基礎研究、および患者組織を用いた共同研究を行った。
結果と考察
小児神経・神経内科専門医への調査は現状把握に有用だったのみでなく、臨床医の関心を高め、遺伝子診断依頼の増加、本症患者の発掘に寄与することになった。遺伝子診断施行例の解析により骨格筋チャネル病の各疾患の頻度、高頻度な遺伝子異常とその臨床症状などが明らかとなり、診断基準の作成に有用であった。
筋強直性ジストロフィーについては、受療動向を調査したが、多診療科にまたがる横断的調査は世界的にも貴重である。明らかになった問題点は、一部にフィードバックしており、今後のネットワークづくりに向けての一歩とも言えよう。また、本症データベースは、種々の合併症も含めた総合的管理の補助として期待されるほか、疫学・臨床研究にも有効と思われる。諸外国でも本症の患者登録システムの運用が始まっているが、本データベースは我が国の医療事情を生かし検査データが充実している点で優れており、治療薬開発などの臨床研究に非常に有用であると考えられる。また、臨床家と研究者の共同体制が形成され、臨床試料の共有化による病態解明も開始した。
結論
 本邦における一次性骨格筋チャネル病および筋強直性ジストロフィーについての現状・問題点が明白となった。結果をもとに診断基準を作成した。一次性筋チャネル病については確実な臨床診断、遺伝子診断体制の確立などが喫緊の課題であり、筋強直性ジストロフィーについては多彩な合併症状を総合的に管理し、治療法確立につなげることが課題である。

公開日・更新日

公開日
2010-05-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200936187C

成果

専門的・学術的観点からの成果
小児神経・神経内科専門医への調査および遺伝子診断施行例の調査で筋チャネル病の各疾患の頻度、高頻度な遺伝子異常とその臨床症状など本邦における現状が明らかとなった。今年度運用を開始した筋強直性ジストロフィー症データベースは、疫学研究のみならず、治療薬開発などの臨床研究に有用なものが作成できた。また、臨床検体を共同利用することができ、病態解明研究にもあらたな進歩を認めた。
臨床的観点からの成果
小児神経・神経内科専門医への調査は、臨床医の関心を高め、遺伝子診断依頼の増加、本症患者の発掘に寄与することになった。いっぽう各診療科への筋強直性ジストロフィーの受療動向調査で明らかになった問題点は、一部にフィードバックしており、ネットワークづくりに重要な一歩である。本症データベースは、種々の合併症も含めた総合的管理の補助として期待されるほか、臨床研究に非常に有用であると考えられる。
ガイドライン等の開発
アンケート調査・遺伝子診断確定例調査などの結果をふまえ、骨格筋チャネル病の診断基準(2009年度版)を作成した。一般臨床医がアクセスし利用できるよう本研究班のホームページに掲載を行っている。
その他行政的観点からの成果
一次性筋チャネル病については臨床医による確実な診断に加え、遺伝子診断体制の確立が喫緊の課題であることが明らかとなった。筋強直性ジストロフィーについては多彩な合併症の総合的な管理が重要であるが、本研究は各診療科とのネットワーク作りの第一歩となり、早期からの総合的な医療による効率的な医療に今後つながる。本症の臨床データベースの構築および臨床サンプルの共同利用といった、より効率的にトランスレーショナル研究を推進するための基盤整備ができた。
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
13件
第50回日本神経学会総会  第39回日本臨床神経生理学会学術大会  第82回日本生化学会大会  第32回日本分子生物学会年会  第51回日本神経学会総会
学会発表(国際学会等)
2件
The 7th International Myotonic Dystrophy Consortium Meeting Biophysical Society 54th Annual Meeting
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-