クラインフェルター症候群およびターナー症候群の臨床病態・治療プログラムの検討と発症機構解明による診断法の開発

文献情報

文献番号
200936180A
報告書区分
総括
研究課題名
クラインフェルター症候群およびターナー症候群の臨床病態・治療プログラムの検討と発症機構解明による診断法の開発
課題番号
H21-難治・一般-125
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
高田 修治(独立行政法人国立成育医療研究センター 研究所 システム発生・再生医学研究部 ゲノム機能研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 堀川 玲子(国立成育医療センター 第一専門診療部 内分泌代謝科)
  • 淺原 弘嗣(国立成育医療センター(研究所) 移植・外科研究部)
  • 平岡 秀一(国立成育医療センター(研究所) 移植・外科研究部)
  • 横山 成俊(国立成育医療センター(研究所) 移植・外科研究部)
  • 伊藤 義晃(国立成育医療センター(研究所) 移植・外科研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
性染色体の数的・構造的異常を原因とするクラインフェルター症候群およびターナー症候群は、X染色体の過剰や欠損に関連した様々な障害を生ずる。これらの性腺機能低下症に対しては、対処療法としてホルモン補充療法が有効であるが、それでもなお、患者のQOLを低下させている要因は、両疾患において高頻度に併発する様々な合併症の存在にある。本研究では、ターナー症候群、特に、成人期以降の患者に注目し、合併症の実態把握調査を行うことによって臨床的特徴を見出し、より効果的な合併症のスクリーニング法に関する知見を得ることを目標とする。
研究方法
国立成育医療センターに定期通院中、または定期受診の既往があり、治療、二次性徴発来、合併症に関する基本データが得られた78例のターナー症候群患者を対象に調査を行った。なお、これらの患者の年齢は22歳から50歳までとなった。
結果と考察
成人ターナー症候群患者の合併症に焦点を絞り実態調査を行った。心血管系合併症に関しては、大動脈縮窄や大動脈弁狭窄症、心房中隔欠損などの先天的な異常のみならず、大動脈起始部動脈瘤などの後天的な異常も確認された。また、内分泌代謝疾患に関しても、年齢依存的な耐糖能異常の増加が認められたことから、これらの合併症に対する定期検査によるフォローが必要と言える。今回の調査では、約15%において精神・神経系疾患が認められた。これらの合併症が高頻度に認められたことを念頭に、現状より早期からの介入が必要と考えられる。今回の調査では確認されなかった稀な自己免疫疾患などの合併症に関しては、全国規模の実態調査を行うことにより、頻度や発症時期、治療に関するより詳細な実態把握が可能となる。一方、クラインフェルター症候群に関しては、十分な症例数が得られなかったため、調査を行うことが出来なかったが、これについても、全国規模の調査を通して、合併症に関する実態を把握することが可能である。
結論
ほとんど調査されていない、成人のターナー症候群患者における合併症に関する知見を得ることが出来た。 より詳細な実態把握のためには、全国規模の実態調査が必要となる。

公開日・更新日

公開日
2010-06-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-03-24
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200936180C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究は、これまでほとんど調査されていなかった成人ターナー症候群患者における合併症の実態を把握することを目的に行われた研究である。本研究によって、心血管系合併症や腎尿路系、内分泌系、精神・神経系合併症の頻度に関する知見が得られた。
これらの中には、先天的な合併症だけでなく後天的に併発する疾患も含まれており、これらの知見は臨床における合併症スクリーニングや治療といった、患者のQOLの向上の目的のために活用可能な成果である。
臨床的観点からの成果
本研究によって得られた成果は、臨床における当該患者の合併症スクリーニングや治療の面で活用可能なものである。特に、成人ターナー症候群患者における心血管系の合併症や精神・神経系疾患に関する知見は、今後のスクリーニングや治療に関するガイドライン作成の上でも有用なものである。
ガイドライン等の開発
本研究が臨床的なガイドライン作成に貢献できるよう、研究班の終了後も、継続的に情報の交換を行っている。一方、今回の調査は、1医療施設を対象にしたものであり、合併症スクリーニングや治療に関するガイドラインの作成のためには、全国規模での合併症と治療実態に関する調査を行い、より詳細な知見を得る必要がある。 そのためには、関係学会と連携した調査・研究を推し進める必要がある。
その他行政的観点からの成果
本研究の成果が臨床に活かされるよう、成果をまとめた冊子を全国の医療機関に配布し、情報の公開に努めている。
その他のインパクト
本研究がより社会的に貢献できるよう、研究班の終了後も、継続的に研究の重要性について広く意見を交換している。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-